日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自国第1主義はグローバル化の産物

2020年01月15日 09時36分48秒 | 日々雑感
 グローバル化社会とは、国や地域といった垣根を超えて世界的にお金、物などの資本や人材、情報と言ったものが政治的な制限無しにやり取りされる社会のことを指すのだろう。一般国民にとって、グローバル化の最大の恩恵は、世界中の商品が安い価格で世に出回るため、食料を始めとしてほとんどのものが容易に手に入れられることである。但しそれだけのお金があればの話ではあるが。

 品質の良い安い商品を生み出すためには、世界中から安い材料を仕入れ、労働賃金の安い地域や国で質の高い商品を生産する必要がある。これはコストパーフォーマンスの追及であり、経済の効率化である。経済の効率化には従来のやり方の変革が伴い、変革に乗り遅れる人々が発生する。

 さて、よく売れる商品は質が良くて安い物だ。このため、競争は世界的な規模となり、競争の激化が労働賃金の低下や競争に負けて倒産する会社も増え、国内の産業が衰退、空洞化することにも繋がる。また、少しでも安く生産するため、低賃金労働者の雇用が必要となり、発展途上国からの労働者を招き入れることになる。

 外国人労働者の増加は、自国の労働者の仕事を奪い失業者を増加させ、また概して外国人労働者は貧しくかつ低賃金ゆえの治安の悪化を招く。これらの欠点が反グローバル志向すなわち自国第1主義者へと駆り立てる。自国第1主義はグローバル化の産物なのだ。

 経済効率の追求は富む者をますます富ませ、貧しき者は競争の土俵にも上がれない。必然的に経済格差を拡大する。自国第1主義は格差の拡大の結果と言えるかも知れない。国内における格差拡大は勿論、国家間の格差も拡大する。

 国内における格差は、イギリスでのEUからの離脱を巡り国論を2分していることが象徴している。EU内での自由貿易から利益を受ける人々と移民の流入により不利益を受ける人々の衝突だ。また、国家間の格差拡大に関してはEU内で予てより問題となっている。

 また、グローバル化による技術の拡散が従来の特権を脅かすものとして、自国第1主義となる者もいる。トランプ大統領が典型だ。米国はIT産業で世界に君臨するが中国が猛追を受け、その立場が危うくなりそうになると大統領はアメリカファーストを掲げ、中国の台頭を阻止しようと貿易戦争を始めた。

 国内の格差解消は税金等の処方が考えられるが、国家間の格差の解消法は戦争ぐらいしか思い浮かばない厄介な問題だ。戦争も貿易戦争で留まればまだしも、武力衝突になると大事だ。

 先日ゴーン元日産会長が違法出国したとのことでマスコミは大賑わいである。この逃亡経費に22億円要し、また保釈金15億円は没収とのことであるが、彼の年収は10億円以上であり、総資産は2300億円とも言われており、金があれば何でも出来ることを実証してしまった。

 いつの時代でも国民の最大の関心事は経済である。グローバル化は経済発展に役立ってきたが一方その害も顕在化してきた。グローバル化の制限は経済の効率化を制限するため、経済の停滞に繋がる。経済発展することが幸福とは限らないが往々にして経済的な貧しさは人の心を卑しくし、理想を忘れさせる。

 英国の混乱は離脱後も続くであろう。グローバル化と自国第1主義のせめぎ合いは、日本でもTPP等で顕在化しており将来大問題化するであろう。2020.01.15(犬賀 大好-566)



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