【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

ニオイの出る映画

2011-05-23 18:58:34 | Weblog

 実験的にそんな映画館が作られたことがある、と聞いた記憶がありますが、結局換気(ニオイの切り替え)の問題がクリアできないと本格的なものは無理でしょう。
 ただ、もし本当にそういった映画ができたとしたら、私は18世紀が舞台だったら、ロンドンやパリは敬遠します。絶対悪臭都市ですから。舞台が江戸だったらたぶん耐えられるでしょう。

【ただいま読書中】『シブすぎ技術に男泣き!』見ル野栄司 作、中経出版、2010年、952円(税別)

 「今の日本を造ったのは政治家でも商社でもマスコミでもない……それは、中小企業の技術者たち」という視点からの漫画です。見ル野栄司さんは、現在は漫画家ですが、社会人としてのスタートは半導体製造装置を作るエンジニアで、だから「もの作り」には相当な思い入れがあるそうです。
 電子回路設計、スピーカー、石油探査用測定器……と様々な企業がコンパクトに紹介されます。ちょっとコンパクトすぎて、私には物足りない点が多くあります。たとえば石油探査用測定器の所で、原油を汲み出した後の隙間(キャップロック)に二酸化炭素を押し込めるという作業を行なっているから環境問題にも配慮している、とあるのですが、その二酸化炭素をどこからどうやって持ってくるのか、についても知りたいと思いました。
 そこでちょっと時代が戻って、テレビ(高柳健次郎)、乾電池(屋井先蔵)、製麺機(真崎照郷)などの開発物語が紹介されます。これら先駆者の苦労はほとんど全人生をかけたすごいものですが、それに続いて著者自身の「開発物語」も。こちらは「男泣き」ではなくて「思わずもらい泣き」をしてしまいそうなものばかりですが。
 「熱い思い」がぎゅっと詰め込まれていて、ちょっと暑苦しく感じますが、それでも私は「手を動かす」ことを重視する姿勢を高く評価します。今の日本ではなぜか「手を動かさずに口だけ上手に動かす人間」が高く評価される傾向がありますが、そういった人間の生活を支えているのもまた「手を動かす人が作り出したもの」ですから。