日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の林業には6次産業化以上の工夫が必要

2021年10月20日 10時03分10秒 | 日々雑感
 アメリカでは、2020年初めに発生した新型コロナウイルス感染拡大後の景気浮上のため、膨大な財政出動と低金利政策が取られた結果、住宅建築需要が伸び、特に同年後半には例年の水準を大きく上回る需要がみられたそうだ。

 もともと、虫害や山火事等で原材料が不足しており、コロナで製材所の休業を余儀なくされた中にその動きが加わり、建築用木材需要増の結果、木材価格高騰が引き起こされ、その影響が日本にも及んでいるとのことだ。世界的な木材価格の高騰と、木材の調達が思うように進まない状態を”ウッドショック”と称するのだそうだ。さて日本の山林に放置されているスギなどの豊富な森林資源が、世界的な木材価格の高騰があってもなぜ有効活用されないと言う非常に勿体無い現象が起こっているのだ。

 現在日本では、外国産材に関しては問屋への電話一本で、ミリ単位に加工された商品が、短納期で届くシステムが出来上がっており、一方で国産材は、流通量が少なく品種が少ない上品質も不安定で、値段も高く、有効に活用されない現状となっているのだそうだ。

 一般的に商売には、・作る、・加工する、・届ける、と言う3つの異なる工程がある。1次産業である農林水産業は、経済的にも低迷していたが、最近6次産業化の動きが顕在化してきた。

 これは東大名誉教授の今村先生が提唱した考えであり、農林水産業者等が生産(1次産業)だけでなく、加工(2次産業)、流通・販売(3次産業)にも同時に取り組み、それによって農林水産業を活性化させ、経済的に豊かにしていこうとする考えである。

このような経営的視点を持った経営者が農業や漁業において現れ始めている。例えば、イオンはグループ企業3社と取引先である蔵元が協力し、米作りから企画商品化、販売までを手掛けるプロジェクトを起こし純米吟醸酒を完成させ販売を始めたそうだ。

 また、高知県馬路村では地元産のゆずを”ゆずドリンク”、”ポン酢しょうゆ”等、約70種類の独自の特産品に加工し、商品年間30億円を売り上げるまでに拡大したそうだ。これほど規模が大きくなくとも、農業や漁業の分野ではネット販売を通じて生産者と消費者を直接結びつける個人的な試みもどんどん広がっている。

 林業も同じであり、木を育てて伐採し、用途に応じた加工を施し、求めやすい流通経路を構築できれば、膨大な資源を活用でき、林業の活性化に繋がる筈である。このような取り組みは、地方の家具作り等で見られるが、ごく一部の活動にとどまる。

 林業における問題は、農業や漁業に比べ伐採一つにしても困難が付きまとうことである。現在森林資源は豊富であるが、概して資源は人里離れた山奥の急斜面にあり、伐採の機械化が難しく、更に加工現場まで運搬する難しさがある。運搬用の道路の整備等までなると、莫大な投資が必要となり、余程の立案・企画が必要になる。

 また、林業においては経済合理性だけでは無く森林の多面的価値、すなわち森林は地球温暖化の緩和や土砂災害の防止、水源涵養と行った役目もある。従って、林業においては6次産業化以上の複雑さ、困難さがあるかもしれないが、将来に向けて何とか打開策が欲しい。2021.10.20(犬賀 大好ー756)


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