すでに主要自動車市場である欧州、米国、中国などでは、政府と自動車メーカーが積極的にEVへの転換を先導している。これにより、2030~2035年はEV市場の激変期となることが予測される。

2021-12-30 10:42:58 | 温暖化現象が原因、脱炭素目指して

世界は電気自動車の闘技場…

トヨタも「9年後には販売量600倍に」(1)

登録:2021-12-29 03:38 修正:2021-12-30 08:39
 
自動車市場に押し寄せる電気自動車 
 
躊躇していたトヨタの変身宣言 
昨年6000台→2030年には年間350万台に 
「bZ」シリーズなど30種を発売 
レクサスも2035年には電気自動車のみ生産 
バッテリーなどに4兆円投資 
 
気候変動を前に電気自動車への転換は必須 
「電気自動車市場は爆発的な成長、主戦場になる」
 
 
トヨタの豊田章男社長は14日、東京お台場の展示場で開かれた記者会見で、EV未来戦略を発表した。トヨタは今後発売予定の16種の電気自動車の実物を公開した=トヨタのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

 「これでも電気自動車(EV)に積極的でないと言うのなら、どうすれば評価していただけるのか逆に聞きたいのです」

 今月14日、東京お台場のトヨタ自動車の展示場。今や薄れていきつつある日本の製造業の栄光を象徴する自動車メーカー、トヨタ自動車の豊田章男社長が自ら記者会見の場に立ち、同社の命運をかけた大胆な計画を発表した。わずか9年後の2030年には、昨年の実に600倍にものぼる年間350万台のEVを販売すると宣言したのだ。トヨタはこの目標を達成するため、小型・中型乗用車、SUV、スポーツカー、高級ブランドなど、様々な製品群において30種のEVを生産するという計画も同時に明らかにした。

 トヨタの昨年の決算報告書によると、過去1年間(2020年4月~2021年3月)に同社が販売したバッテリー電気自動車(BEV)はわずか6000台。これを350万台に引き上げるというのだが、この数値は世界首位を争うグローバル自動車メーカーたるトヨタの昨年の総販売台数(908万7000台)の39%にのぼる規模だ。

 豊田社長はこの日、オン・オフラインで行われた説明会で、今後発売予定の16種のEVの実物を公開し、計画達成に自信を示した。トヨタが最も力を入れているモデルは、来年の発売を待つEV「bZ(beyond ZERO)」シリーズだ。今年4月に中国の上海モーターショーで初公開された量産型モデル「bZ4X」だけでなく、小型、スポーツカーなどの様々なカラーとデザインの車が展示された。業界は、トヨタはEVに対する意志を示すために「確実な物証」を公開したとの反応を示した。

 豊田社長もこれを認識したかのように「bZ4X」を指し示しつつ「(愛知県にある)トヨタ元町工場は生産準備の真っ最中だ。皆さまのもとに間もなく届けられるだろう」と述べた。この「bZ4X」がいかなる成果を収めるかによって、EVに対する挑戦の成否が決まる見通しだ。トヨタはさらに、高級ブランド「レクサス」について、2030年には米国、欧州、中国などの中心市場で、2035年には世界のすべての市場で電気自動車へと転換することを明らかにした。それに向けて電気自動車の研究・開発に4兆円を注ぎ込み、このうち2兆円は電気自動車の核心であるバッテリーに投資する方針だ。豊田社長は「あらゆる人の幸せな暮らしのために、我々はできるだけ多く、可能なら直ちに、二酸化炭素を減らさなければならない。トヨタは実現に向け全力を尽くす」と述べた。

 しかし、これまでトヨタは「EVへの移行」に積極的だったわけではない。豊田社長は、脱炭素の代案としてEVが過度に注目されることについて「(我々が減らすべき)敵は炭素であって、内燃機関ではない」と述べ、たびたび不快感を表してきた。実際にトヨタは、内燃機関であるエンジンと電気モーターを共に使用するハイブリッド(HEV)車の「プリウス」を発売し、大きな成功を収めた。トヨタは昨年、ハイブリッド車(208万7000台)と、これに充電機能を搭載してEVに近づけたプラグインハイブリッド車(PHEV、5万9000台)を合わせて200万台以上を売っている。

 トヨタで変化が始まったのは5月だった。トヨタは5月に、2030年までにEVと燃料電池車(水素自動車)を合わせて年間200万台販売するとの計画を発表した。さらに4カ月後の9月には、EVなどに使われるバッテリーの生産・開発に、2030年までに1兆5000億円を投資すると発表。豊田社長は14日の記者会見で、7カ月前に発表したEV販売目標を大幅に引き上げ、3カ月前に明らかにしたバッテリーへの投資額を5000億円増額した。

 トヨタがこうした決断を下したのは、EVへの移行はもはや「選択」の問題ではないと判断したためとみられる。すでに主要自動車市場である欧州、米国、中国などでは、政府と自動車メーカーが積極的にEVへの転換を先導している。これにより、2030~2035年はEV市場の激変期となることが予測される。(つづく)

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

 

世界は電気自動車の闘技場…

トヨタも「9年後には販売量600倍に」(2)

登録:2021-12-29 03:38 修正:2021-12-30 08:39
 
 
トヨタの豊田章男社長は14日、東京お台場の展示場で開かれた記者会見で、EV未来戦略を発表した。トヨタは今後発売予定の16種の電気自動車の実物を公開した=トヨタのウェブサイトより//ハンギョレ新聞社

(1のつづき)

 グローバルな気候変動問題に積極的に対応している欧州連合(EU)は7月、2035年から新規の内燃機関車の販売を全面禁止すると発表した。禁止される車にはハイブリッド車も含まれる。2050年の炭素排出ゼロを目標とするEUは、世界の温室効果ガス排出量の16%(グリーンピースによる統計)を占める輸送部門の改善が切実に求められるとみている。これまでの「内燃機関の新車禁止」宣言はノルウェー、オランダなどの一国単位だったが、これをEUレベルに拡大したのだ。

 米国も、電気自動車(EV)への転換に向けた政策を相次いで発表している。米国のジョー・バイデン大統領は8月、「自動車産業の未来はEVだ。引き返すことはできない」と述べ、2030年に米国で販売される新車の半分をEVなどのエコカーが占めるよう支援するための行政命令に署名した。バイデン大統領は今月8日にも、2035年までに連邦政府が使用する車両を100%EVへと転換し、2050年には政府レベルの温室効果ガス排出をゼロ化するカーボンニュートラル(炭素中立)を達成すると発表している。13日には、EV普及に向けてEVの充電所を50万カ所設置することを決めている。

 中国も10月に、2035年までに内燃機関車の生産を中止するという計画を発表している。今後はEVを50%、プラグインハイブリッドを50%生産し、ガソリンエンジン車両は退出させる方針だ。韓国政府も今年8月に発表した「2050カーボンニュートラル実現の3つのシナリオ」で、2050年にはEVや水素自動車などの炭素排出ゼロ車両の割合を76~97%にするという目標値を明らかにしている。しかし欧州、米国、中国などとは異なり、2030年代に達成すべき具体的な数値目標は提示できていない。

 先月13日に閉幕した国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)でも、「無公害車転換宣言」がなされた。米国、中国、EU、日本は2035年までに、その他の国の市場は2040年までに、新車販売は電気自動車などの100%無公害車とするよう努力することを内容とする。自動車メーカーの中ではフォード、ゼネラルモーターズ(GM)、ボルボ、メルセデス・ベンツなどの6社が宣言に賛同している。トヨタ、フォルクスワーゲン、現代などの主要メーカーが抜けているものの、トヨタの変身宣言からも分かるように、「EVへの転換」という流れを止めるのは難しい状況となっている。

 実際に、宣言に署名したボルボ(スウェーデン)は、2024年までに世界市場での販売の50%をEV、残りの50%をハイブリッド車とする予定だ。2030年からはEVのみを販売する。米国最大の完成車メーカーであるGMも、2035年から内燃機関車の販売を中止するとの目標を掲げている。GMのメアリー・バーラCEO(最高経営責任者)は10月の番組のインタビューで「2025年までに少なくとも30種のEVを発売する予定だ。その時までには必ずテスラに追いつけるだろう」と述べた。

 このほか、フォルクスワーゲン(ドイツ)は、2029年までに79種のEVを発売し、2030年には新車の半分をEVとする。ホンダ(日本)も2040年からはEVと水素自動車のみを販売する計画だ。現代自動車は2026年のEVの販売目標を、従来の100万台から170万台へと引き上げた。2035年以降、欧州ではEVと水素自動車のみを販売し、2040年までに順次その他の主要市場へと広げていくという戦略だ。市場調査会社マークラインズの資料によると、昨年のEV販売台数は、首位のテスラ(米国)が45万8385台で2位以下を圧倒。ウーリン(中国、13万1517台)、BYD(中国、13万970台)、フォルクスワーゲン(12万8046台)、ルノー(フランス、11万1429台)、現代(8万553台)などが続く。内燃機関車より市場参入の敷居が低いため、新生企業の躍進が目立つ。

 もちろん、EVの普及拡大のためには充電インフラの拡大、サプライチェーン(供給網)の安定化、バッテリー開発、補助金なしでも購入しうる適度な価格など、解決すべき課題が山積している。しかし「脱炭素」という大義のために100年以上続いてきた内燃機関車の時代を強制的に終わらせ、EVの時代に足を踏み入れるという時代の流れを止めることは難しそうだ。「日本経済新聞」は「EV市場は爆発的に成長するだろう」とし「世界の自動車メーカーの間でEVが電動車の主戦場との見方が強まっている」と指摘している。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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参加者らは、京都市役所前(中京区)から円山公園(東山区)までデモ行進し、「再エネ伸ばして環境守れ」「時間がないぞ」と唱和しアピールしました。

2021-11-08 10:05:13 | 温暖化現象が原因、脱炭素目指して

気候危機打開へ市民行進

時間ない 今すぐ行動

京都

写真

(写真)京都市役所前からデモ行進を出発する参加者ら=7日、京都市中京区

 開催中のCOP26に呼応し、「気温上昇を産業革命前の1・5度未満に抑えるため、石炭火力発電所の全廃、脱原発、再生可能エネルギーを飛躍的に増やすための政治決断と行動を、日本政府に強く求めよう」と7日、京都で行動する市民24人が呼びかけた集会とデモが京都市内で行われ、約80人が参加しました。

 参加者らは、京都市役所前(中京区)から円山公園(東山区)までデモ行進し、「再エネ伸ばして環境守れ」「時間がないぞ」と唱和しアピールしました。

 京都市役所前の集会では市民が次々スピーチ。会社員(23)は「福岡で豪雨災害を経験し、少し運が悪ければ命を落としていた。気候危機は直面している危機。今すぐ行動しないと取り返しがつかない」。兵庫県から駆け付けた学生(20)は「今の政権には期待できない。市民がモノを言い、野党の尻をたたかないといけない」と訴えました。

 呼びかけ人で京都循環経済研究所の原強代表は「COP26での日本や首脳国の発言は厳しいが、『1・5度未満』が国際的議論のベースになっていることは前進だ。希望をもって、京都の市民の思いを伝えていこう」と呼びかけました。

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常態化したこの災厄は、化石燃料に依存したエネルギー消費による温室ガス排出がもたらした地球温暖化によるものだ。

2021-08-30 13:42:07 | 温暖化現象が原因、脱炭素目指して

日常になった「極端な気候現象」、危機の東アジア

登録:2021-08-30 02:50 修正:2021-08-30 10:21
 
[ハンギョレS]ホン・ミョンギョの異床同夢 
韓中日の気候危機 
 
中国河南省の豪雨、日本の大洪水 
極端な気候危機、自然なのか
 
 
「極端な気候現象」は日常になりつつある。先月20日、中国の鄭州に豪雨が降り注ぐ中、市民が水につかった街を歩いている/AP・聯合ニュース

 7月17日、中国「環球時報」の編集長で愛国主義評論家の胡錫進は、5日前の12日からドイツ西部やベルギー、フランスなどで発生していた洪水が災害的状況をもたらしたことを指し、「西側の統治水準と(西欧式の)ヒューマニズムの破産を示す」と述べた。そして中国が成し遂げた高速鉄道と都市建設を激賞した。220人あまりの命を奪った災害に対する言葉としては不作法だ。数カ月前、中国共産党政法委員会の公式アカウントが「中国点火対インド点火」というタイトルをつけ、コロナウイルスに苦しむインドの状況を嘲笑する文章を掲載したことについて、同氏は「官房機関の公式アカウントは人道主義の大きな旗を掲げ、道徳的優位に立たなければならない」と批判していた。自ら自分の発言を覆したのだ。

___________
「自然災害」を強調する政府

 そのころ、河南省の鄭州一帯には大雨が降り注いでいた。7月19日午後9時59分、鄭州市気象局は「今後3時間の累積降水量は100ミリを超える恐れがある」との緊急ショートメッセージを発し、翌日には4回にわたって豪雨赤色注意報を発令した。「河南省気象災害防備条例」によると、当局は作業中止、授業中止、交通規制などの緊急措置を取らなければならないのだが、市民は大雨の中で出勤しなければならなかった。中国中央気象台によると、同日午後4~5時の鄭州の降水量は201.9ミリで、平年の7月の総降水量より多く、1975年8月の大洪水の記録すら塗り替えた。

 河南省だけで302人が死亡し、50人が行方不明になった。150の都市、1663の村で1453万1600人の市民が被害を受けた。胡錫進が礼賛していた都市設計と高速鉄道は「極端な気候現象」によって破壊された。

 この未曾有の洪水はなぜ起きたのか。専門家は気候変動を指摘する。北太平洋高気圧の中心が朝鮮半島の東海(トンへ)上に位置したことで、台風インファが北上しなかったうえ、偏東風を通じて中国内陸に影響を及ぼした。台風は亜熱帯高気圧とともに大量の水蒸気を海から陸地へと送り込んだが、この大気が北から南下して来た冷たく乾燥した空気と太行山脈に阻まれ、上層への収斂現象が起こった。巨大な水蒸気が一つの地域に集中したため、自然に降雨範囲と強度の集中を引き起こしたのだ。これは、最近の朝鮮半島での集中豪雨の増加や、欧州の大洪水の原因とも通じる。同じ頃、日本全域でも記録的な洪水が発生し、数十万人の被災者が発生している。日本政府は洪水発生が2~4倍になると予測している。

 相次ぐ洪水について、中国政府は「自然災害」であることを強調する。災害に対する責任を免れようとしているようだ。インターネット上では、胡錫進のような右翼ポピュリストたちがこれを支えている。彼らは災害の不可避性を強調しつつ、河南と欧州の洪水は異なる性格を帯びていると主張することにエネルギーを注ぐ。政府の災害対応のまずさを批判する見解が登場すれば激しく反論するという風にだ。気候危機という本質ではなく、中国と西欧のどちらが優れているかを問うことのみに関心があるかのようだ。

 「極端な気候現象」は私たちの日常となりつつある。鄭州が大雨につかっていた7月22日、世界気象機関(WMO)のペテリ・ターラス事務局長は「人間が引き起こした地球温暖化により、世界的に降水量が増加している」と述べた。その半月後には、ギリシャとトルコの猛暑と火災、シベリアの山火事、ドイツや中国の暴雨を例に挙げ、「気候変動の過酷な現実がすぐ目の前でリアルタイムで繰り広げられている」と警告した。

 7月14日にグリーンピース・東アジアが発表した報告書「中国の主要都市の気候変動のリスク評価および未来状況予測」によると、過去60年の間に極端な降水量(豪雨日数と暴雨過程の頻繁な発生)は高い増加傾向を示す。ここ数年の中国では、短期間のうちに基準値を超える豪雨が頻繁に発生している。特にこのような災害は、予算が足りずインフラ構築が遅れている中小都市、高齢者や児童、貧困層などの脆弱階層にとって、より大きな危険となっている。

夏場に降水が集中する韓中日3国 
国家間、階級間の不平等が深刻化する危険性

___________
見物してばかりはいられない理由

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、産業化前と比べた2100年の地表面の上昇温度を1.5度以下に抑えなければ、気候変動のリスクは防止できないと警告してきた。常態化したこの災厄は、化石燃料に依存したエネルギー消費による温室ガス排出がもたらした地球温暖化によるものだ。8月6日に閉幕したIPCC総会が承認した報告書によると、人類が現水準の温室効果ガスの排出量を維持した場合は、2021~2040年に地球の気温の上昇幅は1.5度を超える。2018年の特別報告書より10年以上前倒しされているのだ。極端な気候現象は極限の気温、海水面の上昇、頻繁な集中豪雨というかたちで、さらに強く頻繁に起きる見通しだ。

 国立気象科学院が国の気候変動標準シナリオをもとに行った研究(「SSPシナリオに沿った東アジアの極限現象の将来展望」)によると、東アジア、特に中国南部と朝鮮半島、日本で「極限気温の強さに関する指数はすべてのシナリオで増加傾向」を示した。このため「将来、猛暑のような極限高温現象がより強く、頻繁に発生するだろう」と予想される。

 東アジアはモンスーンシステムの影響で夏場に降水が集中する地域だ。極限降水の変化は洪水と干ばつの発生と密接に関わっているため、水資源と食糧の問題に様々な悪影響が及ばざるを得ない。にもかかわらず各国の政府や資本は、このような警告に耳を貸さない。中国は炭素排出量において圧倒的な1位であり、日本は5位、韓国も9位を記録している。もちろん、これは韓国の方が中国や日本よりもましだということを意味しない。1人当たりの排出量を基準にすれば、韓国は米国とカナダに次ぐ気候悪者国だ。いま現在も韓中日3カ国の政府は石炭火力発電所を増やしており、韓国電力はインドネシアとベトナムの石炭火力発電所に投資している。しかも先日「2050カーボンニュートラル委員会」が提示したシナリオは、具体性も意志も欠けている。政府のやることを見物してばかりはいられない理由がここにある。

 海の向こうの洪水を見守る私たちの態度も変わらなければならない。河南と日本の洪水災害は、韓国の優越性を証明する例ではない。私たちに降りかかりうる未来だ。ディストピアにおいても金持ちは利潤率を心配しながら災厄を眺めるだろうが、平凡な人たちはそうではない。私たち自身の未来が破壊されつつあるのに、なぜ国境の向こうと比べてどちらがより劣るのかの究明に没頭しなければならないのか。気候危機は一国の対応では解決できず、各国政府の賢明な対応を期待することも難しい。災害対応力が異なるため、国家間、階級間の不平等が深刻化する危険性も抱えている。むしろ私たちに必要なのは、東アジアの市民たちが共闘する気候ストライキではないだろうか。崖っぷちへとつっ走る汽車は、私たちが止めなければならない。

ホン・ミョンギョ|東アジア研究活動家 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

「プラットフォームC」活動家。東アジアの話を書きます。サブタイトルには、各社会の違いを理解し同じ夢を志向しよう(異床同夢)という意味が込められています。理想を抱いた東アジアの夢(理想東夢。韓国語の発音は異床同夢と同じ)という意味も込めています。

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二つの空気が接する地点に停滞前線が形成されているが、韓国の北側に位置する気圧能がブロックの役割を果たし、当分このような気圧が韓国周辺で支配的になるとみられる」と明らかにした。

2021-08-21 06:41:19 | 温暖化現象が原因、脱炭素目指して

日本・中国を襲った「秋の梅雨」、来週には韓国に影響

登録:2021-08-20 09:18 修正:2021-08-20 11:41
 
14日未明、中国南部に500ミリ 
九州はここ1週間で1000ミリ 
低気圧と停滞前線の二つにより豪雨 
同様の気圧が韓国で形成 
「来週いっぱいは雨、強度は流動的」
 
 
今月12日、中国湖北省随州市の洪水被害地域で救命胴衣を着た武装警察官が住民をボートに乗せて救助している(左)。14日、大雨で浸水した福岡県西部の久留米通りで消防隊員が孤立した住民たちをボートに乗せて避難させている(右)/聯合ニュース

 日本と中国南部を襲った「秋の梅雨」が、今週末から来週いっぱいは韓国にも影響を与えるものとみられる。雨がどれほど激しく、また多く降るかは気圧の変動によって変わる可能性があり、関心と注意が必要だ。

 気象庁のウ・ジンギュ予報分析官は19日、定例の予報ブリーフィングで「韓国の東側には北太平洋高気圧が位置し、熱く湿った空気を北側に押し上げ、西側ではチベット高気圧が冷たく乾燥した空気を南側に引き下ろしている。二つの空気が接する地点に停滞前線が形成されているが、韓国の北側に位置する気圧能がブロックの役割を果たし、当分このような気圧が韓国周辺で支配的になるとみられる」と明らかにした。

 日本の場合、南の北太平洋高気圧と北のオホーツク海高気圧がぶつかって生じた停滞前線の影響で、今月11~17日の1週間、九州地方を中心に1000ミリを超える大雨が降った。また、中国ではチベット高気圧と北太平洋高気圧の間に形成された停滞前線が一つの地域に長くとどまって豪雨を降らせた。湖北省随州市では12日、午前4~7時の3時間で373.3ミリが降るなど、500ミリを超える雨で大きな水害が発生した。

 ウ・ジンギュ予報分析官は「中国と日本の降水パターンが韓国に集まってきている状況。南では停滞前線が北上し韓国の済州と南部に影響を与え、北では乾燥した空気が強く南下し山東半島で中規模の低気圧が発達し、中部地方を中心に影響を与えるものと予想される」と説明した。

 
 
大雨警報が出されゲリラ集中豪雨が降った今月18日未明、江原道江陵市で若者たちが浸水した車を押している/聯合ニュース

________________
19~20日、東海岸に大雨、各地で夕立

 19日から20日までは、北側から下ってくる乾燥した冷たい空気による大気の不安定により全国各地でにわか雨が強く降るところがあると気象庁は予想した。19日には京畿道南部と忠清道南部地方、済州道に5~60ミリ、ソウル、江原道嶺西(ヨンソ)南部に5~20ミリのにわか雨が降り、20日には東海岸を除く中部地方と全羅北道東部、慶尚道内陸に5~50ミリのにわか雨が予想される。

 また、江原道嶺東(ヨンドン)と嶺南(ヨンナム)の海岸には東風の影響で19日から20日にかけて大雨が降ると予報された。気象庁は「江原道の嶺東中南部や慶尚北道北部の東海岸、慶尚北道の北東山地などに、19日昼から雷を伴った時間当たり50ミリ以上の非常に強い雨が降る」と発表した。20日未明まで、江原道嶺東中南部と慶尚北道北部の東海岸、慶尚北道の北東山地には50~100ミリ(多い所で150ミリ以上)、江原道嶺東北部、慶尚北道の東海岸では30~80ミリ、慶尚道の南海岸と鬱陵島・独島では10~60ミリの雨が予想されている。

________________
21日から来週末まで「秋の梅雨」

 21日からは、中国の山東半島南方に北東進する低気圧の影響で、早朝に済州と南海岸で始まった雨が昼には全国の大半の地域に拡大するものとみられる。この雨は中部と全羅北道では22日まで続くが、南部地方は来週いっぱい雨が降ると気象庁は予報した。

 低気圧の影響で雨が降る中部地方と全羅北道は、低気圧が抜けると小康状態を見せ、次の低気圧が近づくと再び雨が降るパターンが繰り返されるものと予想される。しかし、停滞前線の影響を受ける済州と南部地方は、1週間ずっと雨が降り続くと気象庁は見ている。

 ウ・ジンギュ予報分析官は、「低気圧性の降水と停滞前線上の低気圧の渦による降水が重なる可能性のある忠清道と全羅北道地域は、変動性が非常に大きい。予報モデルの予測にも大きな差がある上、低気圧がどこを通過するか分からないため、現在としては豪雨が集中する地域を特定するのは難しい」と説明した。ウ分析官は「現在の気圧パターンから見ると、危険な気象が発達する可能性が高い。予報の時点が1~2日の短期で入ってくればより正確な情報を提供できるため、来週には随時気象情報を確認する必要がある」と付け加えた。

 気象庁は、しばらくは雨が降ったり曇ったりで昼の気温は30度を超えず、朝夕は涼しい天気が続くものと予想している。

イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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空想映画でしか見られない氷河のない地球が現実化するのではないかと心配される。

2021-07-18 16:32:16 | 温暖化現象が原因、脱炭素目指して
 

猛暑、台風、豪雨の「トリプル異常気象」…今後は毎夏やって来る

登録:2021-07-17 03:04 修正:2021-07-17 08:24
 
これまで経験したことのないこの暑さ、程度が異なるだけで、すでに経験 
「一方ではヒートドーム、もう一方では集中豪雨」など、今後は日常化 
朝鮮半島でこの100年間、階段式の「気温上昇」持続…「カーボンニュートラルは必然」
 
 
梅雨の影響で集中豪雨に襲われた3日、三陟市の臨院港の一部が浸水した=三陟市提供//ハンギョレ新聞社

 数万年前の氷河期は、46億年の地球の歴史上、最も寒かった時期に属するという。人類が地球の支配者となった今はその時代よりずっと暖かいが、それでも寒い時期に属するというのは同じだ。2021年6月からロシアのモスクワでは摂氏30度を超える高温が、カナダ西部のブリティッシュコロンビアでは摂氏50度近い猛暑が続き、まるで地球に火がついたように水銀柱が上がっているが、いったいどうなっているのかと問う人がいることだろう。真夏でもエアコンをつけずに暮らせる地域で熱の爆弾が爆発したのだから、そのような疑問がわいてもおかしくはない。しかし、気象観測データは嘘をつかない。

気象観測データは嘘をつかない

 産業革命後、二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中に多く排出され、その結果、温暖化が進んでいる。地球温暖化は、従来とは異なるかたちの緯度間のエネルギー不均衡を生むため、大気における熱の流れのあり方と強さを変え、必然的に気候変動を引き起こす。川に積もった大きな石の塊によって水流やそ速さが変わり、水流の弱まった所に砂や土が積もって流れをさらに遅くするように、温室効果ガスが増加することで、地球大気にも同じ現象が引き起こされる。大気の流れが弱まった地域では、現在の北米の西の地域で見られるように、ブロッキング(大気の停滞)による「ヒートドーム現象」が引き起こされる。ブロッキングの一方では、集中豪雨が引き起こされたり、台風が強く発達したりする可能性がある。

 ここ数年の韓国の夏の気候を思い出してみよう。2018年には大気の停滞によりヒートドーム現象が起きた。夏の平均気温、猛暑の日数、熱帯夜の日数は1994年の記録を更新し、過去最高となった。夏に涼しい場所として知られる江原道洪川(ホンチョン)の気温は41度に達した。2019年には1904年の気象観測開始以来もっとも多い7つの台風が韓国に影響を及ぼした。多くの場合、韓国に接近する台風は5つ、上陸するのは2つであることを考えると異例の多さだった。

 2020年の梅雨は8月15日に終わり、史上最も遅い梅雨明けと記録される。気候的に梅雨が明ける時期である7月25日頃に始まった集中豪雨は、梅雨が明けるまでの約20日間、全国に水爆弾をもたらした。蟾津江(ソムジンガン)が氾濫し、全羅南道求礼(クレ)が水に浸かり、隣の慶尚南道河東(ハドン)でも似たような洪水が発生した。

 しかし、この災害は異常気象だけでなく、管理ミスという要因も大きく作用したようだ。2020年の夏に見られた集中豪雨のあり方が例年と大きく変わっているわけではないからだ。韓国の梅雨の降水分布を時間ごとに見てみると、早朝と夕方に集中するようだ。午前にのみ雨が集中する年がある一方、午前と午後の両方で雨が集中する年もある。洪水被害の大半は、午前と午後に集中豪雨が発生する年に引き起こされる。2020年がまさにそのようなケースだった。単に降水量が多く、地方自治体と治水担当機関による効率的な水管理が行われなかったため、被害が大きくなったのだ。

 
 
ソウルの夏の気温。青の実線は観測データ。オレンジの点線は気候モデルによる予測(縦軸:温度、横軸:年度)//ハンギョレ新聞社

2100年の地球の平均温度は18度?

 2018年の夏の暑さは、大気の停滞や北太平洋高気圧の張り出しなどの面で1994年と似ていた。台風の多数上陸も、1959年と1991年にすでに経験している。このようにこの3年間に起きた夏の異常気象は厳しかったものの、かつてなかったことが起きていたわけではない。猛暑、台風、そして集中豪雨が連続して発生したため特異に感じられるのだ。

 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が1988年に設立した「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、過去30年あまりの間に気候変動に関する報告書を5回出版している。これらの報告書で大気科学者たちは一貫して、温室効果ガスを大きく減らさなければ、今世紀中に深刻な地球温暖化が引き起こされ、人類の生存に致命的な影響を及ぼす気候変動は避けられなくなると警告している。米国のスミソニアン博物館に記録されている最近5億年の地球の気温の変化を示すデータによると、北極と南極の氷河の存在の有無の基準点となる温度は摂氏18度ほど。現在の地球の平均気温は15度だから、まだ3度の余裕があるわけだ。しかし、子孫が生きるべき2100年の気温は? 今の趨勢が続いて気温が高まれば18度に達すると予想される。空想映画でしか見られない氷河のない地球が現実化するのではないかと心配される。

 韓国で旧韓末から観測されている気象データを眺めていると、面白い現象が発見できる。夏と冬の気温が線形的には高まっておらず、階段を上るように急に高まり、その状態がしばらく続くのだ(図参照)。季節や地域によって差はあるが、ここ100年あまりの間に1段または2段の階段を上がってきたようだ。階段を上がるたびに、以前の時期には高いとされていた気温が平均となった。そのため階段を2段上がると、最高気温が平均となった。IPCCの気候モデル展望によると、今から20年後の2040年頃にはソウルの気温が一段上がるという。2018年に経験した夏の蒸し暑さが日常化するのだ。

 地球温暖化とこれに伴う気候変動を防ぐ方法はあるのだろうか。このところ政府が野心的に推進している2050年のカーボンニュートラル達成、すなわち炭素排出ゼロを実現すれば可能なのではないか?米国や中国などの温室効果ガス排出の主要国もカーボンニュートラルプログラムに積極的に参加し、現実化すれば可能なのではないか? 全国民の希望に冷水を浴びせる話だが、それでも気候変動は止まらない。現在、大気中に排出されている二酸化炭素が2100年以降も大気中に残るからだ。さらに衝撃的なことは、世界で最も強い偏西風帯にある韓国には気候変動の影響が強く現れるとの見通しだ。

最善は、うまく予測して被害を最小化すること

 産業革命当時、大気中の二酸化炭素量は280ppmv(空気を構成する分子100万個当たりの二酸化炭素分子の個数が280個)だった。現在は420ppmvで、この250年で50%も増加している。化石燃料の使用を大きく減らさない限り、二酸化炭素は毎年1%ずつ増加し、2050年には550ppmvを超えるだろう。2050年にカーボンニュートラルを達成しても、これまでに積もり、今後の約30年間でさらに積もる温室効果ガスの影響で、気候変動は必然的に起こらざるを得ない。

 では、私たちには何ができるのだろうか。夏になると繰り返される猛暑と台風、そして集中豪雨の発生をうまく予測し、その被害を最小限に抑えるために備えることが最善ではないかと思う。

ホ・チャンフェ|ソウル大学地球環境科学部教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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