俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

ザ・ピーナッツ

2012-06-29 14:22:26 | Weblog
 伊藤エミさんが亡くなったことを27日に知った。伊藤エミ・ユミ姉妹のザ・ピーナッツはハーモニーの素晴らしさが魅力だった。勿論、ハーモニーの魅力を伝えた歌手は少なくなかった。ダークダックスやデュークエイセスなどの男声コーラスグループの特長は異質な声の調和だった。テナーからバスまで役割を分担した重層的なハーモニーは楽しかった。高い声も低い声もどちらも素晴らしいのだということがよく分かった。
 ザ・ピーナッツの特徴は殆んど同じ声によるハーモニーだ。これは通常あり得ないことだ。どんなによく似た声であろうとも注意して聞けば聞き分けられるし、人は自然に特定の声に同調するものだ。例えばビートルズを聞いていてジョンの声に同調すればポールとジョージの声はバックコーラスのように聞こえる。しかし一卵性双生児の二人は姿形だけではなく声もそっくりだった。だからどちらがどのパートを歌っているのか分らない不思議なハーモニーだった。この特異性が海外でも高く評価されたのだろう。
 後にリメイクされたので若い人も知っている「恋のバカンス}のオリジナルはどちらが主旋律か分らない歌だ。と言うよりも2つの主旋律をそれぞれが歌っていた。そのためにこの歌を一人で歌おうとすると人によってメロディが微妙に異なって十人十色になる摩訶不思議な曲だ。

給付と控除

2012-06-29 14:07:24 | Weblog
 消費増税に合わせて低額所得者に対する給付が検討されている。消費税は逆進性があり低所得者ほど負担が厳しいからだ。本当に低所得者に対する給付ならそれも良かろう。しかし低所得申告者に対する給付なら許されないことだ。
 所得税制はデタラメだ。脱税し放題の欠陥税制だ。だからこそ公平な税制として消費税が導入されたという経緯もある。デタラメな申告所得に基づいて給付することは全く不合理だ。例えば泥棒や詐欺で稼いでいる人や暴力団員などは収入は殆んど無いと申告をする。暴力団員が覚醒剤密売の収益を申告することは絶対にあり得ない。つまり非合法事業は所得申告の対象外だ。こんな人に対する給付は正に「泥棒に追銭」そのものだ。
 給付ではなく控除を優先すべきだ。最低課税所得の引き上げでも扶養控除の増額でも何でも構わない。先に控除によって低所得者を救済して、それ以下についてのみ給付をすべきだろう。しかしそれでも泥棒専業者は表向きは無収入なので給付の対象になってしまう。この矛盾を解消するためには食品の軽減税率と贅沢品に対する物品税の復活が最善策だろう。犯罪者を優遇することになりかねないバラ撒き給付は可能な限り慎むべきだ。

医学の限界

2012-06-29 13:49:51 | Weblog
 26日付けの「早期治療」を書くに当たって、乳癌の治療で有名な近藤誠氏の最新作「がん放置治療のすすめ」を読んだ。氏も私と同様、癌を不治の病と考えて、治療可能なのは癌ではなく癌もどきだけだと書いていた。
 しかし近藤氏の主張する「放置療法」には賛同できない。手術・放射線・抗癌剤といった医学で延命が不可能であろうとも生物学や科学に従えば延命は可能と思われる。それは現在の医学の限界に過ぎず、広い意味での科学の限界ではない。
 傷が治癒するのは手術や薬によってではない。自然治癒力が主役だ。自然治癒力が働かなければ傷口は開いたままだ。癌に対しても医学によって暴力的に対処するよりも、自然治癒力(免疫力)を高めるという平和的な方法のほうが有効だろう。バランスの良い食事をして楽しく暮らせば免疫力は高まる。これが最善の癌対策だと思う。
 発癌性物質は発癌性だけではなく癌細胞増殖性も併せ持っているだろう。従って発癌性物質を退けることは癌の進行を遅らせることになるから延命効果が期待できる。酒と煙草をやめても構わない。しかしそれら以上に有害な排気ガスから逃れることはもっと良い。発癌性のある農薬からも免れたい。そして最も重要なことは検査を受けないことだろう。レントゲンもCTも放射線を使うから癌を悪化させる。
 これらの対策は医学ではない。医師はこれらを勧めずに医学で対処しようとして苦痛の緩和しかできないと嘆く。しかし諦める必要はない。医学の限界の外に科学がある。医学では不可能でも科学なら可能だ。

福祉

2012-06-26 14:44:52 | Weblog
 法人税率の低い国に企業は集まる。所得税率の低い国に大金持ちは集まる。同様に福祉サービスの篤い地域に貧者は集まるだろう。では最も福祉サービスの篤い地域はどこだろう。多分、大阪市だろう。
 福祉サービスは官と民の両面を見る必要がある。
 官に注目すれば、生活保護費が最も支給され易いと言われる西成区がある。これは決して区役所の職員の怠慢のせいではない。申請が余りにも多くて処理が追い付かずに甘い審査となっているからだ。
 全国に類を見ない高齢者無料パスもある。以上の2つだけでも高齢失業者にとって充分に魅力的な土地だが、民にも注目しよう。
 大阪にはディスカウントショップが多い。価格にうるさい大阪人の嗜好に適っているからだろう。昔から簡易宿泊所も充実していたし病院も多い。
 鉄道網も魅力だ。田舎に住んでいれば移動のために自動車が欠かせないが大阪市内にはJR・私鉄・市営地下鉄が揃っているので公共交通は至便だ。
 これだけ条件が揃っていれば日本中から貧しい人が集まるのは当然だろう。大阪府の生活保護受給者が日本一多いのは官と民が福祉サービスを充実させたからだ。福祉を充実させたことが好ましからざる住民を増やしたとは皮肉な話だ。

中絶と犯罪

2012-06-26 14:30:49 | Weblog
 1990年代にアメリカでは若年層による犯罪が激減した。その理由として厳罰化の効果や景気の回復などが挙げられることが多い。
 ところがスティーヴン・レヴィットという経済学者が統計資料に基づいて思わぬ説を発表して全米を驚かせた。それは「1973年に人工妊娠中絶が事実上合法化されたから」という内容だった。
 トンデモ学説と思われるかも知れないが私は妙に納得する。どんな胎児の中絶が許されるようになったかを考えれば充分にあり得る話だ。キリスト教的モラルが支配するアメリカでは中絶が厳禁されていた。つまり強姦による妊娠であろうと中学生の妊娠であろうと極貧家庭であろうとあるいは重い先天性異常が見つかっていようとも中絶は許されなかった。これでは母子共に不幸になる。
 強姦による出産なら母子関係は二重・三重に歪む。憎むべき強姦犯との「愛の結晶」を愛して育てられるだろうか。
 中学生なら子ではなく弟か妹として育てられるだろう。しかし嘘に基づく家族関係は歪み易い。
 極貧家庭にとって子供は穀潰しに過ぎない。栄養も教養も不充分なまま育てられる。
 こういった望まれない出産が歪んだ子供を育てる可能性はかなり高い。社会における因果関係は複雑であり意外な因果があり得る。

早期治療

2012-06-26 14:14:42 | Weblog
 癌は早期発見・早期治療をすれば治療できると言われている。それならなぜ癌が1982年に日本人の死亡原因のトップになり、その後もシェアを拡大し続けているのだろうか。寿命が伸びたからと説明されることが多い。つまり癌は基本的には老人病であり、若い間に他の病気で死ぬことが少なくなったから老人病の癌が死因の1位になったという理屈だ。
 もしかしたら癌は全く克服されていないのではないかという疑問を持つ。早期治療が成功したとされるのは実は良性腫瘍だったからに過ぎず、これは治療しなくても自然治癒していたかも知れない。一方、悪性腫瘍(癌)の場合は早期に発見しても殆んどが既に転移していて治療不可能な状態になっているのではないだろうか。
 悪性と良性の区別は専門医にも難しいらしい。8人の専門医に33の検査標本を見せたところ、5つは全員が癌と判定し、6つは全員が癌でないとし、残りの22標本(66.7%)については意見が分かれたそうだ。結局、転移が見つかったら癌であり転移が無かったら良性腫瘍ということだろう。
 癌の治療は手術か放射線か抗癌剤しかない。しかし困ったことにどの治療方法にも発癌性がある。それどころか癌の検査方法であるレントゲンやCTも放射線を使うので発癌性がある。もしかしたら良性腫瘍の人が検査や治療を受けたために本当の癌になってしまったというケースもあるのではないだろうか。

食品券

2012-06-22 17:55:47 | Weblog
 生活保護費や年金の受給者の中にはギャンブル依存症やアルコール依存症の人がいる。彼らは受給額の多くをギャンブルや酒に使ってしまうから普通の受給者よりも悲惨な境遇に陥ることが多い。競馬が飯よりも好きな人が食費を削ってでも競馬に金を注ぎ込んでしまうのは当然のことだろう。これは現金で支給するから間違った使い方をしてしまうのであり、支給額の一部をアルコール飲料には使えず釣銭の出ない食品券で支給することによって強制的に生活改善を促すことができるのではないだろうか。
 こんなやり方は個人の自由を侵害するものだと考える人もいるだろうが、福祉として受け取る金の使途が制限されるのはやむを得まい。この場合、換金されないことが肝心だ。金券ショップや暴力団などに売られたらこの制度は骨抜きになってしまう。この食品券には使用者名を予め記入して身分証明書を提示することを義務付ければ大半の不正使用を防止できるだろう。
 勿論、これで不正使用が無くなるとは思わない。抜け道は幾らでもある。それでも90%以上は正しく使用されることになるだろう。完璧な制度など不可能なのだからベストではなくベターであっても充分だろう。少なくとも今よりは良くなる。

発癌性の疑い

2012-06-22 17:42:46 | Weblog
 マスコミが好んで使う「発癌性の疑い」は困った言葉だ。発癌のメカニズムは複雑であり未だ充分には解明されていないし、発症までに何年も掛るので何であろうとこの疑惑の対象になる。
 さすがに水に発癌性があると主張する人はいないが、水道水なら発癌性を疑うことができる。古い水道管には鉛が使われていたし、現在でも塩素で殺菌している。塩素が癌を誘発しないと証明できる人はいない。
 野菜も発癌性があると主張できる。勿論、一部の例外を除いて野菜そのものに発癌性は無い。しかし残留農薬の問題がある。農薬の発癌性は確認されているのだから野菜に発癌性があるという主張は妥当性を持つ。
 二分法を使えば何でも危険物になる。危険と安全の間にはグレーゾーンがある。危険性が少しでもあれば危険物と見なすなら何でも発癌性の疑いがある物になってしまう。限りなく0に近い疑いまで騒ぎ立てれば本当に危険な物が何なのかが分からなくなってしまう。「発癌性の疑い」という無責任な言葉で世間を騒がすのはやめて、本当に危険な物に警鐘を鳴らすという役割に徹して貰いたいと切に願う。

精神障害者

2012-06-22 17:25:09 | Weblog
 来年にも精神障害者の雇用が義務付けられるようだ。これまでに身体障害者や知的障害者の雇用が義務付けられていたが精神障害者の雇用となると事情は大いに異なる。これは雇用しない企業から罰金を取ることを狙った実質的増税ではないかとさえ思える。
 身体障害者と知的障害者を部下として使ったことがある。身体障害者は片足が義足の男性で、充分な事務能力があったので事務仕事なら何でも任せられる人材だった。知的障害者の男性は集団作業に就かせた。
 精神障害者も2人いた。一人は統合失調症と思われる女性で、発作が起こると手が付けられず、遠巻きに見守って発作が治まるのを待つしか無かった。結局、人事預かりとなりその後、退職した。
 もう一人は鬱病で、鬱状態でなければ普通に仕事をこなせるのだが、鬱状態になると出勤できなくなる。ある日突然、出勤できなくなりいつ復帰できるのか全く分からないので集団作業以外は任せられなかった。結局、彼も退職した。
 てんかんの人も社内にいた。会議中に発作を起こして救急車で病院に運ばれるという騒動もあった。前の2つの精神病と比べれば随分使えそうだが、業務として自動車などを運転させることはできない。
 殆どの企業では就業規則等で、精神障害者は解雇できると定めている。それ程、厄介な存在だ。
 精神障害者の雇用を義務付けるよりは出所者の雇用のほうがずっと現実的ではないだろうか。犯罪者は決して更生不可能は根っからの悪人ばかりではない。出所者に職を与えることは再犯の予防にもなる。

原発水没

2012-06-19 14:33:51 | Weblog
 16日放送の「世界不思議発見」で富山湾に海底林があることを知った。なぜ海底林があるのか。番組ではジワジワと水没したように説明していたがそれはあり得ない。ジワジワと沈めば途中で木が腐ってしまう。瞬時に冷水域まで沈んだからこそ腐らずに残っているのだろう。
 ではなぜ瞬時に沈んだのか。地殻変動、つまり大地震による大陥没以外は考えられない。これは恐ろしいことだ。太平洋側だけではなく日本海側にも巨大地震と大陥没の危険性があるということだ。
 かつて実際に起こったように、原発所在地が水没したらどうなるだろうか。水に浸かれば冷却されるから福島第一原発のような大事故にはならないと考えるのは余りにも楽観的過ぎる。制御不可能になることによって何が起こるのかは私のような素人には分らないが、少なくとも物凄い放射能汚染が起こることは間違い無い。大量の核燃料を保管する原発の水没は大量の核物質を海に捨てるのと同じことであり、史上最悪の海洋汚染となる。日本海はその後、10万年に亘って死の海となるだろう。日本海沿岸の原発がこれほど危険とはこれまで思わなかった。原発が水没したら政府は何と説明するだろうか。津波は想定できたが水没は想定外だった・・・。何とも懲りない面々だ。