中津川市民病院で、11月1日午後1時15分から父親の「上行結腸腫瘍」の手術があった。子どもを妻の実家に預けて、妻と二人で10月31日の午前に中津川に向かった。病院には、午後4時頃着き、父を見舞う。久しぶりに兄弟がそろう。父は翌日の手術のために下剤を飲んでおり、腸の中を空っぽにしており、点滴で栄養を補給していた。それでも元気で、自分でトイレに行ったりしていたが、さすがに翌日に手術を控えて多少心細そうに見えた。1日は、朝から病院に詰めていた。
「上行結腸腫瘍」というのは、いわゆる結腸癌(大腸癌)である。一応、進行癌であるが他の器官への転移は認められず、「デュークス分類」でBないしC、または「ステージ分類」でⅡないしⅢ期だと思われるが、正確には開腹してみないとわからないという。大腸が狭窄していて、腫瘍からは出血しており、腸閉塞や貧血になりやすい状態だということで早急に手術したほうがよいということでこの日の手術になった。
手術は、全身麻酔・硬膜外麻酔をした「右半結腸切除術」であり、合併症としては、①出血、再出血②縫合不全③腸閉塞④感染⑤心不全、不整脈の心臓合併症⑥肺炎、肺梗塞の肺合併症⑦痴呆等などの可能性があること、また高齢でもあり、様々な合併症、時には命に関わる危険性もあると言う。それで、本人および家族の同意書を作成し、署名した。
大腸壁は胃壁と同じで、5つの層に分けられ、最も内側が粘膜、中心部分が、腸を動かす筋肉、そして最も外側が漿膜と呼ばれている。具体的には内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5層になっている。大腸癌の進行はこれら5層のどの部分に達しているかで分類される。国際的に用いられている大腸癌の進行の分類としては、デュークス分類がある。また、日本で用いられている大腸癌の分類方法としては、ステージ分類がある。国立がんセンターの大腸癌の解説の「4.病期(ステージ)と生存率」にはつぎのようになっている。(デュークス分類の%は手術後の5年生存率)
●デュークス分類
デュークス A (95%): がんが大腸壁内にとどまるもの
デュークス B (80%): がんが大腸壁を貫くがリンパ節転移の
ないもの
デュークス C (70%): リンパ節転移のあるもの
デュークス D (25%): 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの
●ステージ分類
0期: がんが粘膜にとどまるもの
I期: がんが大腸壁にとどまるもの
II期: がんが大腸壁を越えているが、隣接臓器におよんで
いないもの
III期: がんが隣接臓器に浸潤(しんじゅん:周囲に拡がること)
しているか、リンパ節転移のあるもの
IV期: 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの
結腸癌の開腹手術は普通次のように行われるという。
手術は1時15分から始まったが、その前に親族全員で父親を手術室まで見送った。手術時間は約2時間、手術後、3時半ごろ親族一同呼び集められて、切り取った患部を見せながら手術の結果を説明してくれた。小腸の一部から大腸まで約10センチ以上が切り取られ、硬くなった主要の部分が見える。他の器官への転移はないが、リンパ節には浸潤しており、第一群と第二群は切除したが、年齢・体力を考え、第三群は切除できなかったとのこと。この結果については、今後の経過を見ないと何ともいえないということだった。ただし、手術そのものは成功で、出血も15ccくらいで大変うまくいったということだ。
手術室から個室に運び込まれ、麻酔からさめたところで、二人ぐらいずつで声をかける。意識ははっきりしており、父から返事がある。「お父さん、気分はどう?」「大丈夫だよ」「痛いところはない?」「うん、すこし痛い」そんな反応を確かめ、うれしかった。今日は、看護婦さんに任せて、皆帰ることになる。明日から、弟が個室で泊まり込みの看護をすることになった。すぐに、リハビリを始めるらしい。かなり痛いらしいが、明日からもう歩く練習も始めるという。そのために、大部屋に移るまで付き添いが必要とのこと。
本人は、自分が癌だと言うことを知っており、手術の前に実家の隣の甥に自分が癌で手術が必要だと言うことを伝えていたそうだ。頭ははっきりしており、毎日の新聞の差し入れを要望し、見舞客については全てノートのメモしていた。私が手術前に会ったときも、そのノートを見せてくれた。20日くらいで退院できるということだが、退院後どうするかは、また改めて兄弟で相談することにする。中津川の実家を離れるのはいやだと言うと思うが、体調と相談しながら決めようとみんなで確認した。病院を出るともう薄暗くなっていた。私は妻と二人で、1日の夕方5時頃中央高速自動車道の中津川インターに入り、埼玉に向かった。
「上行結腸腫瘍」というのは、いわゆる結腸癌(大腸癌)である。一応、進行癌であるが他の器官への転移は認められず、「デュークス分類」でBないしC、または「ステージ分類」でⅡないしⅢ期だと思われるが、正確には開腹してみないとわからないという。大腸が狭窄していて、腫瘍からは出血しており、腸閉塞や貧血になりやすい状態だということで早急に手術したほうがよいということでこの日の手術になった。
手術は、全身麻酔・硬膜外麻酔をした「右半結腸切除術」であり、合併症としては、①出血、再出血②縫合不全③腸閉塞④感染⑤心不全、不整脈の心臓合併症⑥肺炎、肺梗塞の肺合併症⑦痴呆等などの可能性があること、また高齢でもあり、様々な合併症、時には命に関わる危険性もあると言う。それで、本人および家族の同意書を作成し、署名した。
大腸壁は胃壁と同じで、5つの層に分けられ、最も内側が粘膜、中心部分が、腸を動かす筋肉、そして最も外側が漿膜と呼ばれている。具体的には内側から粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜の5層になっている。大腸癌の進行はこれら5層のどの部分に達しているかで分類される。国際的に用いられている大腸癌の進行の分類としては、デュークス分類がある。また、日本で用いられている大腸癌の分類方法としては、ステージ分類がある。国立がんセンターの大腸癌の解説の「4.病期(ステージ)と生存率」にはつぎのようになっている。(デュークス分類の%は手術後の5年生存率)
●デュークス分類
デュークス A (95%): がんが大腸壁内にとどまるもの
デュークス B (80%): がんが大腸壁を貫くがリンパ節転移の
ないもの
デュークス C (70%): リンパ節転移のあるもの
デュークス D (25%): 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの
●ステージ分類
0期: がんが粘膜にとどまるもの
I期: がんが大腸壁にとどまるもの
II期: がんが大腸壁を越えているが、隣接臓器におよんで
いないもの
III期: がんが隣接臓器に浸潤(しんじゅん:周囲に拡がること)
しているか、リンパ節転移のあるもの
IV期: 腹膜、肝、肺などへの遠隔転移のあるもの
結腸癌の開腹手術は普通次のように行われるという。
結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)のがんの手術は、病巣と共に口側と肛門側の腸管を10cmほど離して切除します。 同時に周囲のリンパ節の切除(リンパ節郭清と呼びます)を行います。
リンパ節郭清は、腺腫や粘膜内がんでは必要ありません。また、浸潤している大腸がんでも浸潤の程度がほんのわずかでリンパ節転移の危険因子(病巣先進部の組織型や脈管侵襲などを調べて決めます)がなければ必要ありません。しかし、大半の大腸がん(大腸癌)では病巣周囲のリンパ節郭清が必要です。
切除する結腸の量が多くても、術後の消化・吸収等の機能障害はほとんどおこりません。
手術は1時15分から始まったが、その前に親族全員で父親を手術室まで見送った。手術時間は約2時間、手術後、3時半ごろ親族一同呼び集められて、切り取った患部を見せながら手術の結果を説明してくれた。小腸の一部から大腸まで約10センチ以上が切り取られ、硬くなった主要の部分が見える。他の器官への転移はないが、リンパ節には浸潤しており、第一群と第二群は切除したが、年齢・体力を考え、第三群は切除できなかったとのこと。この結果については、今後の経過を見ないと何ともいえないということだった。ただし、手術そのものは成功で、出血も15ccくらいで大変うまくいったということだ。
手術室から個室に運び込まれ、麻酔からさめたところで、二人ぐらいずつで声をかける。意識ははっきりしており、父から返事がある。「お父さん、気分はどう?」「大丈夫だよ」「痛いところはない?」「うん、すこし痛い」そんな反応を確かめ、うれしかった。今日は、看護婦さんに任せて、皆帰ることになる。明日から、弟が個室で泊まり込みの看護をすることになった。すぐに、リハビリを始めるらしい。かなり痛いらしいが、明日からもう歩く練習も始めるという。そのために、大部屋に移るまで付き添いが必要とのこと。
本人は、自分が癌だと言うことを知っており、手術の前に実家の隣の甥に自分が癌で手術が必要だと言うことを伝えていたそうだ。頭ははっきりしており、毎日の新聞の差し入れを要望し、見舞客については全てノートのメモしていた。私が手術前に会ったときも、そのノートを見せてくれた。20日くらいで退院できるということだが、退院後どうするかは、また改めて兄弟で相談することにする。中津川の実家を離れるのはいやだと言うと思うが、体調と相談しながら決めようとみんなで確認した。病院を出るともう薄暗くなっていた。私は妻と二人で、1日の夕方5時頃中央高速自動車道の中津川インターに入り、埼玉に向かった。