11月24日には高さ330mの高層ビル「麻布台ヒルズ」が開業し、大阪の「あべのハルカス」を抜いて日本一の高さとなった。しかし、5年後には「麻布台ヒルズ」よりも高い、385mのビルが東京駅近辺に完成する予定だそうだ。今年は、「東京ミッドタウン八重洲」、「東急歌舞伎町タワー」等が完成し、高さを競っているようだが、世界を見てみると目につくのは中国で現在日本一の「麻布台ヒルズ」でも100位以下だそうだが、地震大国日本では致し方ないことだろうと思いつつ、東京集中が一層加速される要因になると心配になる。
東京集中は、コロナ流行中在宅勤務やテレワーク等の推奨で一時止まったとの報道もあったが、現在再びぶり返りしているようだ。人口は今年10月時点で1410万人に達し、日本全体の1割強を占めるそうだ。日本全体で減少が加速するのを尻目にほぼ右肩上がりで増え続けている。兎も角、東京は高層ビルラッシュである。狭い土地柄、大人数を収容するためには建物を高層化することはやむを得ないことかも知れないが、なぜ東京に人は集中するのか。10代から20代の若者が東京圏での生活を希望する傾向がある。
東京圏は、地方に比べて大学数が多かったり、大企業や正規雇用、事務職などの職種やサービス産業の割合が多かったりすることが、若者の東京近辺への移動を促しているのだ。
一極集中は地方の縮小を意味することから、都市部と地方の経済・社会格差も一層大きくなる。人が多いと交通渋滞等、生活環境の悪化につながり、災害発生時には大規模な被害が予想されるのも、自然災害の多い日本では深刻な問題だ。直下型地震、富士山噴火等の災害を懸念し、政府も東京一極集中を避ける為官庁の地方分散を叫んだが、成果は芳しくない。
政府機関移転の呼びかけに地方が移転要望を出した69機関は研究研修施設が大半を占めたが、中央省庁も7機関が含まれていた。中央省庁7機関に対しては、京都府が文化庁、北海道と兵庫県が観光庁、大阪府が中小企業庁、大阪府と長野県が特許庁、三重県が気象庁、徳島県が消費者庁、和歌山県が総務省統計局の移転を要望したが、主として官僚の猛反対に会い実現されたのは文化庁だけだ。官僚も人の子、何事も便利な東京から離れたくないのだ。
文化庁は、今年3月に京都での業務を開始した。文化庁は13ある部署のうち、政策課や文化資源活用課など6つの部署が移転し、東京庁舎には、音楽、舞台、映画など文化芸術分野で活動する人たちを支える環境の整備や、著作権の保護・利用、日本語教育の担当など合わせて7つの部署が残るそうで、半分しか移動しないのだ。
情報化が進んだ現在、国もテレワークを推奨するが、仕事と生活は別なのだ。地方自治体も地域活性化に向けて地域おこし協力隊等の制度を設けて人集めに躍起になっているが、大きな流れになっていない。一極集中の流れを変えるのは人の知恵ではどうにもならない。自然災害に頼るしかないのか。2023.12.10(犬賀 大好ー967)
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