第3次安倍内閣では、アベノミクスは第2ステージに入ったとして、一億総活躍社会を目指し、新3本の矢として ・希望を生み出す強い経済、・夢を育む子育て支援、・安心につながる社会保障、を放とうとしている。新たに放つ3本の矢の具体的目標は2020年頃までにGDP600兆円の達成、出生率1.8の達成、介護離職ゼロ、である。これまでの3本の矢が、異次元金融緩和、財政出動、成長戦略、であったのに比べ、目標数値を一見明確にしたが、その実現性は一層怪しくなった。
GDP600兆円達成に関しては、経済界からは疑問視の声が聞こえる。2014年度のGDP490兆円に対し、経済の成長率3%以上の達成は到底不可能と考えられるからである。出生率は2014年には1.42であり、この値を上げるためには、様々な原因を解決する必要があるが、こちらも到底無理と考えられる。介護離職ゼロに関しては介護を理由に仕事をやめる人が年間10万人位だという。高齢化問題は深刻である一方財政難も深刻であるため、政府は在宅介護を重視する政策を採っている。在宅介護を推奨すれば当然身近な人が面倒見なくてならず、介護離職は増加の方向である。この矛盾をどう解決するか。
安倍首相は、安全保障関連法案を、憲法解釈を変更して成立させた。これに対し、自民党内部からの異論はほとんど聞こえてこなかった。これに味を占めたのか、この強気の姿勢が今回の新3本の矢にも現れている。「実現不可能な難題でも、俺が言えば皆が黙って付いてくる」と。
安倍首相は、この目標に向けて、加藤勝信一億総活躍担当相に政策の取りまとめを指示した。加藤氏は10月19日、厚生労働省や経済産業省など計10府省庁の幹部による「一億総活躍社会づくりに関する関係府省連絡会議」の初会合を開いた。「すべての政策を総動員し、縦割りを排し、政府の持てる力をしっかり発揮してほしい」と述べ、新任大臣らしい意気込みを示した。引き続き23日には国民会議のメンバーを発表した。増田寛也氏の起用はもっともであるが、菊池桃子氏には何を期待するのであろか。単なる人気取りとしか思えない。
既に石破地方創生担当相のところには、「まち・ひと・しごと創生本部」があり、塩崎厚労相は「一億総活躍社会実現本部」の立ち上げを表明した他、それぞれの部署でも似たような本部設立を表明しているとの話だ。それぞれの部署で話を煮詰め、加藤氏のところで取りまとめると言えばなるほどと納得しそうになるが、国益より省益が優先する官僚機構にあっては、加藤氏がいくら有能でも、絵に描いた餅の類となるであろう。
また、縦割り排除の掛け声は結構であるが、官僚の厚い壁が立ちはだかる。先に厚労省管轄の保育園と文科省管轄の幼稚園の一体化あるいは一元化構想でも官僚の壁を壊すことは出来なかった前例がある。少子化の時代、数少ない子供を大切に一貫して育てることは極めて当たり前のことと思うが、こんな簡単なことですら出来ないのだ。
一億総活躍社会はすべての省に関わる事項であり、保育園と幼稚園の統合より数段の難しさが予想される。総活躍社会の実現と縦割り行政の打破は、共に超困難ではなかろうか。(犬賀 大好-176)
GDP600兆円達成に関しては、経済界からは疑問視の声が聞こえる。2014年度のGDP490兆円に対し、経済の成長率3%以上の達成は到底不可能と考えられるからである。出生率は2014年には1.42であり、この値を上げるためには、様々な原因を解決する必要があるが、こちらも到底無理と考えられる。介護離職ゼロに関しては介護を理由に仕事をやめる人が年間10万人位だという。高齢化問題は深刻である一方財政難も深刻であるため、政府は在宅介護を重視する政策を採っている。在宅介護を推奨すれば当然身近な人が面倒見なくてならず、介護離職は増加の方向である。この矛盾をどう解決するか。
安倍首相は、安全保障関連法案を、憲法解釈を変更して成立させた。これに対し、自民党内部からの異論はほとんど聞こえてこなかった。これに味を占めたのか、この強気の姿勢が今回の新3本の矢にも現れている。「実現不可能な難題でも、俺が言えば皆が黙って付いてくる」と。
安倍首相は、この目標に向けて、加藤勝信一億総活躍担当相に政策の取りまとめを指示した。加藤氏は10月19日、厚生労働省や経済産業省など計10府省庁の幹部による「一億総活躍社会づくりに関する関係府省連絡会議」の初会合を開いた。「すべての政策を総動員し、縦割りを排し、政府の持てる力をしっかり発揮してほしい」と述べ、新任大臣らしい意気込みを示した。引き続き23日には国民会議のメンバーを発表した。増田寛也氏の起用はもっともであるが、菊池桃子氏には何を期待するのであろか。単なる人気取りとしか思えない。
既に石破地方創生担当相のところには、「まち・ひと・しごと創生本部」があり、塩崎厚労相は「一億総活躍社会実現本部」の立ち上げを表明した他、それぞれの部署でも似たような本部設立を表明しているとの話だ。それぞれの部署で話を煮詰め、加藤氏のところで取りまとめると言えばなるほどと納得しそうになるが、国益より省益が優先する官僚機構にあっては、加藤氏がいくら有能でも、絵に描いた餅の類となるであろう。
また、縦割り排除の掛け声は結構であるが、官僚の厚い壁が立ちはだかる。先に厚労省管轄の保育園と文科省管轄の幼稚園の一体化あるいは一元化構想でも官僚の壁を壊すことは出来なかった前例がある。少子化の時代、数少ない子供を大切に一貫して育てることは極めて当たり前のことと思うが、こんな簡単なことですら出来ないのだ。
一億総活躍社会はすべての省に関わる事項であり、保育園と幼稚園の統合より数段の難しさが予想される。総活躍社会の実現と縦割り行政の打破は、共に超困難ではなかろうか。(犬賀 大好-176)
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