日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の地球温暖化対策は遅々として進まず

2020年07月18日 09時07分34秒 | 日々雑感
 2020年7月豪雨と名付けられた集中豪雨は、洪水や土砂崩れ、河川の決壊等を招き、インフラや交通にも大きな影響が及ぼしている。原因は線状降水帯の発生とのことであるが、更に元を質せば海水温の上昇にあるとのことだ。つまり地球温暖化が影響しているのだ。折りしも新型コロナウイルスが全国に蔓延しており、当初インフルエンザ等の風邪の原因になる菌は暑さや湿気には弱く、梅雨の時期になれば自然に終焉すると、今こそ地球温暖化が役立つ時が来たかと秘かに期待していたが脆くも崩れ去った。

 さて新型コロナウイルス騒動の為かこのところ地球温暖化の話題は影を潜めている。さて、今年11月開催予定の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向けて、この2月末までに削減目標を見直し再提出する必要があった筈であるが、日本政府の見直し論議に関しては全然聞こえてこなかった。このところ小泉進次郎環境大臣の存在感がすっかり薄れている。

 小泉氏は昨年9月環境相に就任し、12月11日、COP25の閣僚級会合に出席したが、日本では石炭などの化石燃料発電が大半を占め、大量の炭酸ガスを排出していると各国から批判され面目丸つぶれになった。そこで今年のCOP26までに石炭火力発電の廃止など脱炭素に向けた具体策や現状の温暖化ガス削減目標の見直しを纏め名誉回復する必要に迫られていた。

 そこで環境省内に有識者検討会を立ち上げ、そこで世界の3分の2以上の国で太陽光と風力の電気が最も安くなっている、等の知見を得たようであるが、それを生かした具体的な対策を纏めるに至っていないようだ。

 経済産業省の2019エネルギー白書によれば、日本の電源構成は2016年から2030年までに再生可能エネルギーの利用を16%から22~24%と増加、原子力も3%から20~22%と増加を予定し、石炭火力発電は35%から26%と減少を目指しているが、世界の潮流から大きく外れている。今年のエネルギー白書には小泉大臣の意見が多少反映されるかも知れないが、日本の将来の電源構成を決めるのは経産省であり、環境省は恐らく歯ぎしりすることになるであろう。

 今年7月9日、政府の経協インフラ戦略会議で石炭火力発電を輸出する場合、相手国の脱炭素化に向けた方針を確かめない限り原則公的支援を行わない、との方針が打ち出したが、輸出相手国の温暖化対策の話であり、日本の話ではない。また、国内のメガバンクや主要な商社も火力発電には投資をしない方針を打ち出しているようだが、国や電力各社は大転換できずに火力発電を手放そうとしない。

 東京電力ホールディングスと中部電力の国内火力事業を統合したJERAは昨年7月同社が保有する低効率な石炭火力発電所について2030年度に向けた廃止を進め、最新技術を採用することで環境への負荷を抑えていくとの方針を示したが、CO2排出量がゼロになる分けでもなく、しかも発電電力量に占める石炭火力の割合は1割強で実現できたとしても微々たる影響に過ぎない。

 とかく前例踏襲第1主義の官僚には方針の大転換が出来ない。つい最近、防衛省関係でイージスアショアの設置に関し大転換があったが、これは河野防衛相のリーダシップによるものであり、大いに存在感を示した。小泉環境相もこれにあやかりたいのであろうが、環境相の権限は限られている。2020.07.18(犬賀 大好-618)


1 コメント

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日本の地球温暖化対策は遅々として進まず (犬賀 大好)
2021-07-19 10:49:11
1年前表記のブログを記したが、この1年で日本の温暖化対策は著しく進んと思わる。すなわち、菅首相が”2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ宣言”をしたのだ。しかし、この宣言は先進国に仲間入りするためであり、具体策は明らかにされておらず、絵に描いた餅に終わる可能性十分である。
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