俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

脱税

2011-06-28 14:13:59 | Weblog
 PIIGSと呼ばれるEUの問題国の中でイタリアとギリシャでは脱税が深刻な問題となっている。イタリアでのマフィアなどによる地下経済の大きさは以前から指摘されていた。GDPの3割ほどが地下経済のため課税対象外となっているようだ。ギリシャではおおっぴらに付加価値税の脱税が行われているようだ。レシートを要求しなければ特別価格になると言う。つまり消費者は付加価値税を払わない、小売店は売り上げを誤魔化せる、という消費者と小売店間の相互利益の関係が課税逃れを促している。
 国にとっては税収が収入だ。収入が減れば支出を抑えざるを得ない。このため教育や福祉が切り詰められている。
 私は国による徴税を必ずしも是としない。充分な根拠の無い課税こそ最も典型的な搾取だと思っている。資本家による搾取よりも悪質だとさえ考えている。時代劇の悪代官のイメージだ。資本家は労働者と妥協して搾取を加減するが国による搾取は問答無用だ。法律で何%と決めたらそれが錦の御旗となる。これから逃れるためには国外に脱出するしかない。
 仮に徴税が不当であろうとも払わなければ犯罪者だ。国民に納税の義務を課している限り脱税は犯罪だ。脱税者を甘やかすイタリアやギリシャが財政破綻するようにクロヨンやトーゴーサンとかいった不公平が放置されている日本の財政も遠からず破綻するだろう。脱税に甘い国に未来は無い。

表意文字

2011-06-28 13:56:15 | Weblog
 表意文字は便利だ。ちらりと一瞥しただけで意味が分かる。急いで書類を読まねばならない時には漢字だけを拾い読みするだけで大体の内容が把握できる。
 漢字かな混じり文は世界で最も表現力に富んだ文章だろう。意味を伝える漢字とニュアンスを伝えるひらがなのハーモニーが文章を豊かにする。剛と柔の調和がある。
 表意文字しか無い中国語では外国語の表記で苦労する。まるで万葉仮名のような当て字を使うか「美国(アメリカ)」「法国(フランス)」「徳国(ドイツ)」のように暗号まがいの表記に頼らざるを得ない。中国でも日本語の「の」の字が使われているのは表音文字の便利さを中国人も認めたからだろう。
 しかし表音文字は誤解を招き易い。20年近く前にどこかの教科書は「雪国はつらつ条例」を「雪国はつらい条例」と紹介した。new clearはnuclearと誤解されかねない。看板に「おこめ」と書いてあれば関西人なら目を剥く。pubicをpublicと誤読することさえあり得る。
 文字は表現のための単なる道具ではない。思考そのものでさえ少なからず文字に頼っている。学術用語は大半が明治時代に日本人が作った和製漢語でありこれらを中国では日本から逆輸入して使っている。「中華人民共和国」の内、「中華」以外は和製漢語だ。漢語が無ければ学問は著しく困難になるだろう。

地熱

2011-06-28 13:40:29 | Weblog
 私は基本的には自然エネルギーに期待していないが秘かに地熱エネルギーだけには期待している。それは質的に全然異なるエネルギーだからだ。
 太陽光・太陽熱・風力・水力・バイオマスといったエネルギーは実は総て太陽エネルギーだ。太陽の与える有限のエネルギーを取り合うだけだから基本的にはゼロサムだ。例えば太陽電池とバイオマスは対立する。太陽電池を拡充すればバイオマスは縮小する。現時点ではバイオマスのほうが効率が良いから太陽電池は屋上や壁面などのバイオマスに使えない場所の有効活用にしかならない。使いようが無い砂漠なら大規模太陽電池発電所にはぴったりの場所だ。
 地熱は全然違う。地球は決して冷めた星ではない。冷たいのは表層の地殻だけでマントルも地核も高温だ。地球自体が持っているエネルギーを活用するのが地熱エネルギーだ。今のところ温泉熱の利用程度に留まっているが将来性は充分だ。
 地球そのものが持つエネルギーだから偏在せず遍在する。50㎞も掘ればマントル層に辿り着ける。勿論それまでに温泉や溶岩に巡り合うだろうがこれらも充分エネルギー源になる。
 余りにも膨大なエネルギーなので簡単には使い減りしない。その一方で人的ミスが噴火を誘発する可能性はゼロではない。それでも将来的には最も有望な自然エネルギーだろう。

日本語力

2011-06-24 15:14:05 | Weblog
 誰でも見ている(see)が観る(watch)人は少ない。誰でも聞いている(hear)が聴く(listen)人は少ない。誰もが食べる(eat)が味わう(taste)人は少ない。習う(learn)人ばかり多くて学ぶ(study)人は少ない。話す(talk)人ばかり多くて語る(speak)人は少ない。
 私が子供の頃は英語のヒアリングと言っていたが今ではリスニングと呼ばれているらしい。
 今年から小学生にまで英語が義務付けられた。グローバル化した社会では少しでも早くから英語に馴染んだほうが良いという考えかららしい。
 私個人としては小学生に英語は不要だと思う。まだ日本語さえ未熟な彼らに外国語を教えるよりも日本語をもっと学ばせたほうが良いと思う。
 と言うのも、私自身この歳になってもまだ日本語力の不足を痛感しているからだ。思ったことを上手く表現できない、漢字を読めない、故事成句を知らない等々、日本語力の不足を感じる毎日だ。
 私は大学で英・独・仏・ラテン・ギリシャ語を学んだ。これが無駄だったとは思わないが、その労力を日本語力の向上のために使っていれば良かったのではないかと今では思っている。
 表現のテクニックや笑いのツボなどは学習することができる。日本語力は自然に身につくものではない。大変な努力が必要だ。

節電生活

2011-06-24 14:56:04 | Weblog
 夏至を迎える頃から急に暑くなった。急激過ぎて体も生活スタイルも上手く適応できず早々と夏バテしそうだ。
 この夏は原発事故のせいで日本中が節電を強いられている。私も節電策を1つ提案する。
 まず冷蔵庫以外のコンセントを総て抜いてから外出する。徒歩か自転車での移動が理想だが電車も可とする。乗客が一人や二人増えたところで電車の電力使用量は殆んど変わるまい。
 行き先は水辺だ。水辺で読書とスポーツを楽しむ。太陽光を使って本を読み、暑くなったら泳げば良い。これならエアコンも照明も要らない。自然の風が扇風機代わりになって充分涼しい。日光が嫌いな人は日陰に隠れれば良い。
 高校生までは田舎暮らしだったので美しい川辺でそんな生活ができたが、今、私が住んでいる大阪では無理だ。人工物のプールサイドで我慢するしかない。プールも悪くない。川よりも遥かに安全だ。突然増水することもないし底が平らなので溺れる危険性も少ない。トイレや売店もあるから便利だ。
 昔マホメット(最近では「ムハンマド」とも表記される)は信者の前で「山よ動け」と命じたが山は動かなかった。その時、彼は慌てず騒がず「山は動きたくないようだ」と言って山へ向かってスタスタと歩いて行ったそうだ。相手が動かなければ自分が動けば良い。暑ければ涼しい場所に行けば良い。自分のいる場所の気温を下げるよりも気温の低い場所へ行くほうがずっと簡単だ。山や森へ行っても、水辺へ行っても涼しい。

原発のコスト

2011-06-24 14:40:26 | Weblog
 原発が低コストだというのは全くの嘘だ。粗悪で不充分な施設にしているから低コストになっているだけではない。次世代・次々世代以降にツケを回しているから現時点では低コストになっているだけだ。
 原発の放射性廃棄物は現代の技術では処理不可能だ。そのうち技術が開発されるだろうという甘い見込みで垂れ流されている。無害になるまで1万年とか百万年とか言われる核のゴミの保管費は原発のコストには算入されていない。これは次世代どころか遠い子々孫々へのツケ回しだ。1万年国債のようなものだ。
 廃棄物だけではない。廃炉も問題だ。一旦原発を作ってしまえば廃炉にしても何百年も利用不可能な土地となる。貴重な土地が立ち入り禁止区画になってしまう。
 一旦原発を作ってしまえばその土地の再利用は著しく困難だ。従って既にある原発は可能な限り使い続けたほうが良かろう。一時の感情で原発を止めることはデキの悪い社員を不当解雇するようなものだ。一旦採用してしまったからには何とか使いこなさざるを得ない。
 私は新たに原発を作ることには賛成しない。しかし既に作ってしまった原発は安全性がある程度確保される限りは使い続けたほうが良いと思う。毒を食らわば皿まで、というように作ってしまった有害な施設はできるだけ有効に使うべきだろう。動かしている限りは電気を生むが止めてしまえば唯の危険物だ。

原発ビール(2)

2011-06-21 14:16:20 | Weblog
 ある日突然、原発ビールは市場から姿を消した。
 4月12日付けの「原発ビール」でアサヒビールのクリアがnew clearと表示していることを不謹慎だと非難したがいつの間にかnewが消された。多分私の指摘に同意してくれたのだろう。
 企業の広報や広告の担当者は自社の噂に敏感だ。空き時間を見つけてはネット上で自社に関する噂を検索している。ルーティーン化して毎朝検索している企業もあるだろう。
 私が指摘してから2ヶ月以内に製品からもCMからもnewが取り払われた。回転率の低い500ml缶ではnew clearビールも残っているが主力の350ml缶では殆んど見当たらない。東日本の工場が被災して生産もままならない中で見直しが行われたものと思われる。
 new clearからnuclearを連想する日本人は1万人に1人もいないだろう。私の指摘は言わば言い掛かりに近いものだ。それに誠実に対応するところにこの企業の良心を感じる。
 実は私は長らくキリンビールの愛飲者だった。長年「どういう訳かキリンビール」だった。キリンラガーを生に切り替えたことをきっかけにしてアサヒビール派に転向した。
 前にも書いたことだがキリンラガービールの生への切り替えはコカコーラの失敗と並ぶ大きなマーケティングミスだ。そのミスを認めず、何年も経ってからようやく「ラガークラシック」を発売したキリンビールを私は企業として信頼していない。顧客を軽視する企業体質と思えるからだ。
 私は決して大衆迎合を是とはしないが、顧客の声に素早く対応できる企業を評価する。アサヒビールは聞く耳を持った企業だろう。

確率87%

2011-06-21 14:02:24 | Weblog
 マグニチュード8以上の東海地震が30年以内に起こる可能性が87%ということで浜岡原発は停止されたがこの地震調査委員会の報告書の信憑性はどの程度あるのだろうか。
 ズバリ言って眉唾物だと思う。この報告書は東日本大震災を予測できなかったからだ。30年以内に震度6弱以上の地震が起こる確率について、仙台で4%、福島で1%と予測していたようだ。宮城県沖が震源となる可能性については0%と予測していたともどこかのニュースで報じていた。
 東日本大震災で大外れだった予測を東海地震については鵜呑みにする感覚を私は理解できない。
 長期予測はしばしば科学ではなくオカルトになる。若い人は信じられない話だろうが、僅か30年前までは地球寒冷化が危惧されていた。当時寒冷化の恐怖を語っていた学者が今では恥ずかしげも無く温暖化を説いている。
 科学者は学説について責任を問われないが政治家はそうではない。確率87%と明言してそれに基づいて権力を行使したからにはその責任を全うせねばならない。明言した以上、マグニチュード8の地震に備えて早急に震災対策を実施せねばならない。それを怠るなら思い付きで政治を振り回した最低の首相として歴史に名を残すことになるだろう。

暫定基準

2011-06-21 13:45:23 | Weblog
 政府は3月17日に放射線に汚染した食品に関する暫定基準を発表した。これまで放射性物質に関する基準が無かったので原子力安全委員会の「飲食物摂取制限に関する指標」をそのまま使ったとのことだった。
 しかしこれは嘘だ。基準はある。1986年にチェルノブイリ原発事故で北半球の食品が広く汚染された時に日本は放射性セシウムが370ベクレル/㎏以上の食品の輸入を禁じた。今回の暫定基準では500ベクレル/㎏以上を出荷停止とした。
 マスコミはこのギャップについて全く報じていないので私もずっと気付かずにいた。25年の間に放射線の危険性は減ったのだろうか。
 私は決して厳しい基準のほうが安全だと言いたいのではない。25年前に輸入禁止の基準があったことを隠して新たに暫定基準を定めたことに不信感を抱く。枝野官房長官は記者会見で「基準が無いので新たに定めた」と言った。その時少し違和感を覚えたがそれは事実を隠蔽していたからだったようだ。輸入制限の基準ならあった。しかしそのことには触れずに暫定基準だけを発表した政府は隠蔽体質と思えてならない。
 外国産品の370ベクレル/㎏なら輸入禁止で国産品の500ベクレル/㎏未満なら食べても構わないというダブルスタンダードにはいかなる正当性も認められない。もし国内農家を保護するために基準を甘くしたのならそれは国民を欺き国民の生命を蔑ろにする行為だ。旧基準と新基準の差について政府は合理的な説明をする義務がある。

降水確率

2011-06-17 15:18:16 | Weblog
 私は天気予報の降水確率を勝手に補正している。40%以下の予報なら6掛けにして、50%以上はそのまま信じている。つまり予報が20%なら10%、40%なら25%と解釈している。
 こんな補正をせねばならないのはお役所の責任逃れ体質のせいだ。雨が降るかどうか分からないから下駄を投げて決めてくれ、という時は正直に50%と予報するだろう。本音が20%の時は30%か40%と予報する。こんな操作をするのはできるだけ50%近辺の曖昧な予報、つまりかつて評判の悪かった「晴れ時々曇り、所により一時雨」という予報のような間違いと断定されにくい予報を気象庁は好むからだ。50%に近い予報なら大外れは無い。
 心理的要因もある。「降らない」と予報して外したほうが「降る」と予報して外すよりも非難され易いから降水確率はやや高めへと操作され勝ちだ。
 13日の読売新聞の夕刊で予報と結果が対比されていた。予報が50%の時に実際に降ったのは32%、40%の時は21%だったとのことだ。50%との予報が6掛けになっていたのは意外だった。これは本音が30~40%の時に情報操作をして50%と発表していることが原因だろう。
 確率論は非常に重要で便利な考え方だけに、予想された数値は操作せずに正直に発表すべきだろう。手心を加えることはかえって信頼性を損なうことに繋がる。