時々発作的に押入れの中からスーツケースを取り出して、二泊三日分くらいの下着や着替え、歯ブラシや化粧品などを詰め込み始める、という奇癖が私にはあります。
行くあてもないのに、ほぼ無意識のうちに発作的にやっている。
私がいるのはここじゃない、どこかに行かなくちゃって突然思う。病気みたいなものです。
で、土曜日、とりあえず出かけていったのですが(スーツケースは持たずに)、すごく暑かったので、
立川のキノシネマで映画「探偵マーロウ」を見てきました。
リーアム・ニーソン主演で、レイモンド・チャンドラー原作のハードボイルドと聞いて期待したのだけど、残念ながら、イマイチでした。全然面白くない。
リーアム・ニーソン、やっぱ歳だよねえ。でも、私より若いってのが嘘だろと思うけど。
で、映画のあとは食事。大戸屋の外が見える席に陣取り、鶏と野菜の黒酢あん定食を食べながら、通りを行く人たちを眺める・・
ここで、私の妄想タイム。
ここは立川じゃなくて、遠く離れたどこかの街で、私が今夜泊まるのは見知らぬホテル。
一応予約は取ってあるけど、行くのは初めて。
ホテルまでちゃんとたどり着けるかしら。地図があったよね、地図地図、と。
そうそう、ここよ、ここ。
どんなホテルかしら。居心地はいいかな、窓の外の景色はどんなんだろう、そして、明日はどうしよう・・
と妄想に浸るのです。
すると、あら不思議、見慣れた立川の街が、見知らぬ異国の地に見えてきて、
行き交う人々も、全く違う様相を呈してくる。
明日は海にいこうか、それともショッピングにでも行こうかしら・・
ガイドブックを取り出して、明日の予定を考える・・
窓の外ではだんだん日が落ちてきて、風景の色も少しずつ変化し、
一人旅って自由でいいけど、やっぱりちょっと寂しいよね、誰か一緒だといいのにね、などと本気で思い始め・・
隣の席では若いカップルが漫画本を読んでいる・・
大戸屋で漫画本を読むカップルって、話しないんだろうか、などと思いつつ、
やがて、お腹もいっぱいになり、そろそろ妄想にも飽きてきたので、
鶏と野菜の黒酢あん定食940円也をレジで払い、
混雑する駅の人混みをかき分けながら、ここって一体どこだったっけと時折妄想モードに戻るも、
そうそう帰りにスーパーで納豆と豆乳買わなくちゃ、と現実感覚も取り戻しつつ、
間違えないで電車にも乗り、無事家に帰りついたのでした。
スーツケースのパッキングから始まって、映画の中で1939年にタイムスリップし、アメリカのLAに行き、ハードボイルドの世界に浸り、見知らぬ街でご飯も食べて、でも、行ったきりにはならずにちゃんと家まで戻ってきた。
とってもいい休日でした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます