吹き抜けの上の高いところに開いた
幅三〇センチメートル高さ一八〇センチメートルの縦長の窓
天空のまん丸い月がちょうどその幅に収まっている
長い耳のうさぎが餅つきする大きな明るい月
その手前を
透き通るヴェールのような
薄墨色の淡い雲が通り過ぎる
里に帰る月の姫が乗るには儚すぎる雲
はらはらと涙を落とすかのような雨を降らすには薄すぎる雲
仰ぎ見る貴公子がひょうと鏑矢を放ち射落とすには軽すぎる雲
長い耳のうさぎが
夜の夢を運ぶ
かのような月
#月刊ココア共和国 6月号に投稿の詩。電子版佳作詩編のみ掲載の由
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