日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本の国力の低下は著しい

2022年01月15日 15時07分24秒 | 日々雑感
 「科学技術立国」を掲げる日本の国際的な存在感が低下している。1月7日、企業の価値を決める株価の時価総額の世界ランキングが示された。世界のトップ10で目を引くのは米巨大IT企業で、アップル、マイクロソフト、グーグルの親会社のアルファベット、アマゾン、旧フェイスブックのメタの他、半導体大手のエヌビディアの6社が占めている。最後のエヌビディアは半導体の処理装置の設計を得意とするハード系の企業であり、特に自動車の自動運転の分野では圧倒的な地位を占めるようになっているそうだ。今後更に上位に来るのではないだろうか。日本企業の最高はトヨタの29位だそうだ。

 半導体の製造では技術的に世界をリードする時代もあったが、最近では逆に台湾企業が日本に進出する時代となったしまった。先の世界ランキングで10位で、半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に総投資額7000〜8000億円の製造工場を2022年に着工、2024年に稼働と計画しているとのことだ。

 台湾企業が日本に進出する理由は、日本の優秀な技術や人材の確保と思いきや、日本政府が最大で総投資額の50%、金額にして最大4000億円を補助する計画であることが最大の理由ではなかろうか。

 日本企業では29位のトヨタの次はソニーグループで92位だそうだ。バブル経済だった1989年は、世界のトップ10に日本の金融機関やNTTが入っていたが、30年後の現在、日本企業各社は世界の潮流からすっかり外れてしまったのだ。日本企業はこれまでの成功に胡坐をかき、現状に満足し、新たな冒険や挑戦の精神を忘れてしまったのではないだろうか。

 この傾向は学問の世界でも同じだ。文部科学省が昨年8月上旬にまとめた報告書では、科学論文の影響力や評価を示す指標でインドに抜かれて世界10位に落ちたとのことだ。菅前首相も科学技術立国・日本にとって、20年近くも続く研究力の低迷は、国の将来を左右する深刻な事態であると認識し、今後5年間の目標として、政府の研究開発予算を30兆円、官民の研究開発費の総額を120兆円とし、博士課程学生の支援を拡大し、未来を担う若手研究者を育成するとしていた。

 岸田現首相も政府がイノベーション向上の目玉に据えた10兆円規模の大学ファンドを創設し、世界トップレベルの研究力を目指す大学に国が運用益を配分する計画を立てた。菅前首相の計画と何が異なるか分からないが、肝心なのは金の大きさより運営の仕方だ。

 ノーベル賞受賞者の大隅良典さんや本庶佑さんなど名だたる研究者が、基礎研究が大事だ、と訴えているが、短期的な成果を期待した研究では将来のノーベル賞は期待できない。

 中国が2008年から始めた”千人計画”は外国で活躍する研究者を国籍を問わず集める国家プロジェクトだそうだ。約10年で中国系を中心に約8千人が対象となったそうで、日本からの参加者もいるそうだが、日本でも同様に世界から人材を集めることが出来るであろうか。2022.01.15(犬賀 大好)


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