今後の観測を、この謎を解くことに焦点を合わせる計画だ。研究陣は「この惑星は、外界惑星の大気分析を主要な科学任務とするジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にとっては素晴らしい観測候補だ」と・・

2023-08-01 13:43:14 | 科学最前線
 

木星より大きいが軽い「綿菓子」惑星…超低密度の秘密

登録:2023-07-31 20:28 修正:2023-08-01 09:07
 
大きさは木星の1.5倍…質量は14% 
単位面積当たりの密度、綿菓子と同じ
 
 
綿菓子のような低密度の天体が維持されるには、様々な条件が合致しなければならない。画像は綿菓子の形に惑星を形象化した想像図=コロラドボルダー大学提供//ハンギョレ新聞社

 地球から1232光年離れた宇宙空間で、綿菓子並みの密度の巨大ガス惑星が発見された。

 「WASP-193b」という名のこの惑星は、直径は木星の1.5倍だが、質量は木星の7分の1(約14%)に過ぎない。

 ベルギーのリエージュ大学が中心となった国際研究陣がこの惑星を分析した結果、密度が1立方センチ当たり0.059グラムで、綿菓子の密度に近いと推定されると、事前出版論文共有集「アーカイブ」に発表した。これは1立方センチ当たり5.51グラムである地球の密度の1%水準だ。太陽系最大のガス惑星である木星の密度は1.33グラム。

 いわゆる「綿菓子惑星」は、今回初めて発見されたわけではない。天文学者が初めて発見した綿菓子惑星は、2014年に確認されたケプラー51惑星系の3つの惑星だった。分析の結果、地球から2400光年離れたこれらの惑星の密度は1立方センチ当たり0.1グラム未満だった。公転周期が45~145日で、中心星と非常に近い距離にあるこれらの惑星は主に水素とヘリウムで構成されていると推定される。

 2019年に発見された212光年距離の乙女座の外惑星「WASP-107b」は、大きさは木星と同じくらいだが質量は木星の10分の1に過ぎない。この時まで天文学者たちは、木星と同じ大きさのガス惑星を形成する場合、惑星の核が地球の質量の10倍にならなければガスを縛ることはできないと考えていた。しかし、WASP‐107bの核は地球の質量の4倍にも満たないことが明らかになり、既存の仮説を修正しなければならなかった。

 今回発見されたWASP-193bは、WASP-107bの1.5倍の大きさだ。これまでに発見された中で最大の綿菓子惑星に属する。

 そのうえ、WASP-193bの中心星のWASP-193は様々な面で太陽と類似点が多い。何よりも質量が太陽の1.1倍、半径も太陽の1.2倍でほぼ同じだ。また表面温度は1000度、年齢は60億年で、太陽の表面温度1500度、年齢46億年と大差ない。

 
 
地球から1232光年離れた宇宙空間で綿菓子と似た密度の巨大ガス惑星が発見された=米航空宇宙局提供//ハンギョレ新聞社

既存の惑星進化モデルでは説明が難しい

 WASP-193bはどうやって毛玉のような綿菓子惑星になったのだろうか?

 まず、星に近いという点が一つの要因に挙げられる。WASP-193bは太陽系のどの惑星よりも中心星との距離が近い。星からわずか1000万キロの距離で6.25日を周期に星を公転する。星に近いと大気が加熱され膨らむ。特に大気が最も軽い元素である水素とヘリウムで構成されている場合にはなおさらだ。

 このような時期はそれほど長続きしない。星から噴出する熱と恒星風が惑星の大気を遠くに吹き飛ばすためだ。科学者たちは、このような状態はせいぜい数千万年しか続かないと見ている。

 ところが問題は、この星の年齢が最大60億年と推定される点だ。従来の惑星進化モデルでは説明が難しい。

 研究陣は今後の観測を、この謎を解くことに焦点を合わせる計画だ。研究陣は「この惑星は、外界惑星の大気分析を主要な科学任務とするジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡にとっては素晴らしい観測候補だ」として、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で一度観測すれば疑問を解決できるだろうと期待をみせた。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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特に金融機関が化石燃料事業への融資を中止すること、化石燃料企業がクリーン・エネルギーへ方向転換することを要求しました。

2023-07-29 14:34:15 | 科学最前線

「地球沸騰化の時代」

気候危機対策強化求める

国連総長が警告

 【ワシントン=島田峰隆】グテレス国連事務総長は27日、世界気象機関(WMO)などが今年7月が観測史上最も暑い月となるとの見通しを示したことについて、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と警告しました。各国政府や企業に対し、気候危機対策の強化を求めました。

 ニューヨークの国連本部で記者会見したグテレス氏は、欧米やアジアなどの大部分で観測されている猛暑について「過酷な夏になっている。地球全体にとって大惨事だ」と強調しました。

 グテレス氏は、産業革命前からの気温上昇を1・5度に抑える国際枠組み「パリ協定」の目標達成は「まだ可能だ」と指摘。「特に温室効果ガス排出の8割に責任を負っている20カ国・地域(G20)が気候危機対策と気候正義の実現へさらに力を入れねばならない」と強調しました。

 排出削減の面ではG20に新たな野心的な目標設定を要請しました。またすべての政府や企業に対して、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を進めるよう求めました。

 特に金融機関が化石燃料事業への融資を中止すること、化石燃料企業がクリーン・エネルギーへ方向転換することを要求しました。

 グテレス氏は、途上国を支援する「緑の気候基金」について、主要7カ国(G7)のうち追加拠出を表明したのはカナダとドイツだけだと懸念を示し、先進国に行動を促しました。

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「100年史は出来事の羅列だけではない」「同党はなかなか誤りを認めないとの批判を浴びるが、党史ではさまざまな誤り、歴史的制約もある中、自己改革を率直に書き込んでいる」

2023-07-27 22:05:07 | 科学最前線

『日本共産党の百年』 

現在の政治に直結する内容

スポーツ紙コラムで紹介

 党史『日本共産党の百年』が、メディアで話題です。日刊スポーツ26日付コラム「政界地獄耳」は、「共産党100年 存在の重み」との見出しを立て、「書き方は相変わらず難しいが率直な認識が込められている。その中には党外交、野党間の連携の歴史など現在の政治に直結するものも多い」と評価しています。

 コラムは、日本共産党の志位和夫委員長が25日の『百年』史発表記者会見で、100年の重み、歴史への貢献などを語ったことを紹介し、「確かに100年を迎える政党が世界に幾つあるだろうか」と強調しています。

 さらに、「100年史は出来事の羅列だけではない」「同党はなかなか誤りを認めないとの批判を浴びるが、党史ではさまざまな誤り、歴史的制約もある中、自己改革を率直に書き込んでいる」と指摘。『百年』史で、旧「優生保護法」に対する党の態度の問題について新たに「党の責任は『不作為』にとどまらず、旧『優生保護法』改定に賛成したことにありました」と叙述したことに触れ、「再度検証し是正している」と紹介しています。

 最後に、この間の日本維新の会の馬場伸幸代表の発言にも言及し、「党勢拡大の勢いで共産党を『日本からなくなったらいい政党』と言い放ったが、この歴史と存在を否定する権利はない」と批判しています。

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数千年前に銀河のある星が命を終えて爆発した際に出たガンマ線が、明日にでも地球に降り注ぐかも知れない(光の速度で来るため、事前には分からない)。

2022-10-29 11:03:06 | 科学最前線
 

宇宙最大の「天体爆発」が起きた

登録:2022-10-27 06:00 修正:2022-10-29 09:3
 
カン・ソッキ|科学コラムニスト
 
 
 ガンマ線バーストの際に星の自転軸から物質と光のほとんどが噴出される(左側)。9日にフェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡が観測したガンマ線バーストのイメージで、内部は光が極めて強く感度を超えた状態にある(右側)=NASA提供//ハンギョレ新聞社

 ウクライナ戦争が新たな局面に入り、守勢に追い込まれたロシアが核兵器をちらつかせているというニュースが報じられている。1945年8月、日本の広島(6日)に続き長崎(9日)に投下された原子爆弾が最後ではないこともありうると考えるだけでもぞっとする。ところで、最近、原子爆弾の威力とは比べものにならないほど巨大な大爆発が宇宙で起きた。地球から19億光年も離れた場所で星が爆発し、放出された光を観測して分析した結果だ。

 ガンマ線バーストと呼ばれるこの現象は、1967年に初めて観測された。当時は米ソ冷戦体制下で、米国はソ連が核実験禁止条約を適切に履行しているのかを監視するため、ガンマ線測定人工衛星ベラ(Vela)を打ち上げた。核実験の際に放出される放射線には、波長が極めて短くエネルギーが非常に強い光であるガンマ線が多く含まれるからだ。ところが、地球ではなく宇宙から来たガンマ線が観測され、天文学者の関心を引いた。

 それ以降、数十年の研究の末、ガンマ線バーストの実体が明らかになった。太陽より質量が数十倍大きい星が核融合反応を終えて自らの重力に勝てず収縮しブラックホールに変わる過程、または2つの中性子星が衝突する際に起きる爆発により、ガンマ線が大量に放出されるという。ガンマ線バーストのエネルギーは、太陽が一生(100億年)の核融合で出すエネルギーよりも大きい。

 9日に観測されたガンマ線バーストは、降り注ぐガンマ線があまりにも強く、ガンマ線を測定する望遠鏡のセンサーが飽和状態になるほどだった。露出過多で白くなり撮影した対象の形を調べられなくなったフィルムを連想すればよい。したがって、正確な分析はなされなかったが、これまでのガンマ線バーストのなかでは最大の爆発で、太陽が一生に出すエネルギーの1千~1万倍の水準だと推定された。このような爆発は、宇宙全体でも千年に一度起きるかどうかの規模だという。

 これまで1日に1件の割合で数千件のガンマ線バーストが観測されてきたが、すべて私たちの銀河の外で起きた。最も近いのは、2017年に観測されたガンマ線バーストで、1億3000万光年だった。もし、今回のガンマ線バーストが19億光年ではなく19万光年、すなわち銀河の間近で起きたとしたら、地球に降り注ぐガンマ線の強度は1億倍になるはずで(距離の2乗に反比例)、その衝撃は途方もないだろう。

 10万光年の広さのなかに約4000億の星を含んでいる銀河では、少なくとも100万年に一度はガンマ線バーストが起きるものとみられる。星が爆発する際に自転軸の方向に噴き出す光が地球に向かうケースはさらに珍しいが、それでも45億年の地球の歴史では何回も起きたはずだ。実際、4億4000万年前のオルドビス紀~シルル紀の大量絶滅が銀河で起きたガンマ線バーストによるものだとする仮説を唱えた論文が、2004年に出されたりもした。

 数千年前に銀河のある星が命を終えて爆発した際に出たガンマ線が、明日にでも地球に降り注ぐかも知れない(光の速度で来るため、事前には分からない)。そのような確率は極めて低いが、常に宇宙で起きている大爆発の影響で絶滅しうる運命にある人類が、自ら作った武器で先に自滅の道に進もうとしていることは、本当に残念な現実だ。

 
//ハンギョレ新聞社

カン・ソッキ|科学コラムニスト (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

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 彩層はコロナと同様に皆既日食の間のみ見ることができたが、可視光線から近赤外線に至る広範囲の波長で太陽を観測できるイノウエ望遠鏡のおかげで、普段でもこのような詳細な観測が可能になった。

2022-09-14 08:55:38 | 科学最前線

世界最大の太陽望遠鏡が映した黄金の「太陽の光景」

登録:2022-09-13 06:42 修正:2022-09-13 08:42
 
直径4.2メートルの世界最大の太陽望遠鏡 
ハワイのイノウエ望遠鏡、今年稼動開始 
太陽上層の大気と表面境界線の「彩層」を撮影 
蜂の巣や髪の毛の模様のプラズマなど、珍しい光景を撮る
 
 
髪の毛が揺れ動くような太陽の彩層のプラズマ噴出の様子=米国立太陽天文台(NSO)提供//ハンギョレ新聞社

 今年初めから本格的な観測活動に入ったハワイのダニエル・K・イノウエ太陽望遠鏡 (DKIST、以下「イノウエ望遠鏡」)が撮影した太陽の彩層の写真が公開された。

 ハワイ・マウイ島のハレアカラ火山(海抜3000メートル)頂上にある天文台に設置されたイノウエ望遠鏡は、直径4.2メートルの世界最大の太陽望遠鏡だ。

 彩層とは太陽の大気の下層部のことで、太陽の表面である光球と上層の大気であるコロナの境界線の役目を果たす。温度は光球より高く約1万度で、厚さは3000~5000キロメートルになる。

 彩層はコロナと同様に皆既日食の間のみ見ることができたが、可視光線から近赤外線に至る広範囲の波長で太陽を観測できるイノウエ望遠鏡のおかげで、普段でもこのような詳細な観測が可能になった。

 
 
太陽の彩層のハニカム形状。左下の地球と大きさを比較できる=国立太陽天文台(NSO)提供//ハンギョレ新聞社

 望遠鏡を運営している米国立太陽天文台(NSO)が観測初年度の終わりを控え公開した今回の写真は、6月3日に撮影したもの。

 写真の中にある櫛の歯または髪の毛の形の様柄(写真上)は、プラズマがハニカム(ミツバチの巣)状の穴(写真下)から出て上層の大気であるコロナに流れて行く様子だ。一つの蜂の巣サイズは平均1600キロメートルある。イノウエ望遠鏡は18キロメートルの解像度で太陽をのぞき見ることが可能だ。

 写真に収められた領域は8万2500キロメートルで、地球の直径の6.5倍にもなるが、太陽の直径に比べると6%(17分の1)に過ぎない。

 
 
太陽の上層の大気であるコロナ(左)と下層の大気である彩層(右)=UCAR科学教育センター提供//ハンギョレ新聞社

 米国立科学財団の天文科学プログラムの責任者デビッド・ボボルツ氏は「この望遠鏡は、ガリレオが1612年に望遠鏡で太陽を初めて観測してから収集されてきたすべての太陽観測データより、さらに多くの情報を今後5年のうちに収集することになるだろう」と述べた。

 財団はイノウエ望遠鏡の運営期間を太陽周期の4回分としている。1回の太陽周期は11年であるため、年数に直すと45年前後になる。

 
 
8月31日に開かれたイノウエ望遠鏡の落成式=米国立太陽天文台(NSO)提供//ハンギョレ新聞社

 米国立科学財団(NSF)の資金支援で設置したこの望遠鏡は、予備設計から完成まで25年かかった。「イノウエ」という名称は、望遠鏡が置かれたハワイ出身の上院議員の名前から取られた。

 イノウエ望遠鏡は、設置の過程でハワイの住民の激しい反対に直面したことがある。ハワイの人たちが伝統的に神聖とみなしてきたハレアカラ火山を損なうという理由からだ。

 ハワイのビッグアイランド(ハワイ島)の休火山マウナケアの海抜4000メートルの頂上に設置予定の30メートル望遠鏡(TMT)も、ハワイ原住民の反発に直面している。

クァク・ノピル先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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