Toshiが行く

日記や趣味、エッセイなどで描く日々

AIに超えられる日

2023年06月08日 17時25分47秒 | エッセイ


氷が解けると□になる──AIにこう問うたらどう答えるか。
試みにLINEアプリの『AIチャットくん』に尋ねてみた。
予想通り「水に変化します」だった。
そして、「通常、氷は0度以下の温度で存在しますが、
気温が上がって熱を吸収すると、氷は徐々に解け始めます。
氷が解けるとき、氷の分子が熱を吸収してエネルギーを得、
分子間の結合が弱まります……」などと詳しく解説してくれた。

ところで、実話とも伝えられている試験ものの小話がある。
この「氷が解けると……」の問いに「水」とは言わず、
「春」と答えた子供がいたという。
この新聞記事を読んだ時、
「どうだ!」といささか誇らしい気持ちになった。

同じ記事からもう一つ。
先生が四字熟語の問題を板書した。
「□肉□食」の空白を埋めろというわけだ。
一人の学生が手を挙げた。
「はい、焼肉定食です」
──国語が苦手なのか、ふざけただけなのか。
これもまた試験ものの小話なのだが、
素直に「弱肉強食」と正答を言わない学生に身を寄せたくなる。
そして、こうつぶやく。
「AI君、君はこんな柔らかな感受性は持ち得まい。
君には対抗できるはずがない」

       
 
だが、「どうだ!」とばかり言ってはおれない。
精緻な文章や画像などを作り出す生成AIは、
人間の仕事や創造活動の生産性を飛躍的に高めるに違いないが、
ただ懸念材料もさまざまに指摘されている。
その一つ、生成AIが文章や画像を生み出す〝思考回路〟が
開発者自身にも分かっていないのだという。
将棋のプロ棋士がAIに敗れたことがある。
そのAIは勝つ手順をどう考えていったのか、
その〝思考回路〟は解明できないままなのだ。
それは人間がAIを制御するのは不可能だということを意味する。

AIに関し「2045年問題」ということが言われている。
人工知能の性能が2045年に人類の知能を超える、
つまり人工知能が人類に代わって
文明の主役になる転換点というわけだ。
その転換点を「技術的特異点=シンギュラリティ」と呼ぶ。

言うまでもなく、AIは国境を越えて広がる。
先に広島市で開かれたG7で、
このAI問題が主議題の一つになったのも、
そんな懸念があるからだ。
AIの恩恵を受けつつも、
空恐ろしさもまた急速に強まってくる。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿