今年のハリウッドのアカデミー賞で主演女優賞などを受賞した映画、
「哀れなるものたち」
を見ました。
歌曲賞のみの受賞だった「バービー」も見てみました。
やはり「哀れなるものたち」の方が圧倒的に面白い。
ただし、2本の映画には共通点もあります。
リアルとファンタジーの境界があいまいになり、双方が交わり交錯する世界、というのがそれです。
これって、もしかすると実際にアメリカで起きていることなのかもしれません。映画や文学作品はその時代が反映されるので。
バーチャル世界に代表されるような想像(妄想)の世界と現実との融合、同化、混在化。
ストーリーは両者ともシンプルです。女性の成長物語。
「バービー」の方は少々フェミニズム色が強く、これを言いたくて作ったのね、というのがあからさまでイマイチ面白くない。主要な賞を取れなかったのも仕方ないと思います。
一方「哀れなるものたち」はフランケンシュタイン映画です。
死んだ女性の脳味噌を入れ替えて生き返らせ、別人に仕立て上げる。赤ん坊の脳を入れられた女性は赤ん坊時代から成長しなおす。そして、成長と共に欠かせない性の問題がからんできます。
でも少々Too muchかなあ・・あからさまなセックス描写が多すぎてとても子どもには見せられない。
フランケンシュタインの物語といえば、以前ここでも紹介した、
「メアリーの総て」がとてもよかった(2019年10月2日の記事参照)。
「フランケンシュタイン」を世に生み出した作家メアリー・シェリーの物語です。
今回の「哀れなるものたち」も、マッドサイエンティストにより再創造されたベラという主人公(エマ・ストーン)の成長物語であり、なおかつ父子愛の物語、という感じかな。
映像が独特で、不気味で美しい。
でもね、観てから思ったのは、こういう発想ってやっぱり西欧の人間中心主義だなあということ。
人間のもつ想像力、創造力、技術を使えば、何だってコントロールできる、という思い上がった思想のこと。
そして、その思想の来歴もまた、人間ならではのもの。
マッドサイエンティストがなぜマッドサイエンティストになったかについても、今回は語られており、
映画「シャイン」を彷彿とさせます。
結局のところ、
愛なんだよ、愛。
というわけで、面白そうだと思ったら見てみてくださいまし。
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