ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

来る/来ない

2012-07-19 23:39:34 | 嫌いだ嫌いだ

サマー/ウィンターorオータム
夏になろうとする時
その直前
引き戻される

とは言わず
突如
秋がやってきたように

モノ悲しく
モノ寂しい

風邪を引く
わけではなくとも
上着をはおって
一息つく

建物の中は
昨日の熱をはらんでいるが
陽が落ちれば
明け放った窓から
冷たい空気が忍び込む
やがて熱は放散する

夏は来るのだろうか?
あの耐えがたい夏が
来れば耐えがたく
来なければ
取り返しのつかない大切な
落し物をしたような悔恨が襲う

ああ今年は
砂浜の水浴を
することがなかった
熱い砂浜を跳び撥ねながら
走ることがなかった

取り返しのつかない
後悔を

行為の選択を後悔する つまり
行為の非選択を後悔する以前の
自然の条件の問題なのだが
泳ぐに足る熱い日がなかった
ということなのだが
後悔する
泳がなかったことを後悔する
泳ぐ日のなかったことを後悔する
熱い日のなかったことを後悔する
取り返しのつかない悔恨

今日は
ほとんど夏であった昨日
から引き返した冬
とは言わず
突如
一足飛びに
秋がやってきたように

閑散とした
海水浴場
砂浜

さて
未だ梅雨が明けない
だけだ

先取りした後悔
空漠


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