大学4年生の男の子。
この孫は、〝おばあちゃん扱い〟が、とても上手だ。
格別、おべんちゃらを言うのではないが、
受け答えに屈託がなく、ユーモアを交じえて、
おばあちゃんをほんわりさせるのに長けている。
おばあちゃんが、覚えたてのLINEで
「たまにはご飯を食べにおいで」と誘えば、
「じゃ、○日に行こうかな」と乗ってくる。
おばあちゃんにすれば、
孫が遊びに来てくれるだけでもうれしいのに、
「おばあちゃんのあの筍ご飯食べたいな。それから天ぷらも。
ナス、かぼちゃ、さつまいも、それから鶏……
そんなのがあれば最高」
そう言われたおばあちゃんは、心大いに弾み
「はい、はい 用意しておくからね」
痛い膝もなんのその、スーパーへと足取りも軽く走るのである。
そして、筍ご飯はおかわり3杯、要望通りの天ぷらも
ぱくぱくと口の中へ入っていった。
おばあちゃん もちろん大満足の表情だ。
その孫が、母親(僕の長女)の元を離れて
1人暮らしを始めるという。
「今のうちに1人暮らしを経験しておくのもいいんじゃない。
炊事、洗濯、掃除……何でもやってみればいい」
母親は平然としている。そういう子育て法なのだろう。
祖父母が口を出すことでもあるまい。
すると、孫が家の中をゴソゴソやり出した。
そして、「このカーペット欲しいな」と言うのだ。
1人暮らしの家に敷きたいというのである。
ちょっと高価なカーペットだから、
さすがのおばあちゃんも「いいよ」とは言えない。
「別のを買ってあげるよ」で収め、
さらに「このソファベッド持っていきない」
とプラスアルファを付けてやった。
孫の一方的なペースとなったのだが、
それでも、おばあちゃん ものすごくうれしいのである。
最後は、おばあちゃんのジーンズ地のつば広帽子に目を付けた。
「これももらおうかな」そう言いながら、かぶってみせる。
一応鏡に映し、「はい いただき」。
おばあちゃんは、にこにこ笑うばかり。
「ねえ、それかぶって帰るつもり。どうなんだかね」
へんてこりんな自分の長男に、母親は複雑な笑みだ。
確かに、ちょっと変わった孫ではある。
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