旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

旅の途中の酒場探訪 富山「囲炉裏 醸家」

2021-11-10 | 津々浦々酒場探訪

 高山本線の旅を終えて富山駅に降り立ちます。路面電車が北へ南へ走りなかなか活気のある駅前広場です。
呑み人は簡単には新幹線に乗り換えません。富山のきときとと地酒を味わうことなく帰るのは勿体ないでしょ。

あらかじめ地魚が食べられて越中の地酒が呑める店を数軒ピックアップしておいたから、電車通りを渡って
桜町を駅近から潰していきます。何しろ手元の指定券の “かがやき” までは1時間と少々しかないから。
幸い二軒目でカウンターに席を見つけて、早速っと生ビールを呷ります。独り「はんばきぬぎ」ですね。

“勝駒” は高岡の清都酒造場の酒、創業明治39年、前年に講和した日露戦争の戦勝を記念して命名したそうだ。
ラベルのロゴは芸術家 池田満寿夫氏の作品、呑み人の出身高校の先輩だから、単純に親しみが湧きます。
刺身盛り合わせは北の海らしく “甘エビ” と “ブリ” が登場、他に “くじら” と “ホタテ昆布〆” が美味しい。
やさしい香りとさらっとした飲み口の純米酒がきときとを引き立てますね。

奥深い富山湾で揚がる “ゲンゲ” は唐揚げでいただきます。新潟では幻魚(げんぎょ)と云ったかな。
柔らかくフワフワしたゼラチン質は、さっと揚げると絶品の酒肴になりますね。塩でいただきました。
二杯目の “羽根屋” は富山市内の富美菊酒造の酒、“純吟 煌火 生原酒” は優しい口当たりの酒、
富山の山海の幸に合わない訳ありませんね。
そして “呉羽梨豚肉巻き” が絶品、梨のみずみずしさそのままに甘辛く煮た豚肉で包んで美味しい。
これっワインにも合うだろうな。富山の西隣り呉羽町は梨の名産地って隣のカップルが教えてくれました。

そして〆は “氷見うどん” を。つるつるでコシのある手延べに大根おろし、万能ねぎ、刻み海苔を散らして、
喉越しが良くズズッと啜ると高山本線呑み鉄旅もお仕舞い。富山の美味い酒肴に巡り会って有終の美です。
っと時計を見るとすでに8時半、大きく予定をオーバーして1時間後の “はくたか” に飛び乗ります。
シートに身を沈めるとほろ酔いでぐっすり、ひとつの停車駅も覚えがなくてノンストップも同然なのです。

シルエットロマンス / 大橋純子 1981
     



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