自らの核軍拡を正当化しました。核兵器廃絶に向けた国際的流れに背を向けたものでした。

2019-02-07 15:24:38 | 一般教書演説:国際的な課題寂しい
米大統領一般教書
いっそうの軍拡と分断の恐れ


 米東部時間5日夜(日本時間6日午前)に実施されたトランプ米大統領の一般教書演説は、これまで主張してきたメキシコとの間の壁建設を要求し、米社会に分断と混乱をもたらす要因となってきた課題に固執する姿勢をみせました。国際問題では、米朝首脳会談の開催日程を示したものの、イラン核合意からの離脱を正当化し、多国間協力に背を向けて軍拡を進める従来の路線を表明しました。
核兵器廃絶に背向ける

 トランプ政権は、この演説直前に、中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を正式発表しました。この日の演説では、「米国が条約を順守したが、ロシアがたびたび破った」との離脱理由に触れるのみで、自らの核軍拡を正当化しました。核兵器廃絶に向けた国際的流れに背を向けたものでした。

 演説で目立ったのは、露骨なイスラエル擁護です。国際社会から強い非難を浴びたイスラエルの占領地を含むエルサレムへの米大使館移転については「数十年にわたって進展しなかった信用に値しない理論ではなく、現実主義をもとにした」と述べ、エルサレムを首都と認定するのは国際法違反という国連決議などを敵視する姿勢を示しました。

 イスラエルの占領を擁護する一方、イランに対し「あらゆる選択肢を排除しない」として、分断と強硬姿勢を一層鮮明にしました。

 経済問題では、2020年の次の大統領選挙を視野に入れながら雇用や中国との通商協議などを語りました。

 しかし、米国で深刻さを増している格差拡大については、その現実への言及すらありません。

 富裕層や大企業優遇の税制改革、医療保険制度の改廃など、社会的弱者を痛めつける政策を進めているトランプ大統領には、「貧困から抜け出せない」という現実が突きつけられています。

 今回の演説で多くの時間を割いたのはメキシコ国境での壁の建設です。「賢明で戦略的」と壁建設を進める方針を強調しました。

 そもそも一般教書演説の1週間延期という異例の事態を招いた原因は、トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を建設する57億ドル(約6200億円)の予算に執着したことです。議員のなかで壁建設への批判が強く、予算が承認されないために政府機関の一部閉鎖が1カ月以上続きました。国民生活に大きな影響が出ました。

 国境の壁での対立の背景について、有力経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「この問題は、米国の変わりゆく姿を歓迎する人々と、それに警戒感を抱く人々の間にある深刻な文化的分断を明確に示している」(1月22日電子版)と分析しています。
米ロの軍拡競争やめよ

 米国のINF条約離脱による日本への影響も無視できません。菅義偉官房長官は米国のINF破棄について4日の会見で、「条約が終了する状況は望ましくないが、米国が発表するに至った問題意識は理解している」と述べています。米国がロシアへの「対応」として、今後、新型の中距離核ミサイルを開発・研究する方向を示しており、日本への持ち込みの恐れもあります。日本政府は対米従属を脱し、唯一の戦争被爆国にふさわしく、米ロの軍拡競争の自制を呼びかけるべきです。
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北朝鮮のカウンターパートであるキム・ヒョクチョル対米特別代表(元スペイン大使)と2回目の朝米首脳会談の議題調整に入った。

2019-02-07 10:40:06 | 世界平和を実現するために
ビーガン-キム・ヒョクチョル、平壌で議題調整…
制裁緩和が最大の問題

登録:2019-02-07 06:10 修正:2019-02-07 09:37


ビーガン代表、特別機で平壌に到着し実務交渉に着手 
北朝鮮の非核化と米国の相応措置をめぐる密度の高い協議を予想 
実務交渉で今後のロードマップも描くかにも関心集まる 
平壌滞在期間や金正恩委員長との面会については明らかになっておらず

          
スティーブン・ビーガン米国務省北朝鮮政策特別代表が乗ったと推定される特別機が今月6日午前、烏山米軍基地から離陸している//ハンギョレ新聞社

 米国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表が6日、平壌(ピョンヤン)に到着し、北朝鮮のカウンターパートであるキム・ヒョクチョル対米特別代表(元スペイン大使)と2回目の朝米首脳会談の議題調整に入った。ドナルド・トランプ大統領が同日の一般教書演説で、27~28日にベトナムで第2回朝米首脳会談が開催されると公開した直後に開かれた初の実務交渉であることから、密度の高い協議が予想される。

 ビーガン代表の平壌行きは、昨年10月にマイク・ポンペオ国務長官とともに訪朝して以来3カ月ぶりだが、実務交渉代表として単独訪朝は初めてだ。キム特別代表は先月18日、金英哲(キム・ヨンチョル)労働党副委員長の訪米当時、ワシントンでビーガン代表の対話相手として新たに登場した。朝米実務交渉を率いる「ビーガン-キム・ヒョクチョル」ラインが本格的に稼動するということだ。

 両者は今回の実務交渉で、朝米首脳会談のテーブルにつく議題の調整に集中するものと予想される。北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)核施設の廃棄などの非核化と、米国の相応の措置のバランスを取るのが主な課題だ。ビーガン代表は先月31日(現地時間)、スタンフォード大学での講演で、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が米国の相応の措置を条件にプルトニウムとウラン濃縮施設の解体を約束したと述べたうえで、これに対する相応の措置を実務交渉で話し合うと明らかにした。米国の相応の措置には、終戦宣言や連絡事務所の開設、人道支援の拡大などが挙げられる。

 北朝鮮は、これらの措置に加え、制裁緩和を要求しており、これに対する米国の回答が実務交渉の成否を分けるものとみられる。ビーガン代表はこれに先立ち「米国は非核化が完了するまでは、対北朝鮮制裁を解除しない」としながらも、「北朝鮮がすべてを終えるまで、我々が何もしないと言うつもりはない」と付け加えた。場合によっては部分的な制裁緩和の可能性を示唆したとも受け取れる発言だ。米国は非核化以降、「北朝鮮の明るい未来を担保する経済協力パッケージ」を提案しているという。

 今回の実務交渉が、北朝鮮の非核化と米国の相応の措置を連携した“ロードマップ”の合意に発展できるかどうかも関心を集める。ビーガン代表は、寧辺の核施設の廃棄→寧辺以外の核施設の廃棄→核兵器の除去につながる大きな枠組みのロードマップを提示している。「ある時点」では「核関連の包括的申告及び検証」が必要だとしたものの、これが非核化の早い段階で行われるべきとは主張しなかった点で、米国が信頼構築による段階的アプローチが不可欠であることを認めたものとみられる。

 ビーガン代表が平壌を公開訪問したのは、これまでの朝米交渉で進展があったことを示すシグナルという分析もある。米国の公館のない平壌で交渉することによる不都合を考えると、ビーガン代表が今回の実務交渉でかなりの権限を委任されて行使するものと専門家たちは予想している。北朝鮮としては、金委員長の意見を速やかに交渉に反映できる。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル前首席研究委員は「ビーガン代表は実務交渉を超えて、金英哲副委員長、ひいては金正恩委員長の意中まで把握しようとしているようだ」と述べ、「ビーガン代表が破格の提案をした場合、北朝鮮の最高位層が決心しなければ答えられないだろう」と指摘した。

 ビーガン代表の平壌でのスケジュールはまだ公開されていない。キム特別代表のほかに、北朝鮮の高官に会うかどうかも明らかになっていない。ビーガン代表が6日か7日午前に帰国する日程を決め、時間に追われながら交渉に臨んでいるわけではないようだ。外交慣例上、ビーガン代表が金委員長に会う可能性は低いが、実務交渉の結果によっては電撃的な面会が実現する可能性も排除できない。

 ビーガン代表は同日午前10時ごろ、西海直航路を通じて平壌順安(スンアン)国際空港に到着した。ビーガン代表は3-4日、ソウルでチョン・ウィヨン大統領府国家安保室長やイ・ドフン朝鮮半島交渉本部長らと会い、実務交渉における戦略について話し合った。
ユ・ガンムン記者、ノ・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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