3月19日、中国国家衛生健康委員会は中国国内の新型肺炎新規感染者の最新データを発表した。それによると、武漢市・湖北省を含めて18日に中国国内で発生した新規感染例はゼロであったそうだ。
これが事実であれば、中国国内における新型コロナウイルスの拡散はすでに治まったことになる。問題は前記委員会の発表を額面通りに信じて良いかどうかである。中国は情報統制が徹底している。習近平主席の命令は絶対的であり、物事は彼が言うように動かざるを得ない。忖度の程度は日本の比ではない。
習氏が早期に収束させたいことは勿論であり、目標に新規感染者数をゼロにすることは当然であろう。地方の政治家はこの目標に向かって努力し、部下には厳格に指示し、党の意向に沿うように多少の誤魔化しもするであろう。
武漢の食肉市場の従業員が原因不明の肺病に罹ったことがそもそも事の始まりとのことであり、コロナウイルスを保有している野生動物と何らかの関係があるのではないかという説が最も有力であった。その後の調査で最初の患者と市場やその他の患者との間につながりが確認されなかったとの政府の発表であるが、政府の発表には裏があると思って聞く必要がある。
ネット情報によれば、中国の感染症の専門家の二人が政府に対して、新規感染者数ゼロを目標にするようなことはやめた方が良い、と進言したそうだ。この2人の専門家の公の発言であれば、中国政府が実際に新規感染者ゼロを目標にしている、と言うことだ。新規感染者数をゼロとする目標は当然であるが、感染者の定義を変えてまでゼロとするとなると大問題だ。
驚くべきことに中国政府は2月7日に統計の基準をウイルス検査で陽性と判定されても無症状の人を感染者として計上しない方針に変更していたとのことだ。無症状の感染者は他人に感染させる可能性が低いとの理由からだ。
最近日本でも無症状の感染者を自宅療養にする方針も検討され始めたようであり、全くの根拠が無い話でもなさそうであるが、現在の世界の基準は保菌者はすべて感染者だ。
さて、ある香港紙は22日、中国政府の非公開資料が情報源だとしながらも、中国本土の無症状の新型コロナウイルスの感染者4万3千人超が2月末時で中国政府の統計に計上されていなかったと報じた。同時点の公式な感染者数は約8万人だが、これらの無症状者を合計すると12万人を超えた計算となる。
27日の日本の新聞の報道によれば米国の感染者は8万人で、これまで最多だった中国(8万人)やイタリア(8万人)を上回ったと報道しており、先の香港紙の報道内容を疑っているようだが、中国の公式発表よりは真実味がある。
東京五輪も1年延期になり、中国の責任も問われることになるが、中国は情報公開を徹底し、多少なりとも汚名挽回に努めるべきである。保菌者が他人を感染させる可能性が本当の所どうなんだと、これが分かるだけでも日本の対策は大いに助かる。2020.03.28(犬賀 大好-586)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます