安倍政権の第4次改造内閣で小泉進次郎氏が環境大臣に任命された。この大臣の担務は環境の保全、管理、廃棄物対策等を行うことであるが、セクシーに対策を立てられればよいが、逆にダークな役も引き受けなければならないだろう。
10月2日、小泉大臣は福島の原発事故の被災地を視察し、感想を記者団に、一連の流れを自分の頭の中に残る光景として焼き付かせることが安全確保の取り組みを進めていく上で大事だ、と語ったそうだ。当然のことながら今回の視察での具体的な指示は何も無かったようだ。
歴代の担当相が問題を先送りしてきた難しい問題に、半日程度の視察で具体的な指示が出せる筈は無いが、時間をかけても皆が納得できるようなセクシーな解を見つけることは極めて困難と思われる。
さて、福島県知事や国はこれまで廃炉終了までに核燃料を県外に搬出すると明言していたが、県知事は今年7月30日、第2原発の1~4号機の使用済み核燃料の貯蔵施設を敷地内に新設する方針を打ち出したのだ。この施設は最終処分場との位置づけではないので、この方針は従来の言動とは矛盾しない。
しかし、この中間貯蔵施設の建設には安全対策と称して多大な建設資金が投入され、またその維持管理にはお金と人材が、更には地元自治体に協力交付と称する金が支給されるだろう。そして、地元の地方自治体はこれらの金により潤い、次第にそれに依存するようになり、その交付金等が無くてはやっていけない体質になる。
すなわち、中間貯蔵施設と言いながら、実は最終貯蔵施設となる可能性が極めて大きいのだ。
地球温暖化対策の一環として原発の必要性が叫ばれているが、トイレの無いマンションと揶揄される原発再稼働に最終処分地は必須だが、調査すら始まっていないのが現状だ。
しかし、ここに来て福島県知事が一つの解決法を示したのだ。すなわち前述のようにまず高価な中間処分場を建設することだ。30~50年すれば世帯交代し、当初の約束は忘れ去られ、現状に甘んずる体質になり、そのまま最終処分地として何百年と安泰となる分けだ。
福島県知事等はこの筋書きを十分頭に入れた確信犯だと勘繰る。これは結果として地域住民を騙すことになるが、清廉潔白を旨とする小泉大臣に出来るであろうか。
さて、最終処分地に関しては海外ではフィンランドやスェーデンでは決まっているようだが、英国やドイツが日本と同様の状況であり、スペインやベルギーなどは最終処分法の方針すら示せていないようで、この共通の課題に世界的な取り組みも始まっているようだ。
世耕前経産相は、最終処分は次世代に先送りしてはいけない重要課題であり、積極的な国際協力の下でしっかり取り組みたい、と強調したそうだ。国際協力で実現するとすれば、世界の何処かの国にゴミ捨て場を金で釣って押し付けることになるだろう。小泉大臣にこのダークな仕事が可能であろうか。
2019.10.16(犬賀 大好-540)
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