ここのところずっと、ネットでアメリカの大統領選のニュースや動画を見ていました。
私が興味深いと思ったのは、人々が自分の信じたいものだけを信じて、反対側の主張を悉く、嘘だ、フェイクだと断定していることです。両者ともです。
今回の選挙ではバイデン氏が勝ったようですが、トランプ陣営はまだ敗北を認めず最後まで戦うと息巻いています。
なぜなら、不正選挙だったから。
そして、トランプこそが、ウォール街に操られた政治、たった1%の金持ちが国を牛耳っている政治からアメリカを救うことができる、と信じているようです。
私の日本語の生徒にアメリカ人が3人いますが、いずれもバイデン氏が勝利してホッとしている、と話していました。
彼らは、トランプ陣営が主張していることと真逆のことを言っています。不正選挙なんてなかった。トランプこそがウォール街やロシアの操り人形である、と。
ここまで分断が進むと何が真実で何が嘘なのか、ということが全くわからなくなります。
一体どっちがホントやねん?
両者とも、自分が信じているものだけが真実で、他は嘘でありフェイクである、と考えている。白か黒か、0か100か、の考え方ですね。
でも、現実というのは白か黒かではなく、大体は中間のグレーゾーンにあるものです。
けれども、刷り込み(洗脳)によって(どちらの側も大なり小なり)冷静な判断ができなくなっているのではないでしょうか。
なぜ大統領選のことを書いたかといえば、私は長年、私の奇妙な両親について考えてきて、この「刷り込み」というのがとても大きいのではないかと思うに至ったからです。
「事実」というのは人によって、あるいは見方によって変わるものですが、「これだけが正しい」と刷り込まれると、他の見方ができなくなる、そういう脳の癖があるのではないか。つまり洗脳状態ですね。
両親は戦中世代で、「欲しがりません勝つまでは」の世代です。
我慢が大事、自分を大切にするのは身勝手、我ままは決して許されない、モノを大事に、捨てるのはもったいない・・そういう価値観を刷り込まれた世代です。
そうした価値観を持つ両親にとって、勝手に家を出て勝手に結婚して離婚した娘は、許容範囲を超えていたのでしょう。
刷り込まれた価値観こそが、すべての原因だったのかもしれません。
それに抗う手立ては二人とも持ち合わせていなかった。
だとすれば、両親の行動はわからなくもない(納得したわけではないけど)。
二人が親子の愛情をどのように捉えていたのかは今も謎ですが、両親は心の底では私のことを愛していたと私は思っています。
でも、離婚するような娘を人並みの人間として扱ってはいけない、そういう風に刷り込まれてきたので、あえて辛く当たったのかもしれません。世間体もあったし。
だとすると、両親こそが戦時中の洗脳の被害者である、と捉えることもできるかもしれません。子どもにとっては大迷惑なことですが。
人の命なんて、天下国家に比べたら些末なこと、というのが戦時中の考え方だったわけで、そこにどっぷり浸った人たちは、そこからなかなか抜けられなかったと思います。
父は最後まで「日本はアジアを解放しようとしたのだ。あの戦争には勝てたはずだ」といい続けていました。
カルトに近い思想だと思います。
(どこかトランプに重なります・・)
また、心理学的には「投影」といって、相手に自分の短所を映し出して、あたかも相手がその短所を持っているかのように考える、という心理にも近いかもしれない。両親は自分たちの不都合を娘である私に投影して、お前が悪い、すべてはお前のせいだ、と責任転嫁していたのかもしれません。
いずれにせよ、戦時中の大変な時代を生き抜いた両親のことを、悪しざまには言えないと思うようになりました。
何にせよ、彼らは必死で自分たちを守ろうとしていたのです。自己防衛の結果、娘や孫を傷つけることになるかもしれない、ということまでは思い及ばなかったのです。
それこそが戦中教育の「成果」であり「弊害」であるのでしょう。
思えば、団塊の世代にはこうした両親を持って苦しんでいる人たちが少なからずいるのではないでしょうか。なぜそうなのか、なぜ家族の間にこんなに葛藤があるのか、わけがわからない、と思っている人も多いでしょう。
ここに書いたのはほんの一端です。他にも様々な複雑な心理構造がある気がします。
そこで、私は今回、心理療法の一つ「NLP(神経言語プログラミング)」を学ぶことにしました。
NLPについてはまた日を改めて書きたいと思います。興味ある人はネットで調べてみてください。
ここまで書いてきて、私はようやく過去の闇から抜け出せそうな気がしてきました。
つまり、人生はモノじゃない。人間もモノじゃない。誰が何といおうと、自分を大切にしないといけない、と改めて思い、
そうだ、徹底的に片づけよう!
と決意を新たにしたのでした。
チャンチャーン!