越川芳明のカフェ・ノマド Cafe Nomad, Yoshiaki Koshikawa

世界と日本のボーダー文化

The Border Culture of the World and Japan

「世界政府(その1)」第五回目

2011年01月07日 | 翻訳
(訳注:ひきつづきエスチューリンの著書『ビルダーバーグ倶楽部』からの引用です)


第2章 完璧な洗脳マシーン――MTVの登場
 MTV(ミュージック・テレビション)、すなわち、ロバート・ピットマンによって十代の若者向けに製作され運営されているポピュラー音楽と音楽ビデオのマーケティング放送は、1981年8月1日に創設された。

 現在は、*ヴァイアコム帝国(CBSテレビ局として知られている)[巨大メディアグループ]の一部である。社会がそのまやかしに気づくことなく、若者の心に到達するためには、「対抗組織が社会の支配的な価値観と対立する価値観を説くこと」が必要である。

 MTVがおこなっているのは、まさにそのことである。

「だが、そうした努力が成果を生むためには、両親や学校の影響が中和されるか、少なくとも薄められる必要がある」と、L・ウルフは言う。

 「このMTVのモデルになったのは、ナチの支持者リシャルト・ワーグナーが上演してみせた劇場ショーだった。観客は恍惚状態になり、それをナチスは、たとえばニュルンベルクの会議のような、彼ら自身の象徴的な祝典を作りだすために意識的に用いたのだった」
 
 MTVを作った洗脳の専門家たちは、その効果を十二分に意識していた。

 MTVに関する著書『ロッキング・アランウンド・ザ・クロック』で、M・アン・カプランはこう述べる。

 「MTVはどのチャンネルよりも催眠効果がある。一連の短いテクストからなり、私たちを絶えず感情の高まりと期待の中に置いておくからだ。

(中略)私たちは、次のビデオがついに私たちを満足させてくれるだろうという妄想に囚われつづける。

 目の前の豊かさに魅了されて、私たちはそうした短いテクストを果てしなく消費しつづけるのだ」

 一つのミュージック・ビデオが映る四分間に(四分間が番組に含まれるメッセージを被験者が把握できる最大の長さであるとの決定を下したのは、タヴィストックの科学者たちである)「「対位法」の形式による人工的なリアリティが意識の中に挿入されて、それが認知リアリティに取って代わるのである・・・」

 ウォルター・リップマンはこう書いている。

「人々が番組のこうしたからくりを知りさえすれば、すべてが終わるはずだが、文盲で、精神薄弱で、ひどいノイローゼで、栄養失調で、いらだちを募らされた個人がかなりいるので、概して自分が信じている以上のことを信じるようになってしまうのである。

 そこで、こうした番組が精神的に子供か野蛮人同然の人々の手の届く範囲に置かれると、生活が混乱の極みであるために、彼らは非常に人気のある単純な内容に飛びついてしまう」

 『世論を具体化する』という著書の中で、エドワード・バーネイズ[広告・政治宣伝活動のパイオニア]はこう述べている。

 「平均的な市民は、世界で最も有能なセンサーである。おのれの精神が市民自身を諸事実から遠ざけさせる最大の障害物となる」

 洗脳を受けた視聴者は、自分には選択能力があるという幻想を抱く。

 ちょうどドラッグ中毒者が、薬によってコントロールされているのではなく、自分が中毒をコントロールできていると信じるように。