チヒローズのおふたりから
石津ちひろさん、なかがわちひろさんの「チヒローズ」のことはここでも何度も紹介しているところだが、なかがわちひろさんから、142号のご感想をいただいた。「ぱらりと開いて、最初の畠山さんの「そのときを」を読み、ふっと涙ぐみました。とても平明なリズムで。ロシアのワグネルでは、「人のTSUNAMI」になれと強要されるそうですね。前線の兵が死んでもその死体を超えて突進しろという意味だそう。」
続けて「チヒローズ」のメンバーであるコヨセジュンジ氏と長野ヒデ子さんに「きのうはコロナ以来はじめて上野の森親子ブックフェスタに参加し…お会いしました。どうぞ、美味しい珈琲を」最後は私の詩によせてのひと言である。
石津ちひろさんは、昨年フジコ・ヘミングの絵と合わせた詩の絵本「ねことワルツを」を出版されたが、5月12日早朝NHKの「ラジオ深夜便・人生のみちしるべ」にて、その紹介も含め、インタビューが放送された。私はお知らせいただき、ネットの聞き逃し配信で拝聴、感想をお送りした。
「ラジオ深夜便聴かせていただき…二度聴きました。石津さんのお人柄、経験、父上のこと、そして言葉への思い、聴いている内に、涙が出てくるような思いでした。「あしたのあたしはあたらしいあたし」は、やはり素晴らしい詩ですね。子どもたちの、そして私たちの未来への希望の詩、でしょうか。…新しい詩集も準備中とのこと…楽しみにしています。」
放送では、震災後、チヒローズとして気仙沼市の小泉小など何度も訪問し、子どもたちと交流されたことなども触れていただいた。「あしたの…」の詩は、その教室でも取り上げられた作品である。また「ねこと…」について、はじめ石津さんがねこの詩を書いて、それに合わせてフジコ氏が絵を描くという企画でしばらく預けておいたところ、コロナ禍でようやく描いていただき、その絵をもらってから、こんどは、その絵に合わせて全面的に詩を書き直したのだ、とおっしゃる。丁寧に手間をかけて作品づくりに取り組まれているご様子である。
石津さんからは「…嬉しい感想もお聞かせいただき…とてもうれしく、励みになりました。」と返信をいただいた。そしてやはり、142号について、「まず驚嘆し、そして愉快な気持ちにさせてくださったのは、折句の手法を取り入れた熊本吉雄さんの「唄ってごらん」です。声に出して読むと、あっという間に晴れやかな気持ちになりました。」
折句というのは、詩の各行の冒頭をつなげて読むと違う意味が現われる技法という(最近では、新聞のテレビ欄の枠の左端をつなげて読む、というとお分かりだろうか)。実は、石津さんは、日本における言葉遊びの詩の第一人者である。長新太氏絵の絵本『まさかさかさま動物回文集』(河出書房新社)など多数の絵本を出版なさってもいる。「まさかさかさま」を逆から読み返してみて欲しい。また、「あしたの…」にもアナグラム的な言葉遊びの要素がある。熊本さんの詩はここでは引用しないが、ぜひ、前号をご覧いただきたい。見事な仕掛けである。実は私も気づいていなかった。
続けて私の詩「静かなくらし」に触れて「ゆったりした気持ちで読むことができました。まるで深呼吸をするように…。思わずまったく同じことをしてみたくなりました」。さらに、同人の「みなさんのどの作品からも豊かな〝詩〟が感じられて心をときめかせながら読ませていただきました。ほんとうにありがとうございました」。
〈編集後記〉
◆新しい表紙は白幡みゆさん。市内新城のあそぼん(NPOが提供する子どもたちの自由な遊び場)のプレイワーカー、中核的スタッフとして活躍中。一児の母、ウクレレの弾き手でもある。これまでと同じく常山俊明の推薦。
◆小田亜希子さんは、母校弘前中央高校の同級生の皆さんのご尽力で、弘前市において個展を開催された。霧笛の表紙を飾った作品が中心であり、霧笛自体も会場に置いていただいたとのこと。もう一つの故郷での個展成功は、私たちにとっても有り難いことである。
◆熊本吉雄さんは今号から休会であるが、読者からの評価は高い。復帰を心待ちにしている。
◆菊池さかえさんは1回休載であったが、無事復活された。
◆今年も7月22日、霧笛の朗読会を、照井由紀子さんの陸前高田ジョニーで開催する。内輪の催しではある。
◆会津若松の大島芳子さんから「水上洋甫さんの詩集を読み、気仙沼が大好きになりました。…霧笛の皆様の作品がどれも素晴らしく読み応えのある詩誌だと毎号楽しみにしております」とお便り。鳴子の本田作夫さんは「いつも、作者のみずみずしい感性、人間を、社会を見る目の確かさ、そして反戦平和への願いが伝わってきます」と。図書館学の齊藤誠一先生からは「千田さんの詩の内容に共感するとともに表現されている空間をイメージした時にその居心地の良さはたまらないですね」と。有り難いことである。
◆宮城県詩人会など、オフィス汐におけるさまざまなイベントについても紹介したいが紙幅がない。
◆今年も、宮城県芸協文芸作品公募の詩一般の部選者を務めることとなった。8月4日必着、多数のご応募を!
宮城県芸術協会 文芸作品公募 チラシ
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