人間における免疫活動は、体外から侵入した有害なウイルスなどを排除する重要な働きであり、生きていく上で欠かせない役割を果たす。しかし一方で、過剰な反応は鼻炎、アトピー等のアレルギーや関節リウマチ等の自己免疫疾患と言われる病気を引き起こす。
これらの病気の多くは完治するための治療法が発見されておらず、患者は症状を抑えるために薬による治療を受け続けるしかないのが現状だ。
こうした難病の治療法の一つとして、東京慈恵会医科大学で患者の腸に寄生虫の卵を入れることで免疫活動を安定させる研究が進められている。昨年から、人への影響がないと考えられている豚鞭虫という寄生虫を使い、安全性の確認を目指した最初の臨床研究が開始されたそうだ。
寄生虫によりアレルギーを抑えようとする発想は、東京医科歯科大学名誉教授、藤田紘一郎氏の発想であるらしい。1994年に発刊した著書に記されるように、アジアやアフリカなど寄生虫症が広がっている発展途上国では、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の患者が少ないことが発想の原点だったようだ。
氏は、人間は余りにも清潔になり過ぎたため、逆に免疫力が低下し、様々な病気に罹るようになったと主張する。しかし、氏の主張は余りにも突飛であったため当時の医学界からは全く相手にされなかったとのことであるが、20年以上経過しようやく臨床実験されるまでになったのだ。
アレルギー疾患や、より激しい免疫の過剰反応の治療に、寄生虫を使う研究は21世紀に入ってから各国で行われ、一部の国では臨床試験も実施されている。この結果、寄生された人の安全性や実験動物での免疫安定化は確認されたという研究が多く報告されている。ただ、治療効果については様々な結果が出ており、効果が確定されたとは言い難いのが現状のようだ。
遅ればせながら日本でも臨床実験が始まった分けであるが、人間の免疫力に関しては未知の部分が多く今後の進展が楽しみである。
また、最近ではアレルギーと関係ないと思われるアルツハイマー病(AD)にも清潔さとの関係があることが分かり、人間の免疫機能の複雑さが見直されている。昨年ノーベル生理医学賞を受けた本庶佑特別教授のガン治療薬オプジーボも免疫を利用した薬だ。
さて英国の公衆衛生学専門誌に掲載された研究によると、清潔で所得が高い国の都市部ではADの発症率が高い、ということが分かったそうだ。AD発症にも清潔な環境が関連するとして、世界192カ国で細菌やバクテリアなど微生物との関連を調べた結果だそうだ。
これには微生物がいないため免疫力が衰えてしまい、免疫反応の司令塔の役目を果たすT細胞ができなくなる原因が考えられるようだ。
例えば、全国民が清潔な水を利用できる英国やフランスは、ケニアやカンボジアに比べ、AD有病率が9%高く、また、感染症が少ない国スイスやアイスランドでは、感染症が多い中国やガーナより12%もAD有病率が高かったそうだ。
寄生虫はその名前が示すように、人間の体内で栄養分を横取りする悪者の筈であるが、逆に免疫力を高める正義の味方だあるのかも知れない。人類は地球上で最強の生き物として生物の頂点に君臨しているようだが、すべての生物は持ちつ持たれるの関係にあるのだ。
人類が発生したのは400万年前ごろからだと言われているが、地球が誕生したのは46億年前であり、人類は生物の中でも新参者だ。地球のこの長い歴史の中にあって、人間だけに都合のよい環境にしようと思うこと自体が思い上がりだ。すべての生物は持ちつ持たれつの関係にあるのだ。2019.01.30(犬賀 大好)-516
これらの病気の多くは完治するための治療法が発見されておらず、患者は症状を抑えるために薬による治療を受け続けるしかないのが現状だ。
こうした難病の治療法の一つとして、東京慈恵会医科大学で患者の腸に寄生虫の卵を入れることで免疫活動を安定させる研究が進められている。昨年から、人への影響がないと考えられている豚鞭虫という寄生虫を使い、安全性の確認を目指した最初の臨床研究が開始されたそうだ。
寄生虫によりアレルギーを抑えようとする発想は、東京医科歯科大学名誉教授、藤田紘一郎氏の発想であるらしい。1994年に発刊した著書に記されるように、アジアやアフリカなど寄生虫症が広がっている発展途上国では、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の患者が少ないことが発想の原点だったようだ。
氏は、人間は余りにも清潔になり過ぎたため、逆に免疫力が低下し、様々な病気に罹るようになったと主張する。しかし、氏の主張は余りにも突飛であったため当時の医学界からは全く相手にされなかったとのことであるが、20年以上経過しようやく臨床実験されるまでになったのだ。
アレルギー疾患や、より激しい免疫の過剰反応の治療に、寄生虫を使う研究は21世紀に入ってから各国で行われ、一部の国では臨床試験も実施されている。この結果、寄生された人の安全性や実験動物での免疫安定化は確認されたという研究が多く報告されている。ただ、治療効果については様々な結果が出ており、効果が確定されたとは言い難いのが現状のようだ。
遅ればせながら日本でも臨床実験が始まった分けであるが、人間の免疫力に関しては未知の部分が多く今後の進展が楽しみである。
また、最近ではアレルギーと関係ないと思われるアルツハイマー病(AD)にも清潔さとの関係があることが分かり、人間の免疫機能の複雑さが見直されている。昨年ノーベル生理医学賞を受けた本庶佑特別教授のガン治療薬オプジーボも免疫を利用した薬だ。
さて英国の公衆衛生学専門誌に掲載された研究によると、清潔で所得が高い国の都市部ではADの発症率が高い、ということが分かったそうだ。AD発症にも清潔な環境が関連するとして、世界192カ国で細菌やバクテリアなど微生物との関連を調べた結果だそうだ。
これには微生物がいないため免疫力が衰えてしまい、免疫反応の司令塔の役目を果たすT細胞ができなくなる原因が考えられるようだ。
例えば、全国民が清潔な水を利用できる英国やフランスは、ケニアやカンボジアに比べ、AD有病率が9%高く、また、感染症が少ない国スイスやアイスランドでは、感染症が多い中国やガーナより12%もAD有病率が高かったそうだ。
寄生虫はその名前が示すように、人間の体内で栄養分を横取りする悪者の筈であるが、逆に免疫力を高める正義の味方だあるのかも知れない。人類は地球上で最強の生き物として生物の頂点に君臨しているようだが、すべての生物は持ちつ持たれるの関係にあるのだ。
人類が発生したのは400万年前ごろからだと言われているが、地球が誕生したのは46億年前であり、人類は生物の中でも新参者だ。地球のこの長い歴史の中にあって、人間だけに都合のよい環境にしようと思うこと自体が思い上がりだ。すべての生物は持ちつ持たれつの関係にあるのだ。2019.01.30(犬賀 大好)-516
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