ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

完全なひと あるいは無常ということ 霧笛143号から

2023-07-27 22:57:21 | 詩誌霧笛137号(2021)以降
完全なひとは
いない

ひとは
死んで初めて
いろんなものが欠けたままの
あのひと
として定まる
生きている間は危なっかしい
どう転ぶかわからない

聖人君子が犯罪者となる
ちゃらんぽらんな男が
あっと驚く誠実さを見せる
まあほとんどはどっちつかずの
宙ぶらりんの
中庸という言葉もあるが

ああ無常
定常はない
定住の地はない
明日には
転げ落ちて行方も知れぬ

ああ無常
情けもない
情けない

完全なひとはいない
どこにもいない
ああ無情

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