電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

政治の腐敗について

2024-01-01 10:11:10 | 政治・経済・社会
 ギリシャの昔から、そして民主政治の初めから、選挙はすぐに腐敗し始めた。自民党の派閥のパーティー券のキックバックは、選挙資金に使うためだと思われる。「政治には金がかかる」というのが彼らの言い分だ。本当は、金のかからない制度を考えるべきである。

 民主政治の初めは、一般的にはアテネの「クレイステネスの改革」によって実現された「ポリス・アテネ」の政体から始まるとされている。塩野七生の著書『ギリシャ人の物語』によれば、この政体の実体は、アリストテレスの『アテネの政体』で初めて正確に分かるようになったという。ただし、この便利な解説書は、1891年に発見されて刊行されたものである。つまり、フランス革命の頃は、誰も読んでいなかったことになる。

 塩野七生はアリストテレスの本に基づき、アテネの政体について紹介している(詳しくは同書を参照)。それによれば、古代のアテネの「デモクラシー」は、「国政の行方を市民(デモス)の手にゆだねた」のではなく、「国政の行方はエリートたちが考えて提案し、市民(デモス)にはその賛否をゆだねた」ということだそうだ。

 ペイシストラトスはエリートをただ名門階級の出身(世襲)でなく、真に実力のあるもの(名門に多い)から選んだ。だから、興隆期のアテネの指導者たちは、ほとんど全員が名門出身者で占められている。つまり彼は、アテネを「メリトクラティア(メリットクラシー)」という実力主義の方向へ導いたのだ。塩野七生は、「デモクラシー」と「メリットクラシー」とは、意外と相性が良いと言っている。この改革の25年後にアテネの命運を一身に背負うことになるテミストクレスは、アテネのリーダーの中でただ1人「非名門出」であった。

 金のかからない選挙ということと、合理的な選挙とはおそらく同じことだと思われる。例えば、これはギリシャの昔からあるが、参議員を抽選にすることだ。実際、クレイステネスが作った「500人委員会」と呼ばれる「ブレ」は、成年男子から抽選で選ばれるものだった。これについて、塩野七生は、「抽選を導入したクレイステネスの深意は、アテネの市民たる者、一生に一度くらい公職を経験すべきである、ということだったのではないかと想像している」と述べている。

 そして、衆議院は、全国をまとめて(特大区)で、1人1票の投票を行うことが良いだろう。そうすれば、私は北海道の友人に投票することができる。こちらの方法はシステムとしては難しいかもしれないが、インターネットの時代には、地縁・血縁は時代遅れだと思う。地域の仲間が少なくても、日本全国に支援者がいれば議員になれるようにすることは、比例代表より良いと思われる。これらは、あくまでも議員代表制を取る場合の工夫である。

 以上は、今年の初夢選挙である。

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