俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

オスの役割

2010-08-03 13:58:38 | Weblog
 動物の本来の姿はメスだ。もともとはメスが単独で無性生殖によって自らのクローンを作って増殖していた。しかし無性生殖には弱点がある。進化しづらいということだ。
 無性生殖によるDNAのコピーが完全なら次世代・次々世代は前世代と全く同じ個体しか生まれない。
 一方、コピーが不完全なら子孫は出来損ないだらけになってしまって生存率は極めて低くなる。放射能やサリドマイド禍によって遺伝子を狂わされた子孫は大半が不適応者になる。従って、基本的には遺伝子のコピーはできるだけ正確である必要がある。
 正確なコピーと適度な変異とを両立させるのがオスの役割だ。つまり環境適応者同士のDNAを交配させることによって不適応でない変異を作り出すことが役割だ。良い遺伝子を融合させるためにオスは存在する。
 これがオスの役割ならオスとメスに分化する必要は無い。一部の魚のように、繁殖期にだけメスが性転換したオスが現れれば充分だ。
 人間で言えば、例えば25歳の時点で未受精のメスの一部が性転換してオスになり、せっせと授精に励めば人類は存続し適度に進化も遂げるだろう。
 性転換はいささかSF的で非現実的だが、繁殖と進化のためにはオス・メスの比率は1対1ではなく10対1でも充分ではないだろうか。
 メスの持つ遺伝子を運んで融合させることがオスの役割だと考えれば、オスとして生まれたことが虚しく感じられる。

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