僕の生きている時代は
千代に八千代に
続くわけではない
巌の
さざれ石となりゆくほどの時も経過することがない
天から落ちた天女の羽衣を拾うことがあっても
ひとときの夢
うつつではあっても夢
天女は再び月の世界へ舞い戻る
あでやかにきらびやかな舞を舞い踊り
あくまでも静かに音もなく舞い踊り
あるいは冷たい悪魔の微笑を浮かべて舞い踊り
天使のやさしげな微笑を浮かべて舞い踊り
怜悧なまなざしで僕を見通し
天の高みへと舞い上がる
ペンキで海岸の砂と松を描いてお仕舞い
とは行かず
涼しげな風が吹き渡り
葉擦れの音と
浪の音が響き
ほんとうのことは
だれかがどこかで語っているかもしれない
僕が語ることのできるのは
ああそれは良かった
と
目を奪われるように美しかった
しかしそれはいっときの夢のように消えた
と
淡い経験と喪失のあわいに
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