通常、試験問題というのは極秘事項のはずだが
75歳以上の人が運転免許を更新する際、課せられる認知機能検査はそうではない。
ネットで問題をたやすく見ることができるし、問題集まで売られている。
つまり、大っぴらになっているのだ。
だから事前に勉強しておけば、何の心配もないはずだが……。
そうはいかない。年寄りの記憶力は何とも危ういのだ。
免許の有効期限は今年8月23日となっている。
その更新通知書、正確には「認知機能検査・高齢者講習通知書」
が、驚くことに半年も前の2月に届いた。
免許を更新するには、まず認知機能検査をクリアし
そのうえで適性検査や実車試験に合格しなければならない。
以前はこの2つを自動車教習所で同じ日に行っていたが
教習所の負担が大きいとして認知機能検査は運転試験場、警察署、
交通安全協会などで行うようになっている。
早速、運転試験場で受検した。今回が2回目だから
どんな問題が出るかは分かっている。
難関は絵の記憶問題。それぞれに4種類のイラストが書かれたボードを4枚、
つまり4×4=16種類のイラストを見て記憶する問題だ。
意地悪なことに簡単な問題をはさみ、16種類のイラストを全部書き出せというのだ。
直前に見たイラストだから簡単に思い出せそうだが、これが簡単ではない。
なかなか思い出せない。
受検している人たちは、一様に「うーん」とうなることになる。
全部書き出せる人は、「まずいない」と試験官氏から聞いた。
他にも2問あるが、この問題がメーンであるのは間違いない。
そして、この認知機能検査で49点未満だったら
別に認知症専門医の診断を受け、認知症と診断されたら免許の取消・停止処分となる。
さらに後日、適性検査や実車試験などの高齢者講習を教習所で受けるわけだが
認知機能検査が「49点以上76点未満」だったら3時間講習
「76点以上」なら2時間講習となる。
幸いなことに、2時間講習で乗り切れた。
認知機能検査を終えた日に4月に講習を受けるべく予約した。
それをクリアすれば免許更新できるわけだ。
言うまでもなく高齢者の交通事故が増えている。
身体能力の衰えのほか、記憶力、判断力も落ち
それらがペダルの踏み違え、逆走など事故の一因ともなっている。
検査問題が半ば公になっているとはいえ
事前の勉強がさして役に立たないのが記憶力なのだ。
自分では「まだまだ」と思っていても、衰えは隠せない。
免許返納もそろそろか。