蜜柑のつぶやき ~演出家の独り言~

NPO法人劇空間夢幻工房の演出家/青木由里の日々の呟き。脚本執筆・役者・ワークショップ講師も兼業する舞台人日記♪

劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演「ISHIN version.2024」

NPO法人劇空間夢幻工房 創立25周年記念公演
タイトル 『ISHIN ~狼たちは最果てに~ version.2024』
脚本・演出 青木由里
出演 青木賢治/栗生みな/村松沙理亜/清水まなぶ/井田亜彩実/導星ゆな 他

日時 2022年9月8日(日)11:00~/15:30~
会場 飯山市文化交流館 なちゅら 大ホール
チケット予約フォーム:https://www.quartet-online.net/ticket/ishin2024

皆さまへ感謝を込めて晴れやかに開催‼
どうぞお楽しみに‼

それでも私が演劇を創り続けるのは・・・

2015年03月12日 23時29分48秒 | 日記
昨日は3月11日…
4年前の震災と、その時に自問自答した
「私はなぜ演劇を創るのか」ということを
もう一度振り返った。

生死の瀬戸際では演劇など何の役にも立たない…

世界を見渡せば、大災害、戦争、内乱、テロが起きていて
もしその渦中に自分がいるならば
演劇を上演することもできないだろうし
創作することも不可能だろう。

社会変革を本気で考えるなら
NGO活動か政治に関わる活動に
取り組んだほうが良いのではないか…とも。

4年前のあの日以来、公演活動は自粛ムードが漂い
舞台関係者は皆、苦悩していたに違いない。
私も5月に予定していた芝居の執筆をしながら
「それでも私は何故演劇をするのか」を考え続け―

最終的に演劇を上演することを選択。
それから2カ月後に義捐金の募金箱を会場に設置して
劇団本公演「ペルソナ」を上演した。

なぜ上演するに至ったのか…
自身のメモとして記載しておこう。

演劇には物語があり、様々な人物が登場し
出来事による葛藤を生のライブで観て感じることが出来る。
他者の人生を知り、他者の痛みを知る機会になるのだ。

「人生は演劇だ」と言われる所以はここにある。

そして、演劇は逞しく生きる力を養うツールの一つでもある。

更に、見ず知らずの観客&キャスト&スタッフが
同じ時間と空間を共有し、最後はみんなが笑顔になれる―

あの日、私は今後何が起ころうと
舞台を創り続ける決意を固めたのだった―


人間には感情や思考があり
行動する前の理由づけが必要。

演劇は、想像力の範囲を広げ、視野を広げ
様々な価値観に触れる機会にもなり
ひいては行動する前の理由づけも
たくさん取り揃えることが出来るようになる。

どんな苦難がやって来ても
どんな悲しみが押し寄せて来ても
それらを乗り越え、新たな一歩を踏み出せるような
どんな状況下にあっても生き抜けるような
逞しい人間になれたらいいね…

そのためには…
自分が創る物語が大きな鍵となる。

動物は、食・睡眠摂取と体温保持ができれば
生命維持は可能だ。

しかし、例え衣食住が足りたとしても
人間は想像欲求から、老病死や
他者と自分を比較したりしてしまう。
そして、時には想像の産物である不安に
押しつぶされそうになるときもある。

物語が想像通りに進めば幸せを感じるだろう。
物語が想像通りに進まなければ不幸せを感じるだろう。

想像通りに進まない理由が他者であれば
その他者を憎み、悪人に仕立てあげ
自分の正当化を図り安定を図るのは
自己保身、あるいは自己防衛である。

生き物が攻撃を受けた時に
自分の命を守るためにする行動は
反撃か逃亡か屈服あるいは追従―

なぜ人間はこんなにも争いが好きなのか…と
思う時もあるが、好き嫌いではなく
「自分を守る」ための行動だと思えば納得できる。

「逞しく生きる力」を持つ人は
町の、団体の、企業の推進力になる。
活力のある人間がいれば活気ある社会になる―

「町づくりは人づくり」だ―

という祈りに近い考えに至り
震災から2カ月後、意を決して
劇団本公演を上演したのでした―

亡くなられた方々のご冥福を心から祈りつつ
笑顔溢れる豊かな社会を想像しながら
これからも演劇活動続けていきたいと思う。