俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

安全のコスト

2007-12-15 18:47:13 | Weblog
 中国では日本より遥かに物価が安い。しかし日本と同じだけの「安全」を求めるなら多分日本より高くつくだろう。
 安全な食品を探すだけでも大変だ。安全な食品を手に入れるために日本の数倍の費用負担を覚悟せねばなるまい。
 安全に出歩くためには屈強な武装ガードマンを雇う必要があろう。それだけではない、ガードマンに裏切られないためにどれだけの負担が必要になるか想像することさえ難しい。
 「水と安全がタダの国」は実は非常に生活費が安い国だと言える。

祈る人

2007-12-15 18:40:19 | Weblog
 こんなジョークがある。
 熱心な信者がいた。彼は神に祈ることによって願いがかなうと信じていた。
 彼の村を洪水が襲った。消防士がやって来て避難するように勧めた。彼は「私には神が付いているから大丈夫だ」と言って避難を断り祈り続けた。
 水嵩が増して彼は2階へ逃れた。救急隊員がボートでやって来て避難を勧めた。しかし彼は断り、祈り続けた。
 更に水嵩が増して彼は屋根に登った。軍隊のヘリコプターがやって来て縄梯子を彼の目の前に降ろした。しかし彼は手を伸ばそうとせず祈り続けて・・・溺死した。
 霊になった彼は神に「なぜ助けてくれなかったのか」と文句を言った。神は答えた「ワシは3度も助けに行った。最初は消防士として、次は救急隊員として、最後には兵士にまでなって助けに行った。お前がワシの助けを拒んだのだ。」
                  *             *
 「天は自ら助くる者を助く」という言葉がある。人事を尽くさずに天命を待っていては天にも見捨てられるだろう。

タテマエとホンネ

2007-12-15 18:26:17 | Weblog
 自転車のハンドルは両手で握るべきであって片手を離してはならない。賞味期限や消費期限の切れた食品は食べてはならない。エスカレーターは乗る物であって歩いてはならない。ジェットコースターで手を離して万歳をしてはならない。
 これらは管理する側が決めたタテマエにすぎない。公に認めれば問題が発生するのでタテマエだけが横行するが、自己責任でやるなら全く構わないことだ。こんなことを他人に強制しようとする人はタテマエだけの石頭だとしか思えない。

容疑者のジレンマ

2007-12-15 18:20:02 | Weblog
 日本には無い制度だが、司法取引では共犯者について白状した容疑者は減刑される。例えば容疑者Aが白状してBは白状しなかった場合、Aは懲役3年、Bは懲役10年となる。二人とも白状した場合は仲良く懲役8年となる。二人とも白状しなければ証拠不充分で無罪となるかも知れない。
 一番得な戦略は二人とも白状しないことだが、お互いが余程信頼し合っていなければこの戦略が採られることは無い。多くの場合は両者が自分の刑罰を軽くするために共犯者を売る。
 ゲーム理論では3種類の生存戦略が想定されている。「善人」と「悪人」と「普通の人」だ。善人は相手に譲歩する人で、悪人は譲歩しない。「普通の人」は相手が譲れば自分も譲るし、相手が譲らなければ仕返しをする。コンピュータ上でこの3者に生存競争をさせると、初めは悪人が猛烈な勢いで増える。ところが悪人同士で争うようになって行き詰まり、最終的には「普通の人」が栄えるらしい。
 私はこの戦略をマネている。初対面においては誰に対しても善良であろうと心掛ける。しかし一旦相手に悪意が見えるとその人に対して心を閉ざして警戒するようにする。当初はノーガードで近付いて、攻撃されなければノーガードのままでいるが、一旦攻撃されればガードを固める。
 「みんなエゴイストばかりだ」と嘆く人がいるがその責任は自分にあることに気付かないのだろうか。自分が利害を基準にして生きていれば周囲の人もその人に対して利害関係の枠内でしか関係を持たないのは当然だ。

銃の規制

2007-12-15 18:00:57 | Weblog
 佐世保での散弾銃乱射事件は容疑者の自殺で終わった。本人が死んでしまえば法的にはどうしようもない。責任追及などできる訳ではない。自己の死を覚悟したテロを規制することは不可能だ。
 しかしこの際、銃の規制を強化することぐらいならできるだろう。銃砲の所持者は定期的に精神鑑定を受けることを義務付けるだけではなく、近隣の人から申請があれば一時的に銃を剥奪することができるようにしても良かろう。「気違いに刃物」という諺があるが銃は刃物より何百倍も危険だ。刃物を振り回すことと銃の乱射では危険性が全然違う。
 覆水は盆に返らず、失われた人命は戻らない。こんな悲劇を繰り返さないための規制強化なら誰も反対するまい。