私は神社に参ると「二礼二拍手一礼」です。最初に習ったのがこの方式でしたし、どの神社に行っても「お参りのやり方」とか書いてある一般参詣者の便利のために張り出してある紙にはこれが書いてあるので、全国共通どこの神社でもこのやり方だろう、と思っていました。
違いました。
いつか見たテレビでは、伊勢神宮の宮司さんは八開手(やひらで)と言って拍手を8回も打っていました。一般人が入れない奥の方では、二礼二拍手一礼だけど、地面にしゃがんで行なっている姿を(やはりテレビですけれど)見た覚えもあります。
さらに、「二礼四拍手一礼」が、有名なところで出雲大社と大分県の宇佐神宮、それに佐賀県の祐徳稲荷神社と新潟県の彌彦(弥彦)神社。初めて聞いたときには4回か、と一瞬驚きましたが、唱え詞の「祓い給へ、清め給へ、守り給へ、幸(さきは)え給へ」を4回に分けて拍手と一緒に唱えれば丁度良いかな、とも思いました。
神様は八百万柱もおられるのですから、参詣の仕方が一つしかない、というのも変ですよね。
【ただいま読書中】『出雲大社』中野晴生 写真、辰宮太一 文、JTBパブリッシング、2012年、1500円(税別)
出雲大社と言えば「縁結び」です。大社の御祭神、大国主大神は子だくさんで、百八十一柱も御子神をもうけたということが関係しているのかもしれません。本書には別の解釈も載っていますが、私は素直に子だくさんで良いと思います。
「出雲大社」は正式には「いずもおおやしろ」と読むそうです。atokは「出雲大家シロ」と変換したいようですが。出雲という大家さんの飼い犬?
参拝のお勧めルートも載っていますが、ゆっくりお参りすると1時間はかかるそうです。祈祷をお願いしたらさらにプラス四十分ほど。
出雲大社と言えば「神有月」も忘れてはいけません。その時行なわれるのが「神在祭」。面白いのは、これが旧暦で行なわれていることを知らずに、新暦の十月に訪れてやっていないことを知って残念がる人がいること。新暦なんてせいぜいここ百数十年のことですから、神様はそんなに敏感に新しい流行には乗ってくれないでしょうね。
さて、神有月に出雲に結集する神は、海から上陸してくるキマリです。なぜか山越えではありません。そこで稲佐の浜でまず「神迎祭」が行なわれ、その後神々は“宿舎”である東西の十九社に鎮まられます。滞在期間は神迎祭の翌日から七日間。何をするかと言えば「会議」です。そこで「人の縁」などが決定されるというのですから、ことは重要です。土地の人たちはこの期間は神議の邪魔をしないように、歌舞や音曲を慎み建物の普請も休止し、ひたすら静粛に過ごすそうです。
私は新聞記事で読んだことを覚えていますが、平成十二年に境内から出土した巨大な本殿の柱から、古代の大社の本殿は高さが最低でも27m、もしかしたら48mもあったことが推定されました。その復元模型は、島根県立古代出雲歴史博物館にあるそうです。
本書を読んでいて(あるいは豊富に収載された写真を見ていて)一度ゆっくり暇を取って出雲にお参りに行きたくなりました。砂浜から日没も見たいな。そのときもしかしたら、古代の人が見たであろう「神への道」が私にも見えるかもしれません。