せりあぐる 虹をかぶりて ひきしほの 月は総身に まことを浴びぬ
*少し前から、かのじょが残した詩の言葉を歌に詠みかえるということをやっていますが、これもそれです。本館の「ちこりの花束」の中にある詩ですね。かのじょが同人誌の片隅に記してあった詩です。「愛」という詩ですが、同人誌発表の折りにはタイトルはありませんでした。ブログに発表する折りに、試練の天使がつけたのです。
興味ある人は探してみてください。詩の方は、かのじょの愛に関する思想のかけらを一つちぎって出したような感じですが、歌にしてみれば、かのじょの後の運命を語るようなものになっている。もはやあの頃から、この運命は決まっていたかのようです。
大地の向こうからせりあがって来る虹をかぶり、引き潮のように下がっていく月が、どうしようもない真実を総身にかぶってしまった。
虹というものは、彼試練の天使の性格を表現するときによく使われる言葉です。彼は本当に、虹のようにめくるめく色を使って語ります。恐ろしく豊かだ。変幻自在の技をもって人々を魅了する。そのような存在が、どこかから立ち上がってくる。それを見ながら、かのじょは退いていく。そうならざるを得ないような真実があったことを、総身に感じながら。
この人生で、かのじょはとてもかわいらしい女性になりました。あまやかでとてもやさしい美女です。普通天使というものは女性に生まれても、かなり男性的で大きな女性になるものですが、この人生でのかのじょはとても小さくなった。なぜというに、女性たちのために、女性の人生の見本を見せることが、主目的だったからです。
だが、それがこういうことになるとは、誰も思っていませんでした。かのじょが美しい女性になって生まれて来てみると、人間の馬鹿たちの、美しい女性に対する弱さとコンプレックスがあらわになった。それが大変なことになった。
今更言ってもしかたのないことだが、かのじょはこの人生で、あなたがたと永遠に決別することになるだろうとは、露ほども思っていなかったのです。それほど、あなたがたは、この問題に未熟だった。あまりにも勉強ができていなかった。
ゆえに、かのじょの後から出てきた試練の天使は、美と女性について、こんこんとあなたがたに教え続けているわけです。もはやこの問題は、無視することなどとてもできない重いものになっている。美しくなりたいという人間の気持ちを、重大なことにして取り扱わねば、人間はとてもきついことになるということなのです。
美しくなりたいなどという気持ちが自分の中にあることは、あなたがたにもとても恥ずかしいことでしょうから、言われるとつらいこともあるでしょう。だが、同じ過ちを二度と繰り返さないためにも、ここでちゃんと勉強しておかなくてはなりません。
試練の天使はどんなきついことも教えてくれる。耳を傾け、深く肝にやきつけなさい。
そうすれば、二度と、愛する美しい人を失うような真似はしなくてすむでしょう。