土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

称名寺はわび茶の祖、村田珠光ゆかりのお寺です。

2011年07月12日 | 奈良の古寺巡り


(2011.07.09 訪問)

蓮長寺から北東約十分、茶祖村田珠光縁の称名寺は在ります。やすらぎの道には
立派な石標が建てられています。



[ 称名寺 ] しょうみょうじ
●山号 日輪山(にちりんさん)
●院号 大雄院(だいゆういん)      
●寺号 称名寺(しょうみょうじ)
●宗派 西山浄土宗
●開基 興福寺の学僧専英、琳英が常行念仏の道場を建立。
●開創 文永二年(1265年)
●本尊 木造阿弥陀如来坐像、釈迦如来坐像、弥陀如来坐像像の三尊形式。平安
時代造像。  

称名寺縁起
1265年興福寺僧専英、琳英が京都三鈷寺の澄忍とともに常行念仏の道場として開
創。当初は興福寺の北に位置するので興北寺と呼ばれていたそうです。お寺は数
度の被災で、江戸後期1802年本堂と茶室が再建され今日に至っています。

▼寺標。



▼山門。



▼村田珠光旧蹟碑。
わび茶の開祖、村田珠光(1423~1502年)が十一歳の時称名寺に入り出家したも
のの二十歳の頃破門され還俗したと伝えます。まさかそれだけのことで旧蹟碑は
建てないでしょうネ。珠光についてはわび茶道をいつはじめたのか不詳の部分が
多く、後年お寺に戻り独爐庵という茶室を建てたと伝えますが今の茶室は江戸後
期の建築。その後、珠光から武野紹鴎へ、紹鴎から千利休へと伝わるわび茶の精
神は皆さんの知るところですね。



▼本堂。
江戸後期享和2年(1802年)の建立。
本尊木造阿弥陀如来三尊(重文)。
毎年5月15日の珠光忌以外は本堂、茶室の扉は閉ざされています。



▼本堂扁額。



▼本堂前の蘇鉄。



▼本堂横の十三重石塔と宝篋印塔。



▼石仏三体地蔵尊。



▼千体石仏群。
境内東に1900体の地蔵石仏や板名号、墓石が整然と並べられています。壮観です。
奈良の敵、松永弾正が多聞城築城の際、近隣諸寺の石仏を片っ端から強奪、その
石垣に用いたもので、多聞城解体後、時の住職が集めこの地に祀ったといいます。
それにしても松永弾正バチアタリな人物だったようで。







▼遙拝石?



決して広くはない境内ですが千体石仏群は実に壮観です。一見の価値大いにアリ
ですよ。炎天下暑気払いにお地蔵さんのお顔をしみじみ眺めてみるのも一興かと。
熱中症にはくれぐれもご注意を!



それでは、やすらぎの道を南へ、浄教寺から伝香寺へ向かいます。

天女、宙を舞う。蓮長寺。

2011年07月12日 | 奈良の古寺巡り


(2011.07.09 訪問)

▼今丁度正午、近鉄奈良駅前から東を見ています。



見てくださいこの天気、近畿はきのう八日、梅雨明け宣言です。
どうですこのグッドなお天気、シャープな青空、ピュアな空気……。
なんてとんでもありません。
お寺巡りてなものではなく焦熱地獄巡りですワ。兎に角アツー、アツー以外に言
葉が出ません。汗はやたら出ますが。古都奈良の大宮通、歩いている方はほとん
どいません。しかしボクは今、大宮通を西へ地獄巡りじゃなかった今日のお寺巡
り第一弾、蓮長寺を目指してヨタヨタと。

[ 蓮長寺 ] れんちょうじ
●山号 光映山(こうえいさん)
●寺号 蓮長寺(れんちょうじ)
●宗派 日蓮宗
●開基 不詳
●開創 奈良時代。一説に奈良時代に創建された喜見城院が前身。
●中興 日蓮聖人。日蓮宗改宗1468年.
●本尊 十界曼荼羅

蓮長寺縁起
開基開創は不詳ですが、奈良時代後半に創建された「喜見城院」というお寺が前
身寺院とされ、その後、鎌倉時代日蓮聖人が南都遊学時この寺に滞在された事、
日蓮さんの旧名「蓮長」から江戸初期に「蓮長寺」となったそうです。
応仁2年(1468)日蓮宗に改宗。

▼参道。大宮通北側に参道は面しています。



▼寺名石標。
「日蓮大聖人南都御遊学寄寓之旧蹟」と刻されています。



▼山門。
再築されたらしく新しい表門です。
山門を入ると奈良市の中心部に在りながら町の喧騒はありません。



▼鐘楼。
山門を入るとスグ右手、山門よりもすこし新しい建物のようです。



▼本堂(重文)。
日蓮宗本堂の典型と云われるだけに、まさに堂々とした佇まいを見せています。
この写真では判りませんね、ドーもスンマセン。
入母屋造本瓦葺。江戸期1653年再建。
日蓮宗本堂特有の外陣には仕切がなく、正面階段を上がると無扉でスグ外陣。



▼本堂外陣の天井画。
見事としか云いようのない天井画。お寺では鎌倉中期の作と聞きましたが本堂は
江戸再建で時代が合いませんが外陣天井だけ旧材を使用したのでしょうか。描者
不詳。中央に向かって二人の菩薩か天女が手に楽器を持ち宙を舞っています。こ
の絵を見るだけでこの日一日納得!







▼祖師堂。
本堂と渡廊下で繋がり日蓮さんを祀っています。お堂は新しいものです。



▼日蓮宗名号石碑。モチロン、南無妙法蓮華経。



▼番神堂。仏教守護の神々をお祀りしているそうです。



外気にさらされながら、ほとんど褪せることなく、古彩色を保っている本堂天井
画、是非皆さんにも見ていただきたい傑作だと思います。
それでは、茹だりながらヨロヨロと称名寺に向かいます。