ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

旅人 霧笛130号から

2019-08-17 13:34:12 | 2015年4月以降の詩

 わたしは旅人

生まれ育ち今も住んでいる街へ旅する

半島と湾と島とが交差する

海辺に開けた街

 

盛り土された区画に

公営住宅コンビニ理髪店ガソリンスタンド酒屋外食店BRTの駅タクシー会社ドラッグストアスーパーマーケット信用金庫葬儀場住居

ようやく建築が並び始めた新しい街を走り

川を渡る新しい橋の先の高台に削り取った新しい道路を走り

その先の

島へ

海を渡る工事を終えた新しい橋を渡って

別の天の下の土地が

地続きになったかのように

 

しかし

そこには確かに海峡が横たわる

 

定期船の廃止された船着き場まで走って

車を降りることなくUターンして

島から

真新しい橋をもういちど渡って戻って

 

どこにも行かないのに

どこかへ走って

どこにも行きつかないのに

どこか走りまわる

 

走りまわって

あるものとないもの

かつてあったものとまだないもの

を見まわる

見慣れた風景が見慣れない光景と重なる

毎日

未だかつて見たことのないものを見る


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