ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

こしをれ歌

2017-07-02 04:21:23 | 短歌





月を見て 千々に涙は 流しつつ こしをれ歌を 千々に詠みけり






*新しい作者が来てくれました。読んでみれば、今までの歌と雰囲気が違うことがわかるでしょう。

「こしをれうた(腰折れ歌)」は第3句と第4句の間がうまくつながらない下手な歌のことを言いますが、歌詠みが自分の歌を謙遜していうときにも使います。「千々(ちぢ)」はたくさんという意味だ。一応これは、百人一首にある大江千里の有名な歌を下敷きにしています。元歌は知っていると思うので、ここでは強いてあげません。

月を見てたくさんの涙を流しながら、たくさん下手な歌を詠ってしまいましたよ。

そういうように、この人はここでたくさんの歌を詠んでくれました。次々にあふれてくるので、いちいち紹介しきれない。なので今日はこの人の作品ばかりをいっぺんに紹介してみましょう。以下に六首並べます。





とこしへに 会はでゆくべき 吾妹子の 見ゆる岸辺は 神の背ならむ


月代は 目には見えども はるけきを 指を伸ばせる 我は蝙蝠


真昼野に 見し幻を てふのごと おひて舞ひつる 絹の下帯


過てば 悔いて踵を かへせとぞ いにしへの孔子 民に語りし


時雨降る 闇の最中に 見し夢を 君に語るは つひに来ぬなれ


闇を煮て 月の鶴をぞ とらへむと 花を添へども 屠れはすまい





いかがですか。ひとつひとつに解説を入れたいところだが、とても間に合いません。ただ読み方だけ少し注釈しておきましょうか。「吾妹子(わぎもこ)」はわたしの妻とか恋人、という意味ですね。知らないことはないと思いますが、一応書いておきましょう。「蝙蝠」は「かわぼり」と古名で読んでみましょう。「孔子」は「くじ」と読みましょう。「鶴」は「たづ」です。

まあすごいのは、これだけの歌を、ほんの数時間のうち立て続けに詠ってくれたことです。わたしがこういう仕事をしているので、歌を詠いにきてくれたのだが、たくさんありすぎて困ったので、今日はいっぺんに紹介してみました。

一つ一つの歌の解釈は、みなさんでやってみてください。たまにはこういうのもいいでしょう。面白い感じで、現代語風に言い換えてみましょう。

ところどころに係り結びも隠れています。注意して訳しましょう。






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