水に降る雪

おもに宝塚、そして日々のこと

月組「赤と黒」

2020-02-21 | 月組

御園座公演「赤と黒」行ってきました。

いやなんというか、聞きしにまさる主人公のクズっぷりに驚きました

数ある宝塚のクズ主人公の中でもトップ10に入るんじゃないでしょうか

あれを“宝塚”として成立させるのは大変だわ

 

御園座は初めてでした。綺麗だしスタッフさんは親切ですが、劇場としては・・・出来たら二度は御免被りたいです

駅近ですけど、延々階段を上ったり下ったり、エスカレーターもエレベーターもどこにあるの?なところで、

お年寄りには応えますぜ中日劇場は駅直結で楽チンでしたからね~(人は楽な方に流れるのよ

お座席は1階まあまあ前方席でしたが、座ってすぐ激しく後悔しました。

傾斜が小さくて千鳥にもなってないし、舞台も低いので、前に大きい人に座られるとみ、見えない~

私のようなチビは2階にすべきでした

 

ブリリアとか、青年館とか新しく出来た劇場の評判が軒並みよろしくないですね。

みてくればっかり気にしてるからでしょう、本末転倒もいいとこだわ。出演者や観客の使い勝手を最優先にすべきなのに。

あと音楽系ホールの音響の微妙なとこもね。馬鹿かと思いましたわ

建築家さんももうちょっと勉強してほしいわ~

 

さて、前置きが長すぎました。ネタバレ少しあるかな。

主にジュリアンについて語ってます。無駄に長いのでお暇な方だけどうぞ

 

 

 

 

 

 

主人公ジュリアン。めちゃくちゃ面倒くさい奴でした

頭が切れて、プライドが高くて、上昇志向が強くて、思い込みが激しい。

こんな人時々いるよね、と考えてたんですが、ジュリアンって要するに「ガキ」なんだな、と思い当たりました。

 

東大京大に進学するのが当たり前、みたいな超進学校とかにたまにいますね、こういう頭でっかちな勘違い小僧が。

世界は自分を中心に廻っている、と小さい子どもの時は誰でも考えるものですけど

自分はいずれ日本や世界を動かす選ばれし人間なのだ、みたいな

自分がデキル人間だから、他人はバカでつまらない人間にしか見えない。

だから他人に感情があることなんか考えないし、踏み台にするのも当然で、何が悪いんだと思ってる

普通は大学に行って社会に出て、失恋したり挫折することで、世界は自分の思い通りにはならないことを学んでいくわけですが

ジュリアンのようにそのまま大人になったとしたら、遅かれ早かれ何らかの事件を引き起こして犯罪者になっただろうなと思います。

シェラン司祭(颯希有翔)や、ピラール神父(夏美よう)は、飛び抜けて優秀な可愛い弟子の、そんな危うさをわかっていて

心配していたのでしょうけど。

 

時代も悪かったですね。ナポレオン時代が終わって王政復古の時代。

貴族というだけで贅沢三昧、自堕落な毎日を送っているバカ貴族たちに我慢ならないのは当たり前

なまじナポレオンという超弩級の成り上がり者の時代を知っているだけに、それはイラッとするでしょう

もっとも貴族たちも、そんなジュリアンをいずれ時が来たら自分たちを倒しに来る側の人間だと見抜いてましたけど

もう少し7月革命が早く起きたら、処刑されずにすんだでしょうに。

 

レナール夫人とマチルドとの恋愛も、独りよがりな思い込みと勘違いから始まってますが、

大抵の恋愛はそんなものかもしれません

ただ態度は傲慢でも、実は人生経験も恋愛経験も誰よりも足りてないので、始まるとあっと言う間に

のめり込んでしまうのも、未熟な若者にはありがちなことかも

 

それでも小さな虫を捻り潰すみたいに、何の感情も無く人殺しをしてしまう青少年に比べたら、

たとえきっかけはどうあれ、人を愛することを知ることができたのはまだ救いかもしれません。

ただ未熟な人間だっただけと思えますから。でも相手は人妻ですからね、迷惑この上ないですよね

師である神父たちは、罪を犯したジュリアンに対して嘆いてはいるけど、怒ってはいないようですが。

 

それにしてもマチルドが貴族の、とっても高慢で気の強い令嬢だというのは知ってましたが、

あんなトンデモキャラだったとはビックリでした

マチルドも大概勘違いキャラですよね。ほんとにジュリアンを愛してるのか疑ってしまうレベル

300年前の尊敬する先祖の女性と自分を重ね合わせ、一人で盛り上がって酔っている(ようにしか見えない)のが凄い

子どもが子どもを産んでどうなるんでしょうね。大人になれるんでしょうか?

父ラ・モール侯爵も頭痛いわ

 

じゅりちゃん(天紫珠李)がマチルドを演ってましたけど、あんなに歌下手でしたっけ?歌えてなくて驚きました。

月組ってそこそこ歌える人に新公ヒロ演らせてるイメージだったので。

同じ歌えないんだったら、ゆーゆ(結愛かれん)で見たかったな

 

 

ジュリアンが、たまきち(珠城りょう)に合っていたかというと、かなり微妙な気がします。

そもそも美少年じゃないしどうみても“屈強の若者”でしょう。「若くて初々しい」に変えていたみたいですけど

幼さの残る美“少年”だからこそ、レナール氏も警戒しなかったわけでしょうし。たまきちの持ち味は大人ですからね

前述してますが、ジュリアンのキャラって思春期にありがちだと思うんですよね。

 

「春の雪」の清様に似てるかな。

でもあれも美少年だから許されますけど、いい年の大人のオッサンだったら、引いてしまいますよね

みりおちゃん(明日海りお)ファンには大人気の清様ですけど、実は私は嫌いだったんです面倒臭いから

同じ面倒臭いキャラの「カラマーゾフの兄弟」のミーチャは許せるんですが。何故ならバカだから

おバカだからしょーがないと思えるんです

でも清様は頭イイ人なので、許せなくて。が、ジュリアンを見ていて「そーだ、清様も思春期のガキじゃん」

って思ったら、やっと納得出来た気がします。何年かかってるんだよ

 

 

この公演、役が本当に少なくてハコのサイズが全然合ってませんね。バウホールサイズ、っていうの納得です。

トップ2番手、路線の男役が何人も出るような作品じゃないですね。

かなとくん(月城かなと)の役も大概ですけど、るね(夢奈瑠音)、れんくん(蓮つかさ)、ぱるくん(礼華はる)の無駄遣いで勿体なかったです

フィナーレは付いてましたけどね。

 

これ、バウでお芝居の上手い若手に演らせた方が合うのでは、と思います。

おだちん(風間柚乃)とか、あみちゃん(彩海せら)とか。

お芝居下手な子だと、歯が立たない難しい作品ですからね

コメント (2)
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