俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

模擬面接

2010-04-09 15:26:07 | Weblog
 就職難の中、模擬面接に励む大学生が多いらしい。模擬面接を通じて完璧な応答を習得するつもりなのだろうが、これには大きな危険がある。幼稚園や小学校ならともかく、当たり障りの無い無難な答えなど企業の面接官は求めていないからだ。
 面接ではないが小論文に関しては有名な話がある。朝日新聞が入社試験で「ペンは剣より強し」について書けという問題を出した。採点者はうんざりしたそうだ。どの論文も判で押したようにペンの強さを力説するものばかりで、採点者は「ペンの弱さについて書いていたらそれだけで満点を与えたい」と思ったそうだ。
 試験とは違って面接には正解は無い。敢えて正解の無い質問をすることで被面接者の個性や人間性を探ろうとしている。ここで当たり障りの無い無難な答えをすればそれは多分、他の多くの被面接者と同じような答えになるだろう。面接官は「またか」と思ってうんざりするだろう。
 模擬面接をすることが無駄だとは言わない。私も職場での上司として部下に対して模擬面談を行った。しかしその目的は「何と答えるか」ではなく「どう答えるか」だった。
 マニュアル志向の強い最近の大学生は安易に「正解」を求め、その結果として自ら墓穴を掘ってしまいそうに思える。

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