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七曜工房みかん島

18年間の大三島暮らしに区切りをつけ、
滋賀大津湖西で、新たに木のクラフトと笛の工房
七曜工房を楽しみます

「一人で建てる木組みの家」~⑯下水管の埋設

2008年04月25日 | 『一人で建てる木組みの家』
1.台風対策

みかん畑の草刈りの合間に、少しずつ下水の設計を進めて、
一週間程で大略が仕上がった。
合わせて、風呂場や便所、洗面所等の設備関係の品を、
インターネットで調べる。
その後、クラフト作りや秋作の菜園準備をしていたら、
家作りに手がまわらない。

その内に、大きな台風が接近して来た!
屋根と外壁ができていても、開口部は、何もないオープン状態!
これでは、家が台風にさらわれてしまう。
大慌てで、園芸用のビニールシートやブルーシートを開口部にあてて、
桟木で留めたり、
ガラスのない古いガラス戸にビニールシートを留めつけて、はめこんだり、
古い雨戸を補修してはめこんだりと、
台風を横目ににらみながら丸一日かけて、開口部をふさいだ。
台風13号は、最悪のコースをとりそうであったが、
少しそれて潮まわりや時間帯もよかったので、
何事もなく無事通過してくれた。



下水管の掘り始め 台風対策のブルーシートが見えている



2.ツルハシが擦り減った!

設計ができてから1ヶ月が経ってようやく作業に入る。
流末まで50mほどある。
ツルハシとスコップで、上流から掘り始める。
大三島のこの辺りは、花崗岩の風化土の真砂土地帯だから、掘るのは楽な方だ。
みかん畑や菜園でも、楽に掘れる。
ただし砂利や転石が混ざってしまうと、どこも固く締まるから掘りづらい。
この敷地も新屋の方は、
工事残土をいれているので砂利も多く、よく締まったところは大変固い。
1m掘り進むのに一時間かかった部分もある。
掘り幅をギリギリ狭くして掘削量を減らそうとしたら、
スコップの作業がしづらくなり、効率悪く,かえって遅くなった。
一番深いところで、胸あたりまで。
本管のある古家の方へ来ると、こちらは砂状でとても掘り易い。
しかし柔らかすぎて掘り穴が崩れるのが、やっかいだ。
掘り上がったと思って、先へ行っていると、
ドサリと音がして掘ったところが崩れてしまっていたりする。
ひたすらの穴掘りに4日間を要した。
ツルハシのとがった方の先っぽが、磨り減って不細工に短くなっていた。


一番固い所を掘る



枡と本管をつなぐ


北側の配管



3.パイプをつなぐ">

下水パイプの塩ビ管は、
VU管を使う。本管にVU100 、枝管にVU75とVU50、枡用にVU150.。
これらの管を接続するのに、
90°や45°のエルボ、偏心ソケット、チーズ等の継手が必要だ。
また、枡も様々なタイプのものがある。
カタログを見ながら、詳細に図面を作り、
間違わないように材料を注文するのに、
かなり頭を使わなければならなかった。
それでも、最後の方には、変更や追加が出てきた。
管の取り付けは、枝管を先にして、それを本管につないでいく方法をとる。
この建物内の枝管がやっかいだ。
管勾配を気にしながら、継手を使って、
建物の基礎の下をくぐらせて、枡へつなぐ。
台所、トイレ、洗面所、風呂場と進めていく。
丁張りの水糸で、管底高を取りながら、枡と本管を設置する。
次第に深くなると作業が難しくなる。

接着剤は遅乾性のものを使用。
接着剤の量は、あまり多すぎても良くないだろうと、
最初にソケットだけに塗ったら、とても入りにくい。
「コリャ、ソケットと管の両方に塗るものなんだ。
管が入る時は、接着剤が潤滑剤の役目をするんだ。」と気付き、
次からは、スムーズに入ってくれた。
管の切断には、木材用の替刃式ノコギリを使い、
切断線はボール紙を巻き付けて、エンピツで印をつけた。


枡と本管枝管の接続


接続枡と点検枡

4.水が、、、

古家の横を掘っていて、2度も水道管を破ってしまった。
どこを通っているのか、はっきり分からなかったので、
注意して掘っていたのだが、やはりやってしまった。
1度目は、水が吹いたからすぐに修理をした。
2度目は、翌日になって土が濡れていたので、気がついた。
継手の横からもれていた。これも修理した。
塩ビ管をつなぐのは、旨くなったみたいだ。

 
この地域では、みかん作りがもっと盛んだった頃、
害虫や病気を防ぐために、薬剤を共同で散布していたそうだ。
共同防除と言って、
それぞれのみかん畑に配水パイプがはりめぐらされて、一斉に防除を行っていた。
このパイプを設置するのに、自分達でやったという。
パイプの接続ぐらいは、皆お手のものである。
借りているみかん畑で、草を刈っていると、古くなった塩ビ管がよく出てくる。

塩ビ管の接続が旨くなっても、村では、当たり前のことらしい。



古家部分の配管


埋め戻し



2006年9月.10月


 付記; 妻・ひろより

 下水管工事をしていた頃は、台風の一番よく発生する頃であった。
 「台風シーズンが終わるまで、下水管工事は、待ったら」
 という妻の忠告には、耳も貸さず、
 
 「そんなことしていたら、いつまで経っても家が建たない」と
 夫は、家の廻りに、深くて長い溝をドンドン掘りすすめていた。

 おまけに、の神社の役をしていた夫は、
 溝を掘ったまま、途中で、
 秋祭りの準備や相談の為 始終出かけていた。
 この深くて長い溝は、台風の高潮を、家に呼び込むようなものである。
 妻は、この溝を眺めては、やきもきし続けていた。

 台風も逸れてくれ、下水工事も無事終わったのは、
 氏神様のご利益かもしれない。



 
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