子供のころには「大人って」「大人になったら」と思いましたが、年を取ると「子供のころには」と思うようになりました。もしかして私は大人になっちゃいました? それとも単なる加齢現象?
【ただいま読書中】『大人エレベーター』妻夫木聡 navigator、扶桑社、2014年、1200円(税別)
目次:「中村勘三郎&Char」「リリー・フランキー」「仲代達矢」「スガ シカオ」「白鵬」「佐野元春」「高田純次&岸部一徳」「斉藤和義」「竹中直人」「古田新太」「奥田民生」「中村俊輔」「リリー・フランキー&奥田民生&斉藤和義」
「これは、大人を旅する不思議なエレベーター。次の階には、どんな大人が待っているんだろう──」でおなじみのキリンビールのCM「大人エレベーター」。オンエアでは妻夫木聡さんが「○○とは」と尋ねたら間髪入れず「大人」が「それは……」と答える感じに編集されていますが、実際にはロングインタビューが行われていてそのかけらだけが放送されているのだそうです。収録当時の年齢は、25歳〜77歳とすごく幅があります。
みなさん、含蓄のある言葉を「大人」に関して言われます。ただし百人百様、個人個人で違う価値観と生き方で、違う「大人」が登場します。ただ「おれは大人だ、えっへん」という主張をしない点ではみなさん共通しています。
私が好きなのは、スガシカオさんの「若い頃のカードをもったまま、大人のカードを増やしていきたいと思うわけ。だから、いつでも若い頃に戻れるし、いつでも大人にもなれる」ということばです。“欲張り"ではありますが、若い頃も現在も、そして未来も「自分」なんだから、そのすべてを大切にしたい。
本書を読みながら、私の脳裏には「汚れちまった悲しみに」(中原中也)がリフレインしていました。