日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

国家財政が破綻する前に消費増税は必要だろう

2020年09月12日 09時45分10秒 | 日々雑感
 安倍首相の異次元金融緩和は、デフレ脱却を目的に物価上昇率2%を目指し、日銀の黒田総裁を動かして始めた。当初、インフレが心配されたが、8年近く経っても目標の物価上昇率も達成できず、インフレの兆候もない。

 国の借金は1100兆円を越えているが、財政健全化は夢のまた夢状態である。政府にも現在貨幣理論(MMT)により、国の借金はお金を刷り増しさえすれば問題無しとする考えが次第に強くなっている気がするが、どう考えても健全な考えではなく、近い将来破綻が来ると感ずる。

 異次元金融緩和は、市中の国債を日銀が買い取り、市中に金をばら撒き、投資を促し、経済を活性化し、トリクルダウン効果により国民を豊かにする筈であった。しかし、大手企業の内部留保だけは積み上がり大きくなったが、成長戦略が軌道に乗らず、投資先が無く、市中に出回った金は株価の高止まりを支えていると言われる。実際コロナウイルス騒動の為企業活動は低迷し、GDPは異常な低落となっているが、株価だけは高止まりとはまさに異常状態だ。

 さて、日本の国家予算の歳入の約1/3は赤字国債の発行で賄い、歳出の約1/3は国債の利子払い等で消える自転車操業状態であり、財政健全化の話は歴代内閣の課題であった。安倍政権も発足当初からプライマリバランスの達成目標を数年先に設けていたが、そこには経済成長率3%を前提とする等と無謀な計画で本気度が伺えず、今年の新型コロナウイルス騒動で一層遠のいた。

 成長戦略も旨く行かず法人税の伸びない中、昨年ようやく消費税10%化を実現し、安倍首相は今後10年間は増税の心配なしと大見得を切ったが、財政健全化には程遠い。最近の安倍首相のやることなすこと上手くいかず、持病が悪化したとのことで8月末辞任表明することになった。

 現在、自民党の総裁争い、強いては日本の首相争いが行なわれているが、安倍路線を継承するを公約とする菅官房長官でほぼ決まりとのことだ。その菅氏は9月10日夜、テレビ東京の番組で、現在10%の消費税を将来的に上げざるを得ないと明言した。

 増税の話を持ち出すと国民の支持率は一挙に下がることが常識であるが、今回の総裁選に一般国民が参加していない為の安心感からつい口が滑ったのであろうが、国家の財政がいよいよ崖っぷちに立たされたのではないかと懸念する。

 さて、安倍首相が辞任表明したことから、内閣支持率が急上昇し、それまで不支持率の方が高かったが逆転したとのことだった。また、菅官房長官の国民的な人気度が高く、菅官房長官が首相になった今秋にでも総選挙が行われるのではないかとの噂が高まっているようだ。

 民主党政権時代菅直人首相が突然増税を言い出し、選挙で大敗したことがあったが、菅新首相はその選挙前に再度増税を言い出す勇気があるだろうか。

 10日の消費増税の必要性の言及後、波紋が大きかった為、慌てて、その前の行政改革の必要性や増税は将来の話と沈静化に必死である。民主党政権時代行政改革の一環としての事業仕分けがあったが、結果は大したことが無かった。また、成長戦略は簡単には実を結ばず、法人税の伸びは期待できない。

 国家の財政を立て直すためには、消費増税しか残されていないが国民はすべて反対するだろう。菅新政権は、財政立て直しを本気になってやるだろうか。2020.09.12(犬賀 大好-634)

菅次期首相に取り組んでもらいたい重要課題

2020年09月09日 08時59分02秒 | 日々雑感
 安倍首相は8月28日夕方の記者会見で辞意を表明した。その後二階幹事長の素早い動きにより、主たる派閥の長は菅官房長官の次期首相に賛同し、ほぼ菅新首相に決定したも同然となった。次期首相を巡り自民党内で激しい論戦があるものと期待していたが、自民党の国会議員は政治的な空白を避けるとの大義名分に同調したのか、二階幹事長の根回しが功を奏したのか、流れは決まってしまった。

 菅氏は出馬表明で、アベノミクスというものをしっかりと責任を持って引き継いで更に前に進めていきたいと、安倍政策踏襲を宣言した。菅氏は一貫して安倍政権を支えてきた官房長官であり、安倍政策を続行するとすれば、この人以上の適任者はいないが、同時に負の遺産も更に上積みされることになる。

 また、菅氏は出馬表明で若い頃の苦労話を語り、弱者の味方のイメージを売り込んだが、10年近い間権力の座に安住し、昔の苦労を忘れ去ったと懸念する。菅氏は、少なくとも安倍政策の検証を行い、良い所は引き継ぐが、悪い所は修正すると一言言って欲しかった。

 安倍首相は異次元金融緩和に代表されるアベノミクスを断行し、株価の高騰、有効求人倍率の高止まりの実績を残したが、同時に負の遺産も多く残した。

 一番大きな遺産は、崖っぷちの国家財政であろう。国の借金は1100兆円を越えているが、財政健全化は夢のまた夢状態である。現在貨幣理論(MMT)により、国の借金はお金を刷り増しさえすれば問題無しとする考えが次第に強くなっている気がするが、どう考えても健全な考えではない。現在なおデフレ状態でインフレの予兆は見えないが、今のうちに何かしらの手を打つ必要がある。

 アベノミクスは国家財政の危機を促したが、経済格差の拡大にも貢献している。すなわちグローバル化による経済格差の拡大もあるが、赤字国債発行も一因である。国債を買える人は金に余裕のある人である。国家財政の歳入は1/3が赤字国債であり、歳出の1/3は国債の利払いである。国は自転車操業に陥っているのに、国債利子で設けるのは金に余裕のある人で益々金に余裕が出来、経済格差を助長する。

 この他、国家的な課題として、原子力発電を中心とするエネルギー問題、安全保障や領土問題等の外交問題があるが、安倍政権は課題を先送りしたままであり、菅新政権は課題をそのまま受け継ぐのであろうが、これらの問題に対する言及はない。

 自ら解決できそうな負の遺産は、森・加計学園問題や桜を見る会の問題であるが、既に解決済みとの判断で、財務省の官僚自殺問題も解決済みと扱われるのであろうか。これでは弱者の味方の片鱗も無い。

 菅氏は第1次安倍政権で総務相として”ふるさと納税”を成立させたこと、また官房長官として外国人観光客の誘致拡大や農産品の輸出促進に取り組んだことを実績としてアピールし、今後、携帯電話の通信料の値下げや縦割り行政の是正に取り組むことも強調している。

 それはそれで結構であるが、日本の新首相として、日本の将来を決める大きな政策課題に取り組んでもらいたい。これらの問題は、長年問題があると認識されながらも、従来からの方針に囚われ、問題を先送りし、積もりに積もっているのだが。2020.09.09(犬賀 大好-633)


これまで通りのやり方では、PCR検査1日20万件の目標達成は無理だろう

2020年09月05日 10時13分37秒 | 日々雑感
 8月28日安倍首相の退陣表明があり、岸田政調会長、石破元幹事長、菅官房長官が次期新首相を目指して激しい争いになると予想していたが、既に菅官房長官に決まったようだ。素人が勘繰るに、退陣表明する時点で、安倍首相を交え二階幹事長、菅官房長官の間で筋書きは決まっていたようで、残すは二階幹事長の得意とする党内の流れを作るだけだった。

 9月2日の菅氏の立候補宣言で、安倍首相の政策を踏襲すると表明しており、当然コロナ対策でも安倍首相が取りまとめた方針を続行することになるだろう。

 これに先立ち政府は8月28日、新型コロナウイルスの今後の対応方針を決定した。感染者の中でも重症化リスクの高い方々に重点を置き、無症状者や軽症者はホテルや自宅での療養をするとし、医療の負担軽減を計る方針とした。これは感染者の約8~9割が、無症状者や軽症者である事実を生かした方針であり、当然の施策である。

 しかし、この方針はPCR検査を幅広く実施し、重症リスクの高い感染者を素早く見つけ出す前提にたっての話であり、このため検査体制を1日20万件が可能となるように拡充するとした。

 PCR検査の拡充は、新型コロナウイルスが流行し始めた2月頃から言われていたことであるが、PCR検査数を抑えていたのは医療体制の崩壊を防ぐためとか、検査機器は充分揃っているがどこかで目詰まりを起こしているとの政府の他人事の発言があり、中々検査数は増えなかった。

 確かに安倍総理もPCR検査を増やせと言っており、安倍一強政治体制の下、何故実現されないのか不思議であった。この頃から、問題の複雑さに安倍首相のやる気が衰えていったのでは無いだろうか。

 さて、日本での新型コロナウイルスの感染拡大を受けて厚生労働省が今年2月1日付で各都道府県にPCR検査の受付窓口を設置するよう通達し、各保健所内に帰国者・接触者相談センターが新設された。

 当初PCR検査の実施の決定をこのセンターが決めていたようだが、国はそれまで医療費の削減の一つとして保健所の機能を削減していた上、新型コロナウイルスの突然の感染拡大で少人数の担当者にしわ寄せが及び、作業が滞ってしまったようだ。結果、検査数を制限せざるを得ない状況に陥り、しかも保健所は地方自治体の管轄であり、国の通達が行き渡らなかった事情もあったようだ。

 また、新型コロナウイルス対策に責任を持つべき組織がはっきりしていない事情もあるのではないか。国立感染症研究所の感染症情報センターは、保健所と並び、感染症法に規定された厚労省の感染症対策の中核で、各都道府県等域内に1カ所、原則として地方衛生研究所の中に設置されており、非常に数が多い。組織的には感染研の所長が統括する責任者となるのだろうが、帰国者・接触者相談センターと感染症情報センターと同じような名前の組織もあり、役割分担がはっきりせず、組織がバラバラな感である。

 政府は、新型コロナウイルスのPCR検査について、1日平均20万個程度を確保する方針で、併せてPCR検査や抗原定量検査の機器の整備を促進し、その時点における最新の検査手法を活用しながら、必要な検査体制の確保を図って行くと宣言している。

 新首相は安倍首相でも分からなかった目詰まりの原因を探り、解決することが第1では無いかと思う。これ無くして、PCR検査の1日平均20万個の目標はこれまで通り達成できないと思うが。2020.09.05(犬賀 大好-632)

米国トランプ大統領が逆風に少しも怯まないのは

2020年09月02日 09時43分52秒 | 日々雑感
 安倍首相の突然の退陣表明を受けて、次期総裁選出に大混乱が予想されたが、9月1日には早くも日本の新首相は菅官房長官にほぼ決まったとのことだ。自民党国会議員の政治空白を避けるとの口実で、寄らば大樹の陰、長いものに撒かれろ、平和ボケ、自尊心の無さ、をつくづく感ずる。

 一方米国では今年11月の大統領選挙に向けて共和党トランプ大統領と民主党バイデン元副大統領が火花を散らしているようだ。支持率は、8月20日現在、トランプ大統領が42.3%、バイデン元副大統領が49.7%で、数字的にはバイデン氏が有利であるが、米国独特な選挙制度上この数値がそのまま投票結果に反映される訳では無く、どちらになるか未だ判断できないとの論評が強い。

 日本のメディアの報道で知る限り、トランプ大統領の人気は極めて悪い。就任当時から米国第1主義を掲げ、地球温暖化防止を掲げるパリ協定からに離脱、最近ではWHOからの離脱等、世界との協調体制を放棄してきた。

 また、トランプ大統領の側近や親戚筋からの暴露本が相次ぎ、人格的な欠点も明らかにされてきた。例えば、米国家安全保障担当補佐官を務めたボルトン氏やトランプ氏の姪のメアリー氏の暴露本である。

 更に米共和党元議員20人超や歴代の共和党政権の元高官70人余りが、野党民主党候補のバイデン前副大統領を支持する方針を表明し、共和党の重鎮・パウエル元国務長官も民主党大会でバイデン候補への支持を訴えた。

 これだけの話を聞くと次期大統領はバイデン候補に決まったかのように思えるが、トランプ大統領は少しも怯んでいない。商売人としての強がりも多分にあるのだろうが、背景に岩盤支持層があるからだ。8月28日の世論調査の結果、トランプ大統領支持率43.7%で、これは就任当時からほとんど変わっていない。

 岩盤支持層は、技術革新に乗り遅れた白人労働者や信仰心に厚いキリスト教福音派の人々のようだ。トランプ大統領は、前者にはバイデン氏は既得権益層の代表者のマイナスイメージを、後者にはトランプ氏は古き良きアメリカの復元者のプラスイメージを植え付ければ、接戦に持ち込めると信じているようで、この不屈の精神を見習いたくもなる。

 トランプ米大統領は8月23日、大統領選に向けて2期目に実現をめざす公約の骨格を発表した。雇用再生や中国への強硬策に力点を置き、米国第一を一段と先鋭化させる内容だ。経済的に既に中国との結びつきが強くなっているが、中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻すほか、連邦政府は中国に業務を委託する企業とは契約しない、等と、反グローバル経済化を打ち出した。

 新型コロナウイルスは今なお感染拡大が止まらないが、経済の落ち込みに伴い多くの失業者が出る中、環境や健康の保護より景気回復を優先する姿勢が改めて鮮明にすると共に、中国に新型コロナウイルスの感染を拡大させた責任をとらせる、と責任転嫁も忘れていない。

 コロナ対策と経済対策は真逆であり、更にここに来て白人警官による過度な取り締まりによる黒人の差別問題が拡大し、トランプ大統領の暴走が止まらないが、岩盤支持層も一向に崩れない。バイデン氏が次期大統領に選出されたとしても、この岩盤支持層を無視するわけにはいかないだろう。2020.09.02(犬賀 大好ー631)