日本は、巨額の財政赤字を抱えていて、もやは破綻していると同じであるとよく言われている。しかし、相変わらず、国家予算は減っていない。あたかも、国の経済的破綻などあり得ないという認識で国家財政は動かされているようだ。しかし、いよいよ平成17年度の予算編成の時期が近づいて来た。これまでも、「三位一体の改革」ということが言われているように、国や地方の財政の縮小圧力は確実に起こっており、そのためさらに厳しい運営が課せられている。これから、財政はどのようにうごいていくのだろうか。
一応自分の頭で、財政危機について考えてみたいと思う。今後、仕事や生活で私たちがもろに影響を受けそうなことがどんどん起こりそうである。その場合、大切なことは、次の二つのことをしっかりと理解しおくことだと思う。一つは財政危機と言うが、それはどういうことを指しているのか、ということであり、もう一つは、財政破綻をさけるためにどのような動きがこれから起こってくるのかということである。まず、財団法人電力中央研究所の「財政危機をどうみるのか」というレポートは次のように言う。
ちなみに、この政府債務残高というのは、「日本の借金時計」ともほぼ同じである。また、2003年度末のDDP(国内総生産)は内閣府の経済見通しによればほぼ497兆円である。さらに、700兆円から国債残高を差し引いた150兆円は地方の債務だと思われる。補助金や地方交付金を支出している国としては、地方の債務も国の債務である。なぜ、こうなってしまったかについて、平成16年10月22日の財政制度等審議会で日銀福井総裁は次のように述べている。
つまり、バブルがはじけ、景気が低迷し税収が減少したにもかかわらず、景気対策や公共事業関係費の増加があり、財政赤字は拡大してしまったということだ。だからこそ、現在財政改革ということが言われているわけだ。問題は、財政赤字が拡大したことにより、予算がいびつになってしまっていると言うことだ。平成16年度の予算は次のようになっている。
●歳入
税収 41兆7470億円
その他収入 3兆7739億円
国債発行額 36兆5900億円
合計 82兆1109億円
●歳出
国債費 17兆5686億円
地方交付税等 16兆4935億円
一般歳出 47兆6320億円
NTT-B事業償還時補助 4169億円
合計 82兆1109億円
ここで明らかなように、17兆円超の国債を返済しているが、新たに36兆円超の国債を発行しており、差し引き19兆円兆の国債の増加になっている。これがそのまま、プライマリー・バランスの赤字と言うことになる。プライマリー・バランスとは、借金以外の収入から借金の金利支払い・借金返済以外の支出を引いたものをいう。要するに、収入から支出をひいたら赤字になるようだと、借金は雪だるま式に増加していくことになる。今は、そういう状態になっているわけだ。こうした事態を財政危機と言う。
それでは、財政破綻とはどういうことだろうか。簡単に言えば、財政のサステナビリティー(持続可能性・Sustainability)がなくなることだ。つまり国の財政が持続しなくなると言うことである。企業の破綻と違って、現在では、国が破綻したからと行って、倒産するわけではない。ある意味では、「再建型の清算」が行われることになる。一番はっきりしているのは、外国の債権者に対して国債の支払い停止が起こるということだ。それはもちろん国内の債権者に対してもそうだ。国としてみた場合は、前者が明確だと思う。そこまで行くと大変なことになるが、その前に、いろいろな清算が行われて、最終的な破綻は回避されることになる。
例えば、激しいインフレが起こり、国の借金が相対的に減少していくというようなことが起こる。 特に日本のように、国債の主たる買い手が日本の銀行等が多い場合はそうなりそうだ。日本人の個人金融資産は1400兆円くらいあると言われているが、700兆円の借金をこれで充当すればいいわけだ。もちろん、個人資産は平等に持っているわけではなく、必ずしもそうなるわけではないが、財政破綻が起きると国民の持っている総資産が半分吹っ飛ぶと言うことになるわけだ。もちろん、それだけでなく、国の公共事業は全て停止してしまうかもしれない。そもそも国債を発行使用にも誰も買わなくなってしまい、事業ができなくなる。支払いさえできなくなれば、日本の経済的信用がなくなるので、いろいろな問題が起こってくる。つまり、国がつぶれるわけではないが、相当ひどい状態になることだけは確かだ。
それでは、こうした財政破綻が起こらないようにするにはどうしたらよいのだろうか。普通に考えれば、これ以上借金を増やさないようにしなければならない。そのためには、プライマリー・バランスがマイナスにならないようにしなければならない。結論は、簡単で、①税収を増やすか、②一般歳出を減らすか、あるいは③両方やると言うこと以外にない。①の税収を増やすには、直接に税率を上げるか、間接的に景気がよくなって企業からの税金が多くなるようにしなければならない。①の効果が少ない場合は、当然②の歳出を減らしていくしかない。この点について、谷垣財務大臣の平成16年1月の演説は、「財政構造改革」として、次のように述べている。
ここで、「基礎的財政収支黒字化」とは、プライマリー・バランスを黒字にすると言うことである。また、「持続可能」という言葉をよく使うが、それこそ、財政破綻が起こらないで、「サステナビリティー」が確保されると言うことである。福井日銀総裁は、前述の報告の中で、次のように述べている。
しかし、これがなかなか難しい。「思い切った歳出歳入両面の見直し」は、一つは増税であり、既に近い将来の消費税のアップに向けて動いているし、歳出については「三位一体の改革」などを等して見直しを使用としているが、簡単ではなさそうだ。「経済の潜在力を高め」るのは、いちばん理想的だが、これも簡単ではない。「規制緩和や制度面の見直し、整備等を通じて、民間のインセンティブに働きかけ、そして活力を引出していくということが基本になる」というが、その効果は長い時間がかかる。それまで、耐えられるかどうかである。小泉総理大臣は、自分が総理の間は消費税を上げないと言っているが、そのことはあと2年したらあがる可能性があると言うことも意味している。
一応自分の頭で、財政危機について考えてみたいと思う。今後、仕事や生活で私たちがもろに影響を受けそうなことがどんどん起こりそうである。その場合、大切なことは、次の二つのことをしっかりと理解しおくことだと思う。一つは財政危機と言うが、それはどういうことを指しているのか、ということであり、もう一つは、財政破綻をさけるためにどのような動きがこれから起こってくるのかということである。まず、財団法人電力中央研究所の「財政危機をどうみるのか」というレポートは次のように言う。
日本経済は未曾有の財政危機に直面している。年間30兆円にも及ぶ財政赤字が引き続き、政府債務残高は、2003年度末現在、700兆円、対名目GDP比で140%(1.4倍)に達した模様である。そのうち、国債残高は550兆円、その対名目GDP比は110%に達したと推測され、1995年以降現在までの8年間で、同比率は実に64%ポイント(46%→110%)もの、急激な上昇を記録している。まさしく日本の財政は異常な事態である。
ちなみに、この政府債務残高というのは、「日本の借金時計」ともほぼ同じである。また、2003年度末のDDP(国内総生産)は内閣府の経済見通しによればほぼ497兆円である。さらに、700兆円から国債残高を差し引いた150兆円は地方の債務だと思われる。補助金や地方交付金を支出している国としては、地方の債務も国の債務である。なぜ、こうなってしまったかについて、平成16年10月22日の財政制度等審議会で日銀福井総裁は次のように述べている。
90年代以降、1つは、歳入面で、景気低迷や減税措置に伴う税収の減少、また、2つ目には歳出面で、数次にわたる景気対策としての公共事業関係費の増加がありました。そのいずれもが寄与する形で財政赤字が大幅に拡大してまいりました。
2000年代に入って、公共事業関係費などが大幅に削減されました。税収も下げどまってきてはおりますけれども、また一方で、高齢化に伴う社会保障関係費の増加などもありまして、一般会計の財政収支の改善は非常に緩やかにしか進んでいないというのが現状だと思います。
つまり、バブルがはじけ、景気が低迷し税収が減少したにもかかわらず、景気対策や公共事業関係費の増加があり、財政赤字は拡大してしまったということだ。だからこそ、現在財政改革ということが言われているわけだ。問題は、財政赤字が拡大したことにより、予算がいびつになってしまっていると言うことだ。平成16年度の予算は次のようになっている。
●歳入
税収 41兆7470億円
その他収入 3兆7739億円
国債発行額 36兆5900億円
合計 82兆1109億円
●歳出
国債費 17兆5686億円
地方交付税等 16兆4935億円
一般歳出 47兆6320億円
NTT-B事業償還時補助 4169億円
合計 82兆1109億円
ここで明らかなように、17兆円超の国債を返済しているが、新たに36兆円超の国債を発行しており、差し引き19兆円兆の国債の増加になっている。これがそのまま、プライマリー・バランスの赤字と言うことになる。プライマリー・バランスとは、借金以外の収入から借金の金利支払い・借金返済以外の支出を引いたものをいう。要するに、収入から支出をひいたら赤字になるようだと、借金は雪だるま式に増加していくことになる。今は、そういう状態になっているわけだ。こうした事態を財政危機と言う。
それでは、財政破綻とはどういうことだろうか。簡単に言えば、財政のサステナビリティー(持続可能性・Sustainability)がなくなることだ。つまり国の財政が持続しなくなると言うことである。企業の破綻と違って、現在では、国が破綻したからと行って、倒産するわけではない。ある意味では、「再建型の清算」が行われることになる。一番はっきりしているのは、外国の債権者に対して国債の支払い停止が起こるということだ。それはもちろん国内の債権者に対してもそうだ。国としてみた場合は、前者が明確だと思う。そこまで行くと大変なことになるが、その前に、いろいろな清算が行われて、最終的な破綻は回避されることになる。
例えば、激しいインフレが起こり、国の借金が相対的に減少していくというようなことが起こる。 特に日本のように、国債の主たる買い手が日本の銀行等が多い場合はそうなりそうだ。日本人の個人金融資産は1400兆円くらいあると言われているが、700兆円の借金をこれで充当すればいいわけだ。もちろん、個人資産は平等に持っているわけではなく、必ずしもそうなるわけではないが、財政破綻が起きると国民の持っている総資産が半分吹っ飛ぶと言うことになるわけだ。もちろん、それだけでなく、国の公共事業は全て停止してしまうかもしれない。そもそも国債を発行使用にも誰も買わなくなってしまい、事業ができなくなる。支払いさえできなくなれば、日本の経済的信用がなくなるので、いろいろな問題が起こってくる。つまり、国がつぶれるわけではないが、相当ひどい状態になることだけは確かだ。
それでは、こうした財政破綻が起こらないようにするにはどうしたらよいのだろうか。普通に考えれば、これ以上借金を増やさないようにしなければならない。そのためには、プライマリー・バランスがマイナスにならないようにしなければならない。結論は、簡単で、①税収を増やすか、②一般歳出を減らすか、あるいは③両方やると言うこと以外にない。①の税収を増やすには、直接に税率を上げるか、間接的に景気がよくなって企業からの税金が多くなるようにしなければならない。①の効果が少ない場合は、当然②の歳出を減らしていくしかない。この点について、谷垣財務大臣の平成16年1月の演説は、「財政構造改革」として、次のように述べている。
我が国の財政状況は、平成16年度末の公債残高が483兆円程度に達する見込みであるなど、世界の先進国の中でも最悪の水準となっております。このため、政府としては、中長期的な財政運営に当たり、2010年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指すとの目標達成に向け努力しているところであります。
ここで、「基礎的財政収支黒字化」とは、プライマリー・バランスを黒字にすると言うことである。また、「持続可能」という言葉をよく使うが、それこそ、財政破綻が起こらないで、「サステナビリティー」が確保されると言うことである。福井日銀総裁は、前述の報告の中で、次のように述べている。
中長期的に財政再建を進めるためには、2つのことが必要になると思います。1つは、かなり思い切った歳出歳入両面での見直し。もう1つは、経済の潜在力を高め、その面から税収を増やしていくということだと思います。
しかし、これがなかなか難しい。「思い切った歳出歳入両面の見直し」は、一つは増税であり、既に近い将来の消費税のアップに向けて動いているし、歳出については「三位一体の改革」などを等して見直しを使用としているが、簡単ではなさそうだ。「経済の潜在力を高め」るのは、いちばん理想的だが、これも簡単ではない。「規制緩和や制度面の見直し、整備等を通じて、民間のインセンティブに働きかけ、そして活力を引出していくということが基本になる」というが、その効果は長い時間がかかる。それまで、耐えられるかどうかである。小泉総理大臣は、自分が総理の間は消費税を上げないと言っているが、そのことはあと2年したらあがる可能性があると言うことも意味している。