ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

男として

2021-09-29 16:41:55 | 月刊ココア共和国 投稿詩
人間の
男として
女を愛する

女がかつてこう語った
「わたしたちは
 墜ちたまま
 それしかほかに
 知らない仕方でむさぼりあった
 シイツの草叢で
 祖先たちの墓の上で」(新川和江 「地上の愛 より」第三連)

男として
女を愛することを語り直す

おれたちは
天上に昇ったり地獄に堕ちたりを繰り返しながらむさぼりあった
正しいことと誤ちと多様な方法を試みて愛し合った
シイツを皺寄せながら
フランスの歴史を辿りながらロシアの大地に接吻しながら
天使と娼婦を抱擁した

その果てに
人間の女を抱く
おれは
変数の男として(nとして)
変数の女を抱く(mを抱く)

月刊ココア共和国 9月号電子版佳作集Ⅱ掲載

※参照;この詩のインスピレーションの源。


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