岸田首相の良い所は他人の話によく耳を傾けることだそうだが、自分の信念が余り無く、他人の言いなりになっている感である。すなわち国防費や子育て支援費の倍増を主張しているがその具体的中身は自分でもよく分かっていないようだ。
政府は、昨年12月23日の臨時閣議で決定した来年度・令和5年度予算案は、一般会計の総額が過去最大の114兆3812億円となり、110兆円を超えて過去最大となった。この財源を賄うために新たに発行する国債は35兆円を超えており、財源の3割以上を国債に頼る厳しい財政状況が続いている。
一方、歳入では税収と税外収入を約79兆円と過去最大を見込んでいるが、それでも不足し新規国債を発行するが、その約7割は過去に発行した国債の償還や利払いに充てる費用で自転車操業もどきだ。
このような苦しい台所事情であるが、岸田首相は大判振る舞いをしようとしている。すなわち防衛費の増額に加えて、子育て関連予算の倍増や脱炭素関連の投資拡大といった目標を掲げるなど、金は印刷すればいくらでもあると言った安倍元首相を思い出させる。
さて、ロシアのウクライナ侵攻を口実に防衛費は6兆7880億円と、今年度を1兆4192億円上回って過去最大とする他、これとは別に将来の防衛力強化に充てる防衛力強化資金として3兆3806億円を計上した。政府は国防費を今後5年間の規模を43兆円として、安定財源として増税を言い出した。
これまでの専守防衛から敵基地攻撃能力の付加と大きく方針を変えたが、具体的な使い道は示されておらず、まず米国を始めとする先進国並みの防衛費を掲げただけのようだ。
また、2021年9月の自民党総裁選以降、岸田首相は子ども関連予算の倍増を目標に掲げており、歴代の政権が無しえなかった問題の解決に期待も集まっているが、どんなことをいつやるのかといった中身については、今のところ明らかにはなっていない。
一方、小池東京都知事は、今年はじめ、子供に対する月5000円の給付について、2024年1月から一括で給付する等の方針を明らかにした。それで慌てたのか、政府は今年1月1日から、妊娠・出産した女性を対象に、合計10万円のクーポンを支給する「出産・子育て応援給付金」をスタートさせ、4月からは、「出産育児一時金」が原則42万円から50万円に増額させた。子育て支援の全体像が示されないまま、気前よく現金を支給しているが、財源を考えないまさにばらまきだ。
政府は、国と地方を合わせた基礎的財政収支を2025年度に黒字化する目標を掲げているが、歳出拡大が続く中で黒字化を達成する手段に本気度が伺えない。黒字化目標は過去何回も先送りされてきたが、2025年度も先送りされるであろう。異次元の子育て支援により、将来1000兆円を超す国の借金を肩代わりして貰う世代を育成するのが首相の狙いであるのか。2023.02.18(犬賀 大好ー890)
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