俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

弥生人

2010-01-14 16:02:00 | Weblog
 騎馬民族が海を渡ってやって来て縄文人を征服した訳ではない。コルテスによるアステカ帝国侵略や元寇と同じようにイメージするのは大間違いだ。
 南方系・北方系および西方系を起源とする混血の縄文人が広く分布する日本列島に、稲作や鉄器などの新文明を持つ人々が次々に大陸や半島からやって来た。この中には、始皇帝の命令で不老不死の薬を求めて東海へと向かい帰って来なかった徐福の一行も含まれているかも知れない。彼らは侵略者ではなく啓蒙者として縄文人に大歓迎されただろう。言わば天下った神として迎えられた。
 縄文人と比べて少数者であった渡来人は混血を繰り返して同化して行った。こうして生まれたのが弥生人だ。
 水の中に墨を落とせばジワジワと広がるように、大陸および半島系の血筋は西日本の日本海側から徐々に広がった。古事記や日本書紀に拠れば、東北地方には大王に従わぬ蝦夷、南九州には熊襲がいたとされているが、これは原日本人である縄文人の末裔だろう。
 西洋でも中国でも文明・文化の転換期には侵略・戦争・支配という形態を取る。しかし縄文から弥生への文化革命は殆ど犠牲を出すことなく平和に行われたと思われる。近代史における白人による侵略・植民地支配とは全然違う。10,000人未満の犠牲で達成された明治維新と共にこの弥生時代の平和革命は世界に誇るべき日本史だろう。

コメントを投稿