世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が9月14日、新型コロナウイルスのパンデミックの終息が視野に入ったとの認識を示した。WHOの統計によると、昨年1月には、1週間で10万人超だった世界の死者数が、今年9月5~11日は約1万1000人となり、世界的にみても死者数が減少傾向にあること等がその認識の理由だ。
日本政府は、今年9月8日に、新たな行動制限を行わず、重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置いて、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る方針を打ち出した。マスク着用等に関しては自主的な判断に委ねる等、大幅な規制緩和に動き出している。西欧諸国では外出時マスク無しが原則であり、19日のエリザベス女王の国葬の参列者でもマスクしている人は見かけなかった。
一方中国であるが、国家衛生健康委員会が7月30日の公表によると、同月30日の中国本土における新規感染者は74人であり、厳しい抑止政策が奏功し、6日連続して100人以下となっているそうだ。中国14億人の民からすれば微々たる数であるが、中国当局は今なお引き続き、ゼロコロナ政策を堅持する考えを強調しており、局地的ロックダウン、全市民PCR検査によるスクリーニング等、何かしらの抑止措置が今後も講じられていくようだ。
中国でのワクチン接種は現在、34億2,206万回が行われており、数的には全国民2回以上は接種している計算になり、更にブースターショットも強く推し進められているとのことだ。世界は規制撤廃と言うのに、なぜ中国だけはこれほどかたくなにゼロコロナ政策に固執するのであろうか。
10月16日に共産党の第20回全国代表大会が開催され、この大会閉幕後に中央委員会第1回全体会議を開催し総書記などを選出するそうだが、習近平氏は引き続き総書記を務めたい為、コロナ対策で失敗知り訳にはいかないとの話だ。習氏の心配を裏付ける内容が、今年5月に米国の医学系学術誌で公表されているのだそうだ。
ゼロコロナ政策を解除した場合、6か月で有症状者数1億1220万人、入院者数(中等症)510万人、ICU入院者数(重症)270万人、死亡者数160万人となるとの予想だ。また、感染ピーク時には、中国全体のICU病床数の15.6倍のICU病床が必要となり、病床数の不足は44日間続くとの内容が公表されたのだ。
この論文内容の信頼性がどの程度あるのか分からないが、ゼロコロナ政策の為中国での感染者の割合が意外に少ないことや中国製ワクチンの効果が欧米のワクチン程でないことを想定するとゼロコロナ政策を解除した場合、感染爆発は必至であり医療体制及び社会自体の大きな混乱を引き起こす可能性が高く、習近平氏はこれを恐れているのだろう。
WHOの終息予測を信じたいが、中国でもゼロコロナ政策をいづれは止めなくてはならず、この場合に感染爆発を起こすと、この影響が世界に拡がると懸念する。2022.09.21(犬賀 大好ー848)
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