俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

焼け太り

2012-12-30 14:48:43 | Weblog
 先日の衆院選で職員が寝過ごしたために投票開始が遅れた岐阜市では、30分前としていた集合時間を1時間前に早めるそうだ。岐阜市の全投票所の集合時間が30分繰り上げられるのだから時間外手当もそれなりに増えるだろう。個人のミスを組織の問題に摩り替えて、責任を全うするのではなく責任を分散させている。そしてその結果として賃上げに繋げている。多分、ただの時間外手当ではなく早朝出勤手当というオマケまで付くのだろう。これでは焼け太りだ。全く転んでもタダでは起きない連中だ。
 民間企業ならこんなやり方は許されない。年に数回、駅員の寝過ごしが報道されるが、それを防止するために全員が早朝出勤になったという話など聞いたことが無い。多分、目覚まし時計の数を増やして対応しているのだろう。目覚まし時計が数個あれば寝過ごす心配など無かろう。それでもセットすることを忘れることもあり得る、と言うなら、それはミスではなく責任感の欠如だろう。そんなクズが責任者になるようなクズ企業なら倒産するだろうし、そんなクズ役所なら丸ごと解体したほうが良かろう。数個の目覚まし時計と全員の早出を比べた場合、どちらのほうが費用対効果が高いかは比較するまでも無かろう。
 私自身、30年以上のサラリーマン生活で寝過ごしたのは新入社員時代に1回やっただけだ。それでも定刻には余裕を持って出勤できた。実は私は低血圧なので朝起きが苦手だった。だからいつも少し早目に起きて体調を整えていたから寝過ごしても支障は生じなかった。ぬるま湯に浸っている公務員に意識改革を迫ろうとは思わないが、個人の失態を組織の問題に摩り替えて責任逃れをすることはいい加減にやめて貰いたいものだ。
 

雇用

2012-12-30 14:23:08 | Weblog
 雇用が足りない、と言う。雇用が足りないから失業者が増えて景気が後退する、とも言う。これは根本的に間違った考えではないだろうか。雇用が足りないのではなくて労働者が多すぎると考えることも可能だ。
 ではなぜ労働者が多過ぎるのだろうか。1つは機械化だ。昔なら人海戦術で行われていた作業が機械化されればほんの少しの労働力で充分だ。日本のロボット技術は世界一でありロボットが省力化に大いに貢献している。
 もう1つは雇われる人ばかりが増えて雇う人が増えないからだ。新しい事業が起これば新しい雇用が生まれる。新しい事業を起こす人が少ないから雇用が生まれないとも言えよう。
 ではどんな人が新しい事業を起こせるのか。世界と競争できる優秀な人材だ。もし日本にビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズがいたら日本は世界を牽引するIT大国になっていただろう。イチロー選手・松井選手・ダルビッシュ投手級のアスリートが100人いればメジャーリーグを乗っ取れるだろう。
 質を問わずに量を増やそうとする少子化対策など百害あって一利無い。日本では単純労働者は余っている。若年層に雇用機会を譲っている比較的若くて元気な高齢者も含めればどうしようもないほど労働力が余っている。困ったことだが、高齢者のほうが新卒者よりも遥かに優れた労働力であり、若年単純労働者を増やしても仕方が無い。
 日本に必要なのは雇用を創造できる人材だ。起業家だけではなく既存の事業を発展させる人も雇用を創出する。人の量ではなく質が求められている。雇用を創れる人がいれば人口が減っても国力は衰えない。

参院選

2012-12-28 14:31:18 | Weblog
 次の参議院選挙は来年の7月28日までに行われる。それまでに政党の離合集散が進むと予想されるが、確実なことが1つだけある。それは民主党が惨敗するということだ。
 問題は惨敗の基準をどこに設定するか、だ。マスコミは惨敗して「ねじれ国会」を招いた前回(2010年)以下なら惨敗と報じるだろうが、もしその程度で収まれば万々歳だと思う。
 2003年に自由党を併合して以降の参院選選挙区での民主党の議席数は、04年が31、07年が40、10年が28と推移している。小沢グループが抜けた今、せいぜい20議席程度だろう。仮に小沢グループの「生活の党」を吸収合併しても最早パワーを失った斜陽グループなので大したプラスにはなるまい。自由党併合前の01年選挙が18議席だったのだからこんなものだろう。
 比例区の得票率は、04年が39.6%、07年が41.7%、10年が33.3%だった。議席数は、04年が19、07年が20、10年が16だった。併合前の01年が16.4%で8議席だったことや、今回の衆院選での比例区得票率が16.0%だったことから考えて、せいぜい20%で10議席ぐらいだろうか。
 その結果として次回改選される選挙区40・比例区20の議席が丁度半分になり30議席程度まで減るだろう。この結果を受けて海江田代表は退陣を余儀なくされるだろうが、これは実力相応の結果でありスケープゴートにされる海江田代表は気の毒だ。
 この予想は30年先のことではなく僅か7ヶ月後の予想であり検証可能だ。似非科学者とは違って私は根拠のない予想などしたくない。再現可能ではないが、客観的なデータに基き検証可能なのだから、近頃乱発されている似非科学的レポートと比べれば遥かに「科学的な予想だ」と言っても差し支えなかろう。

危険な信念

2012-12-28 14:05:51 | Weblog
 信じていることについて都合の良いデータが見つかるとすぐに受け入れる。一方、信じていることに反する不愉快なデータは無視しようとするしすぐに忘れてしまう。こんな性質だから人間は偏見から逃れられない。
 26日に国立がん研究センターが「清涼飲料水をほぼ毎日飲む女性は、ほとんど飲まない女性と比べて脳梗塞になる危険性が1.8倍高い」と発表した。この情報が間違っていることについては27日付けの「デマ」を参照して頂くとして、なぜこんな与太話が大きな反響を巻き起こしたのかについて説明したい。
 私も含めて、清涼飲料水が健康のために良くないと思っている人は少なくない。言わば清涼飲料水に悪意を抱いている。そんな人は清涼飲料水の有害性が発表されると喜んでしまう。虚実を判断する高度な脳よりも先に、喜怒に基く低レベルな脳が反応してしまう。そのために虚実を判断する脳が働かないまま鵜呑みにしてしまう。
 こんなことは日常的によくある。悪意を抱いている人についての悪い噂を耳にすればすぐに信じてしまう。その噂が本当かどうかは殆んど検証されない。逆に好意を持っている人についての悪い噂は「そんな筈は無い」と考えて否定しようとする。その結果として、当初悪意を持っていた人の印象はますます悪くなり、好意を持っていた人の印象はなかなか悪くならない。このことについて一番良く理解しているのは多分結婚詐欺師だろう。
 是々非々のスタンスが難しいのも同じ事情だ。自民党が好きな人はどんな主張であろうとも最初から好意的に受け入れ、嫌いな人はまともに聞こうとさえしない。偏見に縛られていれば事実が見えなくなる。嬉しい情報であろうとも、いや、嬉しい情報に接する時にこそ疑って掛かる必要がある。感情ではなく理性を使って判断すべきだ。

デマ

2012-12-27 14:11:46 | Weblog
 昨日(26日)国立がん研究センターが「清涼飲料水をほぼ毎日飲む女性は、ほとんど飲まない女性と比べて脳梗塞になる危険性が1.8倍高い」と発表した。直感的に怪しい情報だと思った。実数を使わずに唐突に「1.8倍」と出ていたからだ。「何倍」と記されたデータには注意が必要だ。0.1%が0.18%になれば1.8倍であり、2人対1人なら2倍になるからだ。
 まず新聞記事を調べた。殆んどの新聞が「てにをは」まで一致していた。つまり公表資料の丸写しだ。各紙を幾ら調べても新しい情報は手に入らない。情報発信元のがん研究センターのホームページを調べた。
 こちらも不親切な資料で実数が殆んど出て来ない。確かなことは、公表されたとおり、脳卒中の女性が789人で、そのうち出血性脳卒中が405人、脳梗塞が377人(7人は不明?)ということだけだ。
 母集団の39,786人の男女比も分からなければ、清涼飲料水を毎日飲む人と殆んど飲まない人の人数も分からない。これでは推測しようもないと途方に暮れていたら、とんでもないデータが見つかった。「清涼飲料水をほぼ毎日飲む女性は出血性脳卒中の危険性が30%下がる」ということだ。わざわざグラフにしてあった。
 考えてみてば当り前のことだ。この情報は「脳卒中が増える」ではなく「脳梗塞が増える」だ。つまり出血性脳卒中が減らなければ辻褄が合わない。
 結局この情報は「清涼飲料水をほぼ毎日飲む人が脳卒中になった場合、出血性脳卒中ではなく脳梗塞と診断され易い」ということしか明らかにしていない。多分、成果を示そうとして発表したのだろうが自ら墓穴を掘っている。是非ホームページで確認して欲しい。こんな無責任な発表が誤った常識を生む。
 国立がん研究センターのホームページはこちら。
              http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3175.html
 追記:コメント欄から直接アクセスできます。

自業自得

2012-12-26 10:08:45 | Weblog
 フリーライダーという言葉がある。フリーライターのことではない。語源は多分、電車のタダ乗りだろう。タダ乗りの論理はこうだ。自分が乗っても電車に掛かる負荷は殆んど変わらないから誰の迷惑にもならない。これは身勝手な理屈だ。料金を払う人がいるから電車が運行されるのだから他人の善意に付け込んだ悪事だ。
 年金でも同じようなことが起こっている。2009~10年の2年間、国民年金の保険料を全く納めなかった人が26.2%を占めているそうだ。毎月15,000円ほどを納めれば将来何倍にもなって還ってくるのだから借金をしてでも収めるべきだと思うのだが、何かと理屈を付けて収めない。本当に困ったら生活保護を受けたら良いからとりあえず楽ができるほうを選ぼうとでも思っているのだろうか。彼らは自らは危険負担をせずに他人に負担させようとするフリーライダーだ。
 医療保険が逼迫している。この原因は自己責任の病気にまで保険が適用されているからだと私は思っている。二日酔いや肥満などの治療を保険の対象外にすれば随分マシになるだろう。飲み過ぎや食べ過ぎは100%自己責任でありこんなものまで保険が負担する必要性は全く無い。感染症なら自己責任とは言い難い。だから保険が適用されるべきだ。しかし自分でやるべきことをやらずに国(国民)に尻拭いをさせようとするのは厚かまし過ぎる。人事を尽くせば天命を待つ。しかし人事を尽くさずに天命に頼られたら堪らない。
 

維新の乱

2012-12-26 09:35:09 | Weblog
 維新の会の内紛が取り沙汰されている。旧維新の会と旧太陽の党との間で歪みが生じているようだ。私は早く分裂したほうが良いと思っている。そのほうが強力な勢力になれると思うからだ。
 維新の会は特異な政党だ。政策ではなくカリスマ的な魅力のある個人が引っ張っている。日本にカリスマ的な政治家は少ない。小泉純一郎氏と田中角栄氏以来とさえ思える。その2人(橋下氏と石原氏)が組めば怖いもの無しになる筈だがそうならない。残念ながら2人ともソリストだからだ。「両雄並び立たず」の言葉通り、タッグを組むことが魅力を損なう。
 ビートルズのジョン・レノンとポール・マッカートニーは1+1=5になった稀有な例であり、有能な2人が組めば殆んどの場合、魅力が失われる。もしエルビス・プレスリーがパット・ブーンと組んでも全然ダメだ。かつてフランスを代表した2人の美人歌手のシルビー・バルタンとフランス・ギャルならどうだろうか、話にならない。些か例が古過ぎた。由紀さおりさんと浜崎あゆみさんならどうだろうか。紅白歌合戦のエンディングの「お正月」ぐらいしか想像できない。異質な魅力は異質なままのほうが良い。
 橋下氏と石原氏は別の党で個性を発揮したほうがずっと面白い。緩やかな連携を保ったまま別の党として活動したほうが独自性を発揮できるし、今の選挙制度の元では有利だ。別の党であれば個々に情報発信ができる。早く分裂して欲しい。
 これは民主党の分裂とは全然事情が違う。かつて民主党が政権を奪えたのは反自民勢力を結集できたからだ。「自民党以外」という消極的な位置付けで受け皿になったに過ぎない。だから分裂がマイナス評価になった。しかし橋下氏と石原氏の場合はそんな消極的な支持ではなく個人に対する強烈な期待でありプラス評価だ。プラスとプラスは反発する。カリスマ性のある2人は独自性を一層際立たせてほしいと思う。妙な妥協は却って魅力を損なう。

危険なリサイクル

2012-12-24 10:03:24 | Weblog
 中国製カップ麺の一部の容器にリサイクル紙が使われているそうだ。リサイクルが大好きな人なら「何が悪い」と言うだろうし、親中国派の人からは「中国のやり方に一々ケチを付けるな」と言われるかも知れない。しかしリサイクルが危険であることを知っておくべきだ。
 日本での話だがある養豚場が近所のレストランの残飯を餌に使っていた。ある日豚が口に怪我をした。残飯に爪楊枝が混じっていたからだ。もしかしたら知らずに煙草の吸殻を食べさせていたかも知れない。ごく少数だが食べ残しの皿を灰皿代わりに使う不届き者がいるからだ。
 廃棄物には何が混じっているか分からない。農薬散布の時に覆いとして使っていた新聞紙が紛れ込むこともあれば、ペンキやシンナーなどの化学物が付着している可能性もある。だから再生紙は食品の包装材としては使用できない。
 燃えるゴミにも様々な物が混ざる。乾電池とか壊れた水銀体温計が混じることもあり得る。実際の話、古くなった薬などのようにどう分別すれば良いのか分からないゴミも少なくない。ゴミの分別が完璧に行われている筈が無い。薬品を入れていたペットボトルも混じるだろう。
 これらを完璧に仕分けることは不可能だし、捨てる側に強制することはもっと難しい。従ってゴミは危険物として扱わざるを得ない。ゴミはリサイクルするよりも燃やしてしまったほうが安全で低コストだ。燃やしてしまえばきっちりと分別できる。ペットボトルも再利用するよりも燃えるゴミとして燃やしたほうが環境に対する負荷は小さいようだ。

地震予測

2012-12-24 09:36:57 | Weblog
 21日に政府の地震調査委員会が、地域別の今後30年間に震度6弱以上の地震が起こる確率の予測を発表した。最も可能性が高いのは静岡市で89.7%、次いで津市の87.4%とのことだ。
 こういう無責任な発表は科学に対する冒涜だ。この端数の存在こそ似非科学であることの証拠だ。天気予報でさえ10%単位での予報なのに遥かに予測困難な地震がなぜコンマ以下まで算出できるのだろうか。これまでの地震と同じ周期で起こるという仮説の元でかなり荒っぽく機械的に算出しただけのいい加減な資料であり、マヤ暦による人類滅亡の予言と大差は無い。
 地震予測には多くのデータが必要だ。質的に異なるデータを統合するためにはそれぞれをウェイト付けせねばならずそうすれば数値はどんどん曖昧になる。逆に言えばアバウトであることが多要素を加味した証拠とも言える。この予測は南海トラフだけを過度に重視して他の震源域や活断層などを軽視した偏った分析に基くようだ。
 この組織は平成14年から毎年予測を発表しているが、東日本大震災の可能性を0%と予測しただけでなく、平成16年の新潟県中越地震などの殆んどの地震を予測できず的中率はゼロに近い。余りにも外れっ放しなので昨年は発表を見送ったほどだ。イタリアのようにデタラメ学者を有罪にせよとは言わないが恥を知るべきだろう。余震が続く東北地方の確率が軒並み低く予測されているが正気の沙汰とは思えない。素人よりも無知な学者バカの集まりなのだろうか。

1強9弱

2012-12-22 09:32:44 | Weblog
 衆院選は自民党の圧勝に終わった。マスコミも指摘していることだがこの選挙は小選挙区制の欠陥がモロに出たと思える。自民党は43.0%の得票率だったが79.0%の議席を得た。またすっかり自民党の分派のようになった公明党は僅か1.5%の得票率で3.0%の議席を得た。その結果として死に票率は56.0%だ。
 前回の2009年の衆院選の小選挙区では民主党が47.4%の得票率で73.7%の議席を得、前々回は自民党が47.8%の得票率で73.0%の議席を得ている。毎回、雪崩現象が起こって特定の政党が大勝してしまっている。
 今回の選挙の比例区を見れば自民党の得票率は27.6%しか無い。この程度の支持しか得ていない政党が全議席の61.3%を占めることを有権者が望んだとは思えない。得票と議席のギャップが酷過ぎる。
 こんな小選挙区制度は民意を反映しない。ほんの僅かの差が大きな差を生むような制度は独裁制に繋がりかねない。
 日本の民衆は賢い。世論操作をしない限り大きく偏ることは無い。しかしこんな選挙制度では民意に背いて特定の政党が大きな権力を握って、任期の4年間やりたい放題になってしまう。
 中選挙区制度ではこんな妙なことにはならなかった。大阪の定数5人のある選挙区では自社公民共の5党が仲良く1議席ずつを分け合ったことさえあった。小選挙区制と比べて中選挙区制のほうが遥かに民意を反映し死に票も少ない。
 中選挙区制で選ばれた多数の党の議員が合従連衡を繰り返せば極端な政治は排除されるし、是々非々の姿勢が硬直した政策を否定して柔軟な政治を促す。民主主義は危険な制度だが小選挙区制は特に酷い。これは思想弾圧だ。