俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

お化け

2010-04-29 15:56:15 | Weblog
 日本のお化けは怖い。何しろ「お化けは死なない(「ゲゲゲの鬼太郎」より)」のだから退治しようが無い。
 それと比べて西洋の妖怪は弱い。ドラキュラは十字架・日光・聖水・ニンニクなど弱点だらけだ。これだけ弱点があれば簡単に退治できる。
 この違いは「自然」に対する見方の違いが現れているのだろう。日本人は自然を、人間を超越したものと考える。大自然に対して人間は無力でひ弱なものと捕らえる。
 一方、西洋人は人間を万物の霊長と考える。自然など人間が征服すべきものに過ぎない。
 こんな考えが自然科学の発展を促したとも言えるが、傲慢な考えであることは間違いない。西洋文明は人間の浅知恵に基づいて環境を破壊して来た。文明こそ人間の「原罪」だろう。
 文明が環境を破壊するから文明の拡大は環境の破壊を拡大する。発展途上国が文明化すれば地球は大変なことになる。そこで出て来た理屈が「地球温暖化」であり「CO2削減」だ。西洋人は何と自分勝手なのだろうか。

焼きソバ

2010-04-29 15:42:19 | Weblog
 テキ屋から聞いた話だが、イベント会場での焼きソバ屋は儲かるのだそうだ。なぜ儲かるのだろうか。タコ焼きと比較しながら説明しよう。
 まず量を加減し易いことだ。客が少ない時は量を多目にしてファンを掴む。客が多ければ量を減らして数を捌く。タコ焼きで個数を減らせばすぐにバレるが焼きソバなら誤魔化せる。
 次に具材が自由なことだ。タコ焼きと違って焼きソバの具にルールは無い。昨今のようにキャベツが高ければもやしを増量すれば良いし、他の料理で余ったクズ肉やクズ野菜など何でも具に使える。
 そしてパフォーマンス性が高いことだ。ソースが焦げる香ばしい匂いは客寄せになるし、ヘラをダイナミックに振る姿も楽しい。これと比べてタコ焼きは地味だ。
 最後に、ドリンクの販売に繋がることが挙げられる。水分が少なくて味が濃いから飲料を併せて注文する人が多い。
 こんな便利な料理だから世界中に普及している。一品で澱粉、野菜、蛋白質が摂取できるにも関わらず値段も安い。旅先での軽食に持って来いだ。B級グルメのB-1グランプリ第一回大会では1位が富士宮やきそば、2位が横手やきそばだったそうだ。焼きソバ恐るべし。

√2

2010-04-29 15:21:33 | Weblog
 書類のサイズがA4に統一されつつあるが、この規格は実に良くできている。
 この規格は第二次大戦中に日本で独自に考案されたもので、A全の半分がA2、その半分がA3、その更に半分がA4となっている。凄いのは長辺を二等分すれば常に相似形になって紙のロスが出ないということだ。その秘密は縦横の比が√2になっていることにある。
 √2対1の紙を二等分すると√2/2対1になる。√2/2:1=√2:2=2:2√2=1:√2となり常に1対√2が成立する。
 こんな便利な性質は1対√2だけだ。a:1=1:a/2となるのはa=2/aつまりa×a=2でありa=√2の場合だけだ。
 A版を例にしたがB版でも1対√2となっている。
 裁断ロスを出さないという観点で紙のサイズを決めた日本人の知恵に喝采したい。正に「勿体ない」の精神が合理的な規格を生み出している。省エネ・省資源はただ単に節約することではない。仕組みそのものを見直さねばならない。
 日本では食材の4割が廃棄されていると言われているが、紙の規格に見られるような無駄減らしができないものだろうか。

子供554人

2010-04-27 16:11:08 | Weblog
 先日、韓国人男性が554人分の子ども手当の支給を申請して却下された。これは法的には支給されるべきだろう。そんなザル法だからだ。
 「法外の法」とか「理外の理」などといった考え方は間違っている。法に適っているなら合法だ。
 例えば10人の子供を持つイラン人が日本に単身赴任したら10人分の子ども手当を払わねばならない。これは間違いなく適法だ。それなら子沢山の男を日本に送り込めば外貨が稼げると貧しい国が本気で考えてそれを国策としても不思議ではない。
 ギネスブックによれば、最も多くの子供を持った人はモロッコ最後の皇帝ムーレイ・イスマイルで888人だそうだ。こんな人が日本に住んだらどう対応するのだろうか。一夫多妻制を採るイスラム圏では日本では考えられないほど多くの子供を持つ人が実在する。
 なぜこんな変な制度にしたのだろうか。なぜ外国人にまで子ども手当を支給するのか理解できない。少なくとも日本での少子化対策になるとは考えられない。外国人参政権と外国人に対する子ども手当には裏の意図があるように思える。
 裏の意図は、554人分の子ども手当を申請した韓国人にもありそうだ。多分、本気で支給されるとは思っていないだろう。この制度の不合理性を暴露するためにわざとやって騒ぎを起こしたようにも思える。

知覚

2010-04-27 15:56:00 | Weblog
 自分自身は極めて分かりづらい。そもそも5感はどれも「外部」を認知するためのものであり、自分自身を知るためには不充分なものばかりだ。
 視覚・・・自分の鼻が見える人は少なくないだろうが、まつ毛が見える人はいない。勿論、鏡を使わずに自分の顔を見ることは不可能だし、鏡を使っても目を閉じている自分を見ることはできない。
 嗅覚・・・一番知覚できないのは自分の臭いだ。
 聴覚・・・自分の声は全然違ったものとして知覚される。録音しないことには自分の声を知ることはできない。
 味覚・・・自分の唾液の味を知っている人はいない。
 触覚・・・外部の力を知覚するだけであり、痛覚以外は自分のものではない。
 このように知覚は自分自身を知るためには不向きなものばかりだが、唯1つだけ例外がある。それは内省(内観)だ。
 内省は他者には不可能な、自分の意識に対する知覚だ。言葉にされたものは他者にも分かるが、言葉にされないものは自分にしか分からない。自分の本音は内省によってのみ捕らえられるし、それは当の本人にしか知り得ぬ唯一無二のものだ。他者でも知り得る現象界の事象と違って内省で得られるものは本人にしか分からない。芸術家の創作意欲は、創作しなければそれが永遠に失われるからだろう。
 不思議なことに哲学と仏教のみが内省を重視している。一神教では初めに神の教えがありそれを知れば充分だからだろうか。

二律背反

2010-04-27 15:39:53 | Weblog
 前原国土交通大臣が民主党(小沢グループ)の要求を「二律背反」と呼んだが、こんな大げさな言い方をして欲しくない。単に「矛盾」と言うべきだろう。
 二律背反については2008年12月16日付けの「思考の限界」で一度書いたが、私にとっては大いなる救済となる思想だった。と言うのは私は小学校の4年生の時以来「宇宙の果」について悩み一時期はノイローゼに近い状態になっていたからだ。
 次のようなことを考えていた。
 ①宇宙の果まで行ってもまだ1m進める筈。それなら数学的帰納法に基づき更に無限に進めるのではないか。
 ②空間は歪んでおり無限に進めば元の位置に戻って来る。
 ③平面に無数の直線が引けるように、宇宙は四次元なので三次元レベルでは無限になる。
 こんなことを考えながらも納得できず、大学で天文学か哲学を学べば分かるかも知れないと思っていた。
 そんな時に純粋理性批判に巡り会った。カントの結論を簡単に書けば「経験に基づいてしか思考できない人間の理性が、経験できない無限や永遠について思考しようとすれば必然的に矛盾に陥る」ということだった。
 たかが高速道路の割引料金と整備費の矛盾にこんな大層な言葉を使うべきではない。この程度の矛盾など「弁証法的に止揚」できる。高速道路を拡張しつつ値下げをすることぐらい自民党政権でもやっていたことなのだから。

悪の否定

2010-04-23 15:56:53 | Weblog
 悪の否定は善だ。しかし悪と決め付けたものを全否定することは必ずしも善に繋がらない。
 民主党にとって自民党政権は悪だろう。自民党の政策を否定することは善の筈だ。しかし現実的にはそうならない。
 自民党が暴力団なら全否定しても構わない。麻薬を扱わない、恐喝をしない、売買春をさせない、ということなら国民も納得する。しかし自民党は暴力団ではない。国民のそれなりに多数者が支持する政党だ。確かに悪いことは沢山するがたまには良いこともする。これを全否定すれば民主党が悪いことをすることになってしまう。
 普天間基地返還はその数少ない善政だった。それを一緒くたにして否定するから収拾が付かなくなってしまった。最早、解決は不可能だ。沖縄の人には気の毒だが、こんな馬鹿な政治家がいたと、反面教師として長く語り継がれることになるだろう。
 前政権を悪の権化と見なす政策は分かり易い。しかし正しくない。「政治家らしく」是々非々の姿勢で対応すべきだっただろう。

環境の破壊者

2010-04-23 15:45:18 | Weblog
 チェルノブイリは今では野生の動植物の楽園になっているそうだ。放射能汚染が収まった訳ではない。ただ単に人間がいなくなっただけだ。
 動植物にとって人間は放射能以上に危険な存在だということだ。噴火や地震以上に人間が環境を破壊している。
 人類の増加が生態系を破壊している。有史以前にマンモスを食べ尽くして以来、毎年、多数の動植物を絶滅させている。比較的上手く自然と共生している日本でさえ、神の使いの筈のオオカミ(大神)を絶滅させ、ニッポニア・ニッポンの学名を持つトキまでも滅ぼした。アジもサバも乱獲が原因で激減させた。文字通り一網打尽にしてしまったのだ。
 動物と比べたら日本における植物との共生関係は少しはマシだろう。日本の森林面積は国土の約70%を占めており、世界平均の30%の倍以上だ。但し質的には大いに問題がある。育ち易い杉と檜ばかり植林するから花粉症大国になってしまった。これも公害の一種だと思うのだが一向に農林水産省の責任が問われないのは不可解だ。

競争する男

2010-04-23 15:27:41 | Weblog
 男は競争することが好きだ。男は一人で走るよりも誰かと一緒に走ったほうが早いそうだ。女にはそんな変な性質は無い。
 私のような唯我独尊のマイペース主義で競争嫌いの男でもこの本能からは逃れられない。私と同じぐらいの速さで泳いでいる人がいるとなぜかスピードを上げてしまう。不思議なことに普段より速く泳いでいるにも関わらず競っているほうが疲れない。アドレナリンが分泌されるのだろうか。
 確か柴田翔氏の「されど我らが日々」だったと思う。幼馴染の恋人と別れた男が彼女の回想文を読んで驚く。子供の頃から彼女は彼と一緒にいることを純粋に楽しもうとしたのに、彼は常に競争しようとしていたという内容だった。この本を読んだ当時の私にはこのギャップが個性によるものか男女差によるものなのか分からなかった。
 男が競争好きという本能を持つことは進化論的には意味がある。男同士が優劣を競えば、女性は伴侶の品定めが易しくなる。つまり男は競い選ばれる性であり、女は選ぶ性なのだ。
 男の競争好きが本能に組み込まれているとは言え、男は無駄に競争して「歯を食いしばり戦って死ぬ」(フォーク・クルセダーズ「何のために」)とは何と虚しい一生か。
 進化のためには必要な性質であろうとこんな迷惑な性質は自覚して克服したいものだ。男が本能に基づいて無駄に好戦的であるのなら国家の指導者には女性が就くべきだろう。そのほうが戦争の少ない平和な国際社会が築けるだろう。

噴火

2010-04-20 16:16:23 | Weblog
 アイスランドでの噴火でヨーロッパの空の便が大混乱しているが、被害が「この程度」で収まって欲しいと願っている。
 なぜなら大噴火は異常気象を招くからだ。
 1783年にアイスランドのラーキ山で大噴火があり、噴出した火山性エアロゾルの影響で北半球全域が記録的な冷夏になり広域で飢饉が発生した。日本でも天明の大飢饉となった。
 1833年のインドネシアのクラカトア火山の噴火は天保の大飢饉の原因となったと言われている。
 近年では1991年のフィリピンのピナツボ火山の噴火が挙げられる。1993年の日本での異常気象と米の不作はこの噴火が原因と思われる。
 地震と同様、噴火に対しても現代文明は無力だ。しかし噴火が招く異常気象には全く対応できない訳ではない。噴火から異常気象までには「時差」があるので対策を講じることができる。二宮尊徳は冷夏を予想して冷害に強いヒエやアワを植えさせることによって天保の大飢饉の被害を削減したと言われている。
 鎖国中だった尊徳の時代とは違って、現代では情報は瞬時に伝わる。火山性エアロゾルの噴出量を推定してその情報に基づいて対策を立てることができる。農業だけではなく観光業などでも可能だ。例えば「寒い夏には南の島へ」など。